君たちは酵素とは何者か知っているか?
酵素はズバリ「反応を助けるタンパク質」だ!酵素は何からできているかというと主にタンパク質からできている。そしてそのはたらきは体内で起こる化学反応の補助です。

今回はこの酵素のはたらきと特徴について、酵素のことをよく知っているライターKAEDEと一緒に解説していきます。

ライター/KAEDE

現役塾講師。大学時代は微生物学を専攻し、酵素についての研究をしていた。今は科学の面白さを高校生に毎日伝えている。

酵素は何からできている?

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ヒトだけでなくあらゆる生物の体内で作られる酵素。その正体とはいったい何なのでしょうか?ここでは、酵素が何から作られているのかということについて解説します。

酵素はタンパク質から作られる!

酵素はズバリ、「タンパク質」から作られます。厳密に言えばタンパク質だけから作られているわけではありませんが、主な構成要素はタンパク質です。

つまり、酵素のはたらきや特徴に関しても、主な構成要素がタンパク質なので、酵素のはたらきや特徴にタンパク質が関与することは避けられません。そして、タンパク質が主な構成要素だからこそ、自然界に存在する酵素の数は無数にあります。

そもそもタンパク質とはどんなもの?

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タンパク質の基本単位はアミノ酸と呼ばれる物質です。タンパク質の構成要素として確認されているアミノ酸は22種類も存在していることはご存知でしたか?

「どんなアミノ酸を何個使って、どう折り曲げ、くっつけたか」によってタンパク質の構造は決まります。アミノ酸を何個使っても良いので、この世に存在するタンパク質は無数に存在することは容易に想像できるでしょう。酵素はそんなタンパク質の集まりなので、この世に存在する酵素の数も無数にあるというわけです。

酵素の特徴4選!

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酵素は主にタンパク質から作られているということは理解しましたね。それではここから酵素の具体的な特徴に関して解説していきます。ここでは特徴を4つにまとめたので、しっかりと理解してください。

\次のページで「酵素には様々な種類がある!」を解説!/

#1 酵素には様々な種類がある!

前述しましたが、酵素は無数に存在するタンパク質からできているので、その種類も多様なことはわかりますね。

酵素にはタンパク質のみで構成されるものもあれば、タンパク質以外の物質を構成要素にもつ酵素も存在します。ちなみに「補因子」というのがこのタンパク質以外の構成要素です。

酵素の種類としては、「アポ酵素」と呼ばれるタンパク質のみで構成される酵素と「ホロ酵素」と呼ばれるアポ酵素と補因子が結合した構造をとる酵素が存在しています。

補因子の種類としては無機イオンや有機化合物など種類が様々なので、その結果無数の種類が存在するタンパク質とたくさんある補因子の掛け合わせで酵素の種類が無数になるということです。

#2 とにかく熱に弱い!

酵素はタンパク質から構成されているので、その特徴もタンパク質に影響を受けるということは何度も述べていますが、この「とにかく熱に弱い」という点が、一番タンパク質に影響を受けている特徴です。

タンパク質には「熱変性」と呼ばれる性質があります。これはある一定以上の温度になるとタンパク質が熱によって形が変わってしまう性質です。

酵素も主にタンパク質から構成されているわけですから、この性質は避けて通ることはできません。酵素も熱が加わりすぎると、熱変性を起こします。すると、酵素のはたらきの中枢となる「活性部位」と呼ばれる部分も熱変性してしまいますから、酵素としての役割を果たすことができません。

酵素のはたらきのことを「活性」と呼びますが、熱によってこの活性を失ってしまうので、熱が加わると酵素が働かなくなる性質を「失活」といいます。

#3 特定の基質にしか結合できない!

酵素が作用し化学反応を促進することができる物質のことを「基質」といいます。酵素の活性部位はそれぞれ特異的な形状をしているため、その活性部位に特異的な基質でなければ酵素は働くことができません。

この基質と酵素の関係のことを「基質特異性」と呼びますが、イメージするとしたら「鍵と鍵穴」の関係です。鍵は特定の鍵穴にしか入らないのと同じように、酵素も特定の基質にしか作用できません。この性質があるからこそ、無駄に反応を促進したり、逆に過剰に反応を促進したりしなくて済むのです。

#4 限られた条件でなければうまくはたらかない

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熱によって失活してしまったり、特異的な基質にしか作用できなかったりと、一言で言えば酵素はわがままです。

ここまで述べた性質だけでなく、酵素にはもう一つ大事な性質があります。それは周囲環境のpHによって作用できるかできないかが決まるということです。酵素によって働きやすいpHのことを「最適pH」と呼びます。

よって酵素は様々な限られた条件下でなければうまくはたらくことができないということがわかりますね。したがって、もしも酵素を用いた実験を行う時には「温度・pH・基質」に気を配らなくてはなりません。

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酵素のはたらきとは?

