
慣性とは

image by iStockphoto
「慣性」という言葉についてもう少し考えて見ましょう。
ここまで考えてきたように、物体をその運動状態を変化させる(静止から動かす、等速直線運動から加速・減速する)場合には物体に働く力の釣り合いを破る必要があります。
もし、力の釣り合いが破られれば、大きい力の方向へ加速運動することはニュートン運動の第2法則の示すところです。
このとき、その加速度の大きさは、物体の質量に反比例します。具体的にいえば、質量の大きいものは同じ力でも加速度は小さくなるということですね。
つまり、質量が大きいものはその運動状態を変えにくいということになります。そこで、物体がその運動状態を変える、その変えにくさを慣性と呼び、この質量のことを慣性質量と呼ぶのです。
革命的な慣性の法則
慣性の法則はそれまでのアリストテレス的な自然観を打ち壊す革命的な理論だったのです。当時、人々は物体を押すのをやめると止まる、という自然観察から誤った理解をしていました。しかし、ニュートンが慣性の法則という法則を発表し、その古い考え方を打ち壊したのです。
当時まだ、古い考え方や宗教的な考えにとらわれていた時代に、このような卓越した自然観に到達したニュートンの非凡さが伺えます。