生物学

【アミノ酸とタンパク質】タンパク質の構造とその特徴を生物専攻ライターが解説!<第1回>

よぉ、桜木健二だ。
今回から全部で4回にわたって「タンパク質」について学んでいこう。

「タンパク質」と聞くと、何を思い浮かべるだろうか。例えば毎日の食事では「炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂りなさい」なんて言われないか?
初回となるこの記事ではまず、タンパク質は我々ヒトにとってどんな物質なのかというところから説明しよう。その後で、じゃあそのタンパク質はどんな構造をしているのか、アミノ酸から構成されているっていうのは具体的にどういうことなのかなど、生物学的な視点から少しずつ掘り下げていこう。
この記事を読んだ諸君には、「普段の食事でタンパク質を摂ることは大事だ」ってだけでなく、生物学的な視点も持ってもらって「タンパク質はアミノ酸から構成されていて、アミノ酸どうしがペプチド結合している」なんてさらっと説明できるようになってほしいものだな。

理系大学生ライターこみとりと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/こみとり

某国立大に通う理系ライター。高校時代から生物の図説を愛読している。今回は生体を構成するのに不可欠な物質、「タンパク質」についてまとめた。

タンパク質とヒトのからだ

image by iStockphoto

栄養素としてのタンパク質

「三大栄養素」をご存じの方は多いかと思います。タンパク質・糖質(炭水化物)・脂質のことです。
一般に、タンパク質は筋肉や皮膚の原料、糖質は脳や筋肉が働くためのエネルギー源、脂質は細胞膜やステロイドホルモンの原料となります。

スポーツ経験がある方の中には、「プロテイン」を摂ったことがある方も多いのではないでしょうか。「プロテイン(protein)」とは、もともと英語の「タンパク質」という意味の単語です。日本では、「プロテイン」というと、タンパク質を効率良く摂取するためのサプリメントとして認識されています。

タンパク質の重要性

「プロテイン」の語源は、古代ギリシャ語の「プロテイオス(proteios)=最も大切なもの」という言葉なのだそう。
ヒトのからだの成分の6066%程度が水分ですが、水分に次いで多いのがタンパク質で、およそ16%を占めます。タンパク質は生命活動において重要な役割を果たしているのです。

ちなみに、植物体では、タンパク質が占める割合はわずか2%程度といわれています。植物体で水の次に多いのは、糖質。これは、植物の細胞には糖質(セルロース)を主成分とする細胞壁があるためです。
動物と植物の大きな違いの1つですね。

タンパク質の基本構造

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ここからは、生物学的にタンパク質について紹介する。

まず概要を説明しよう。ざっくりいうと、タンパク質とは、アミノ酸が多数結合してできた高分子化合物だ。アミノ酸が集まってポリペプチドが、ポリペプチドが集まってタンパク質ができているんだ。このことをふまえてもらったうえで、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質の順に詳しく解説していくぞ。

アミノ酸の構造

アミノ酸の構造

image by Study-Z編集部

図にも示した通り、中心となる1個の炭素原子に、アミノ基、カルボキシ基、水素原子、側鎖の4つのパーツがついた物質をアミノ酸といいます。このアミノ酸こそが、タンパク質の構成単位。生体を構成するアミノ酸は20種類あり、側鎖というパーツがどんな構造をとっているかによって種類が分けられています。

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つまり、中心の炭素原子とアミノ基、カルボキシ基、水素原子はすべてのアミノ酸に共通だが、側鎖の構造はアミノ酸の種類によって異なるんだ。側鎖はそれぞれのアミノ酸の個性が表れるパーツだと言っていいだろう。例えば、アミノ酸には親水性のものと疎水性のものがあるのだが、この違いは側鎖の構造の違いに由来しているぞ。

ポリペプチドの構造

ポリペプチドの構造

image by Study-Z編集部

ポリペプチドとは、アミノ酸が鎖状に多数結合した物質です。アミノ酸どうしの結合には特別な名前がついています。その名も、「ペプチド結合」です。

片方のアミノ酸のアミノ基と、もう一方のアミノ酸のカルボキシ基との間で1分子の水がとれて結びつきます。化学では1分子の水がとれることで結合が形成されることを脱水縮合といいますが、ペプチド結合も脱水縮合の一種と捉えてOKです。

