酸化とセットで覚えよう!苦手意識の出やすい「還元」反応の仕組みを元塾講師がわかりやすく解説
2-2.還元実験はさびた十円玉で証明
ご存知の通り、十円玉は銅でできています。長年使われていくうちに表面が黒くなり、自販機に入れても反応してくれなかった経験を持つ人もいるのではないでしょうか。この表面の汚れはただの汚れではなく、酸化銅というさびなのです。
そんなさびを落とすための方法としてお酢や水に溶かしたクエン酸に浸けるというものがあります。瓶に入れて振り、15分ほど放置してから水で洗ってみましょう。最初よりもきれいな銅の色が見えているはずですよ。
3.還元の定番実験を解説
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酸化銅に関する実験を2つ見ていきましょう。まずは1つめで基本を押さえ、2つめでより理解を深めていきたいですね。
実験にうつる前に、銅が酸化銅になる化学反応式をおさらいしておきましょう。
2Cu + O2 → 2CuO
3-1.水素を使った還元実験
1つめは、酸化物に水素を送りながら加熱するという方法です。手順も化学反応式もわかりやすく、簡単な還元反応といえるでしょう。
CuO + H2 → Cu + H2O
酸化銅から酸素が離れる(還元する)ことで銅ができます。それと同時に、酸化銅から離れた酸素は水素と化合する(酸化する)ことで水が生成されるのです。銅は金属の性質、水は塩化コバルト紙で確認することができますね。
先ほど紹介した十円玉の実験は、この反応の原理を応用しています。お酢やクエン酸といった酸性の液体に含まれる水素イオン H+ がこの水素同様のはたらきをしてくれるのです。
3-2.炭素を使った還元実験
2つめは水素の代わりに炭素を使った実験です。グラフを用いた問題に使われやすい実験なので、問題集で確認しておくといいですね。
2CuO + C → 2Cu + CO2
酸化銅から酸素が離れる(還元する)ことで銅ができます。それと同時に、酸化銅から離れた酸素は炭素と化合する(酸化する)ことで二酸化炭素が生成されていますね。銅は金属の性質、二酸化炭素は石灰水の白濁で確認することができます。
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