今回はテストでも頻出の「酸化」について勉強しよう。

酸化と聞くと実験やら化学式やらが出てきて、難しい気がするのは無理もない。でもこの酸化は意外と身近なものでもあるんです。まずはどんな現象なのか知ることから始めてみようじゃないか。

実は酸化というものは身近なものでも説明ができるんです。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.酸化ってそもそも何?

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「酸化」とは物質が酸素と化合することによって酸化物を生成する化学変化をいいます。

自然界では多くの金属がこの酸化物の状態で存在していて、わたしたちはそれを加工することで純粋な金属として利用することができるのです。この過程を「還元」といいます。これについても後ほど少しだけ触れておきましょう。

ここでちょっと歴史の復習。日本最初の製鉄所はどこだったでしょうか?

2.身近な酸化について見てみよう

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ちょっとお財布の中を見てみましょう。そこに十円玉はありますか?きれいなものとさびてしまったもの、見比べてみてください。どちらが古いものでしょうか。

実はさびというものは、金属が空気中の酸素によって酸化され、表面にできた酸化物です。これは金属がさびるのは反応がゆっくり進むおだやかな酸化反応といえます。

一方で、バーベキューをするときに小枝を燃やして火を起こすのも燃焼という酸化反応です。熱や光を出しながらの激しい酸化反応といえるでしょう。

2-1.身体の中でも起こる酸化反応

実は人の身体の中でも日々酸化というものが起こっています。人は酸素を呼吸によって取り入れていますよね。その酸素によってエネルギーを生成できたり、栄養を吸収したりできているのです。つまり、人は常に体内で酸化反応を起こしているといえますね。

これによって身体の細胞は少しずつダメージを受けることになります。それによって老化という現象が起こるのですが、まだ中高生の皆さんにはピンとこないかもしれませんね。

アンチエイジングや抗酸化作用があるとされる化粧品や食品というのは、そういった酸化による身体へのダメージを防ぐものとして注目されているのです。

\次のページで「3.化学反応式で考えよう」を解説!/

3.化学反応式で考えよう

中学で学ぶ主な6つの酸化反応について考えてみましょう。

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金属の酸化と金属以外のものの酸化、それぞれ3つずつを覚えておくといいですね。

化学反応式を作るときのコツは、反応前後で原子の種類と数を合わせることです。

例えば酸化鉄 FeO を生成する化学反応式を作る場合、鉄は Fe、酸素は O2 ということは覚えておく必要がありますよ。

そのまま式にしてしまうと酸素原子 O が1つ余ってしまいますよね。そのため、鉄 Fe を追加して 2Fe とし、それに伴ってできる酸化鉄 FeO も 2FeO となるわけです。テストの際は確かめを忘れずにしましょうね。

4.酸化実験を詳しくチェック!

では、実際の実験で見る酸化反応についても解説していきます。テストに出る主要な実験なので、化学反応式と合わせて覚えたいですね。

4-1.酸化鉄 FeO

4-1.酸化鉄 FeO

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化学反応式と実験前後の物質の性質をまとめました。

鉄の酸化実験には、反応が早く結果が見えやすいスチールウール(台所にある金属たわし)を使用します。スチールウールに火をつけてみると、パチパチと赤く火を出しながら燃えるのがわかるでしょう。このとき、燃焼という酸化反応が起こっています。

\次のページで「4-2.酸化銅 CuO」を解説!/

4-2.酸化銅 CuO

4-2.酸化銅 CuO

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酸化銅の実験は、試験でもよく扱われるテーマです。グラフを読み解く問題として応用される場合も多いので、チェックしておきましょう。例題は質量保存の法則の解説を参考にしてみてくださいね。

粉末の銅を使用し、ガスバーナーで加熱することで反応を起こします。銅を完全に反応させるため、薬さじで混ぜながら実験を行うのがポイントです。ゆっくり反応が進むので、色の変化を観察しましょう。

4-3.酸化マグネシウム MgO

4-3.酸化マグネシウム MgO

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マグネシウムはマグネシウムリボンの形で実験によく使用されます。これは水溶液が酸性かどうかを調べるためにも使われていますよね。

マグネシウムは空気中でまぶしいほどの光を出して激しく反応が進みます。光を直視しないように注意が必要です。また、通常酸化物は黒色をしていることが多いのですが、酸化マグネシウムは白色をしています。テストにも出やすいので覚えておきましょう。

4-4.二酸化硫黄 SO2

4-4.二酸化硫黄 SO2

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硫黄は反応過程が特徴的で面白い実験になります。粉末の硫黄をガスバーナーで加熱すると、青い光を出しながら刺激臭のある有毒な気体の二酸化硫黄に変わるので注意が必要です。