アミノ酸がたくさん繋がるということは、それだけたくさんのペプチド結合が形成されたということになりますね。ポリペプチドの「ポリ(poly)」は「たくさんの」という意味ですので、「ポリぺプチド」とは「たくさんのペプチド結合がある物質」だと捉えられます。そのままの名前がつけられているようですね。

タンパク質の構造

タンパク質はポリペプチドから構成されています。1本のポリぺプチドからなるタンパク質もありますが、複数のポリぺプチドが集まって機能をもつタンパク質が多いです。

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繰り返しになるが、小さな分子であるアミノ酸が集結してポリペプチドができ、ポリペプチドが集結してタンパク質になる。これは、点が集まって線ができ、線が集まって平面ができ、平面が集まって立体ができる流れと似ていると思わないか?タンパク質の立体構造には、段階ごとに名前がついているんだ。全部で4つの段階があるから、1つずつ順に説明していくぞ。

タンパク質の立体構造

一次構造

ポリペプチドを構成するアミノ酸の配列順序を一次構造といいます。アミノ酸を小さな点とみなした場合、一次構造は点が集まって線になった構造といえるでしょう。

アミノ酸の配列順序、言い換えれば一次構造の作り方は、DNAの遺伝情報に基づいて決定されます。
※第3回の記事を参照してください。

アミノ酸の種類は20種類しかないにも関わらず、タンパク質には数えきれないほど多くの種類があります。タンパク質の性質や機能を決めるもっとも基本的な構造が、この一次構造です。

二次構造

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By Yikrazuul投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

1本のポリペプチド鎖において、特定のアミノ酸間に生じる水素結合などによって形成された、規則的な構造を二次構造といいます

代表的な構造には、αヘリックスβシートなど。同じポリペプチドに含まれるが、少し離れたところにあるアミノ酸どうしが、弱い結合で引き合うことがあります。すると、ただの1本の線だったポリペプチド鎖がくるくるとらせんを描いたり、ジグザグに折れ曲がったりするのです。
(図はリゾチームという酵素のリボンモデル。赤色部分がαヘリックス、黄色部分がβシートです。)

ポリペプチドはそれぞれ固有の立体構造を形成します。やたらとαヘリックスを多く形成するポリペプチド鎖もあれば、αヘリックスとβシートが交互に繰り返されるポリペプチド鎖もあるでしょう。これにより、固有の立体構造をもつタンパク質が構成される、というわけです。

三次構造

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By →AzaToth – self made based on PDB entry, パブリック・ドメイン, Link

二次構造をとったポリペプチドが、さらに折りたたまれて形成する立体構造を三次構造といいます。ポリペプチド鎖のあちらこちらで疎水結合やS-S結合といった結合(後ほど説明します)が形成され、構造がより複雑になるとともに、立体的になってきます。

四次構造

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By Benjah-bmm27投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link

複数のポリペプチドから構成される立体構造のことを四次構造といいます。このとき、個々のポリペプチドは三次構造をとり、「サブユニット」と呼ばれる塊となっています。例えば、赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質を見てみましょう。ヘモグロビン1個は、4個のサブユニットが集まったものです。

これでタンパク質の構造<基本編>はばっちり!

要点をおさらいしましょう。

・アミノ酸どうしが「ペプチド結合」をしてつくられるのが「ポリペプチド」。
・立体構造をとった複数のポリペプチドからタンパク質ができます。
・タンパク質の立体構造は一次構造から四次構造までの4段階がありました。

これでタンパク質とアミノ酸の基本はばっちりです。

今後の記事では、アミノ酸どうしの結合についてもう少し詳しく解説し、タンパク質の性質を深掘りするほか、どのようにしてタンパク質ができるのかをご紹介しようと思います。

どの記事を読むにしても、またご自身でこの先の勉強をされる場合も、この記事の内容は最も基本的な内容ですから、今回の内容をぜひマスターしてください。

タンパク質はあらゆる生命現象に関わります。
というのも、“生体内で起こる化学反応=代謝“を促進するのは、生物がもつ触媒である、酵素。 この酵素はタンパク質でできているので、タンパク質があらゆるシーンで活躍するということは想像に難くないでしょう。新しいタンパク質の名前に出会う度に、「そもそもタンパク質ってどんな物質だったかな?」と今回の内容を思い出してみると、理解が定着しやすくなると思います。

次回以降の記事もぜひ参考にしてください。

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