3分で簡単甲状腺から分泌されるホルモン(チロキシン)!現役理系塾講師がわかりやすく解説
甲状腺から分泌されるホルモンとは?
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甲状腺とは、ヒトの喉元にある内分泌腺です。甲状腺ガンなど一度は耳にしたことはありますよね。
さてその甲状腺から分泌されているホルモンは何かというと…
「チロキシン」と呼ばれるホルモンです。
このチロキシンはタンパク質系のホルモンで、体全体に作用するという特徴を持っています。
チロキシンの3つの働き
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体全体に作用するチロキシンですが、具体的にはどんな作用を持っているのでしょうか?
ここではそんなチロキシンの代表的な3つの作用を解説します。
1. 代謝の促進
まず、代表的な作用の一つは「代謝の促進」です。
チロキシンが分泌されると、体内での異化反応(物質を分解する反応)が促進され、代謝が上がります。
2. 変態・換羽の促進
チロキシン第2の作用は「変態・換羽の促進」です。ちなみに「変態」とは生物学用語で「発育」というような意味を持つ言葉なので、変なことは想像しないようにしてくださいね。
第1の作用が「代謝の促進」でしたが、第2の作用はこの「代謝の促進」に関連します。代謝を促進することで、爬虫類は成長が早まったり、鳥類は羽の生え代わりが早くなったりするのです。チロキシンにはそのような爬虫類の変態や鳥類に換羽の促進を助ける作用があります。
つまり早く成長したければチロキシンの分泌量を増やせばよいというわけですね。しかし実際はうまくはできていません。
3. 甲状腺刺激ホルモン分泌の抑制
チロキシンの最後の作用は「甲状腺刺激ホルモン分泌の抑制」です。
全てのホルモンにはフィードバック調節と呼ばれる機構があります。これはホルモンがたくさん分泌されすぎたらそのホルモンの分泌量を減らし、分泌量が減ってきたら増やすといった機構です。つまり、このフィードバック調節がなければ体内の安定性は保てません。
チロキシンの分泌に必要なことは、甲状腺に甲状腺刺激ホルモンが作用することです。つまり、甲状腺刺激ホルモンが分泌され続ければ、チロキシンは永遠に分泌されてしまいます。すると体内はチロキシンの濃度が上がりすぎ、危険な状態になってしまうので、それを防ぐためにもチロキシンが一定量分泌されたら、甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑制しなければなりません。
もしも、ホルモンにこのフィードバック調節の働きがなければ、チロキシンが永遠に分泌されるので、鳥類はずっと羽が生え替わることになってしまいますからね。
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