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この記事最後のトピックになりました。最後に酵素のはたらきについて解説していきます。特徴において大事なことは「酵素はタンパク質からできている」でしたが、ここでは「酵素は反応を促進する」ことが大事になりますので、それを頭に入れながら理解してくださいね。

化学反応の触媒となる

触媒とは、「それ自身は変化しないが、他の物質の化学変化を促進する物質」のことです。酵素は体内で起こる化学反応において触媒になるというはたらきを持っています。

例えば、唾液にはアミラーゼという酵素が含まれていますが、これは消化に関わる化学反応の触媒となる酵素です。だいたい体温と同じ37℃ではたらきます。さらにペプシンと呼ばれる酵素も消化に関わる酵素ですが、この酵素は酸性が比較的強い環境でなければ作用できません。つまり、ヒトでいう胃に存在する酵素なのです。

酵素は様々な場所、環境に存在し、そこで様々な化学反応の触媒として作用しています。もしも体内に酵素が存在していなかったら、消化や代謝に異常が発生することは避けられません。

反応速度を向上してくれる

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By Nekohan - 次の画像を日本語に翻訳。file:Activation energy.svg, Copyrighted free use, Link

体内の化学反応を促進する触媒としてはたらく酵素は具体的に何をしているのかというと、「化学反応速度の向上」です。触媒があれば、反応に必要なエネルギーを少なく済ませることができるので、反応速度は速くなります。

酵素は化学反応を起こすためのエネルギーである「活性化エネルギー」を小さくし、反応を起こりやすくしてくれるのです。具体的にどれくらい反応を起こりやすくしてくれているかというと、酵素が存在しないときの約数百万〜数億倍とも言われているので驚きですね。

\次のページで「酵素は様々な分野で活躍している」を解説!/

酵素は様々な分野で活躍している

今回酵素について解説しましたが、実はみなさんも日々酵素に触れ合っています。酵素は食品や日用品の中に紛れているのです。例えば発酵食品や洗濯洗剤など、ヒトから酵素を抽出することはほとんどありませんが、微生物から酵素を抽出して活用しています。

つまり酵素なしの生活なんてありえないんですね。この機会に少しでも生活を助けてくれている酵素について知ってもらえたら嬉しいです。

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タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単にわかる「酵素」のはたらきと特徴!酵素は何からできている?現役理系塾講師がわかりやすく解説

君たちは酵素とは何者か知っているか?
酵素はズバリ「反応を助けるタンパク質」だ!酵素は何からできているかというと主にタンパク質からできている。そしてそのはたらきは体内で起こる化学反応の補助です。

今回はこの酵素のはたらきと特徴について、酵素のことをよく知っているライターKAEDEと一緒に解説していきます。

ライター/KAEDE

現役塾講師。大学時代は微生物学を専攻し、酵素についての研究をしていた。今は科学の面白さを高校生に毎日伝えている。

酵素は何からできている?

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ヒトだけでなくあらゆる生物の体内で作られる酵素。その正体とはいったい何なのでしょうか?ここでは、酵素が何から作られているのかということについて解説します。

酵素はタンパク質から作られる!

酵素はズバリ、「タンパク質」から作られます。厳密に言えばタンパク質だけから作られているわけではありませんが、主な構成要素はタンパク質です。

つまり、酵素のはたらきや特徴に関しても、主な構成要素がタンパク質なので、酵素のはたらきや特徴にタンパク質が関与することは避けられません。そして、タンパク質が主な構成要素だからこそ、自然界に存在する酵素の数は無数にあります。

そもそもタンパク質とはどんなもの?

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タンパク質の基本単位はアミノ酸と呼ばれる物質です。タンパク質の構成要素として確認されているアミノ酸は22種類も存在していることはご存知でしたか?

「どんなアミノ酸を何個使って、どう折り曲げ、くっつけたか」によってタンパク質の構造は決まります。アミノ酸を何個使っても良いので、この世に存在するタンパク質は無数に存在することは容易に想像できるでしょう。酵素はそんなタンパク質の集まりなので、この世に存在する酵素の数も無数にあるというわけです。

酵素の特徴4選!

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酵素は主にタンパク質から作られているということは理解しましたね。それではここから酵素の具体的な特徴に関して解説していきます。ここでは特徴を4つにまとめたので、しっかりと理解してください。

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