漂白作用をもつので、紙に書いたインクやバラの花びらが白くなるのを確認できるでしょう。

4-5.水 H2O

4-5.水 H2O

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気体の確認方法の1つとして、試験管に集めた気体にマッチの火を近づけるとポンッと音を立て、試験管内に水滴がつくというものがありますよね。実はこれも水素の酸化で水ができる小爆発反応が起こっているのです。空気よりも軽い水素の収集には上方置換法がぴったりでしたね。

水分を吸収して色が青から赤に変わる塩化コバルト紙を使う実験としても有名ですよ。

4-6.二酸化炭素 CO2

4-6.二酸化炭素 CO2

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最後に解説するのが炭素の酸化実験です。炭素は鉛筆の芯などに含まれていますよね。その粉末を酸化させることで、気体になって空気中に逃げていきます。この気体、二酸化炭素を集める方法としては水上置換法または下方置換を使うことも合わせて覚えておきましょう。さらに二酸化炭素は石灰水を白く濁らせることも基本知識です。

この実験は酸化実験というよりも、「還元」実験の一部として用いられることがほとんどといえるでしょう。この「還元」についても少しだけ触れておきますね。

\次のページで「5.酸化と合わせて覚えたい「還元」の話」を解説!/

5.酸化と合わせて覚えたい「還元」の話

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冒頭で少し触れた金属の「還元」は、授業の単元でも「酸化還元」とセットで呼ばれるほど密接な関係にあります。

物質は酸化することで元の性質を失うのは既に説明しましたね。金属は金属としての性質を失うことは、古い十円玉が光沢を失うことからも理解できるでしょう。では普段、さびてしまった十円玉をどうしていますか?

5-1.還元反応で新品同様?!

硬貨は古くなったから捨てるということは当然しませんよね。流通するうちに酸化したり変形したりして使えなくなったものは、金属の再利用という形で再度硬貨として生まれ変わります。

では、一般家庭でさびた十円玉をきれいにする方法はないのでしょうか。…実は、簡単なものを使って還元反応は起こせるのです。

この続きはまた次回、還元について詳しく解説します。

酸化と還元はセットで覚えて身につける!

「酸化」は物質と酸素が化合する化学反応です。光や熱を出す激しい酸化「燃焼」おだやかでゆっくり進む酸化「さび」の2種類を覚えておきましょう。

今回は酸素と結びつく反応である酸化に対し、酸素を奪う反応の還元についても少し解説をしました。2つを合わせて考えることで理解を深めたいですね。

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化学物質の状態・構成・変化理科

酸化には2種類ある!金属だけじゃない「酸化」について元塾講師がわかりやすく解説

今回はテストでも頻出の「酸化」について勉強しよう。

酸化と聞くと実験やら化学式やらが出てきて、難しい気がするのは無理もない。でもこの酸化は意外と身近なものでもあるんです。まずはどんな現象なのか知ることから始めてみようじゃないか。

実は酸化というものは身近なものでも説明ができるんです。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.酸化ってそもそも何?

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「酸化」とは物質が酸素と化合することによって酸化物を生成する化学変化をいいます。

自然界では多くの金属がこの酸化物の状態で存在していて、わたしたちはそれを加工することで純粋な金属として利用することができるのです。この過程を「還元」といいます。これについても後ほど少しだけ触れておきましょう。

ここでちょっと歴史の復習。日本最初の製鉄所はどこだったでしょうか?

2.身近な酸化について見てみよう

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ちょっとお財布の中を見てみましょう。そこに十円玉はありますか?きれいなものとさびてしまったもの、見比べてみてください。どちらが古いものでしょうか。

実はさびというものは、金属が空気中の酸素によって酸化され、表面にできた酸化物です。これは金属がさびるのは反応がゆっくり進むおだやかな酸化反応といえます。

一方で、バーベキューをするときに小枝を燃やして火を起こすのも燃焼という酸化反応です。熱や光を出しながらの激しい酸化反応といえるでしょう。

2-1.身体の中でも起こる酸化反応

実は人の身体の中でも日々酸化というものが起こっています。人は酸素を呼吸によって取り入れていますよね。その酸素によってエネルギーを生成できたり、栄養を吸収したりできているのです。つまり、人は常に体内で酸化反応を起こしているといえますね。

これによって身体の細胞は少しずつダメージを受けることになります。それによって老化という現象が起こるのですが、まだ中高生の皆さんにはピンとこないかもしれませんね。

アンチエイジングや抗酸化作用があるとされる化粧品や食品というのは、そういった酸化による身体へのダメージを防ぐものとして注目されているのです。

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