物体は外部から力が加わらない限り、静止、または等速度運動をし続けること。
等速度運動というのは、急な加速や減速などをせずに常に一定の速度で運動していることを示します。
例えば、テーブルにのったカップについて考えてみましょう。そのカップをしばらく観察しても、勝手に動き出したりするようなことはありませんね。ですが、カップの飲み物を飲もうとすると、カップは持ち上げられます。このようにカップを手に取る行為が「外部から力が加わること」であり、その力がない時のカップはテーブルに置かれたまま「静止」した状態を保ち続けるのです。
慣性の法則が成り立つ空間を慣性系と呼びます。そのため、速度が時間によって変化するような場合には、慣性の法則は成り立ちません。
日常で感じる慣性
車に乗っていると、急に発進した時、身体がシートに押し付けられるような力を感じることがあると思います。また逆に急ブレーキの時にはシートから浮き上がって前のめりになってしまうような力を感じるでしょう。これは車に動く、止まるなどの力が働くのに対して、慣性の法則から座っている人は静止しようとするため、逆向きに力が発生して起きる現象です。エレベーターで感じる力も同じように理解することができます。
他にも隠し芸でよく見かけるテーブルクロス引きや玩具のだるま落としなど、慣性の法則を感じられるものが日常にはあふれていますので、意識して探してみるといいでしょう。
運動の第二法則
image by iStockphoto
運動の第二法則は、慣性系での物体の運動状態の変化が、その物体に加わる力に等しいことを示した法則です。ここから有名なニュートンの運動方程式と呼ばれる数式が導き出されます。
F = ma
ここでFは物体に加わる力の向きと大きさ、mは物体の質量、aは加速度を表します。加速度は単位時間当たりに物体の速度が変化する割合です。
この法則が意味するところをもう少し考えていきましょう。
引越しなどで、ダンボールに入った荷物を押して動かす場面があったとします。もしダンボールの中身が軽いと、押す力に応じてダンボールの速度は勢いよく増していくでしょう。逆に重いとすると、なかなかダンボールは進まないものの、ゆっくりとその速度を上げていきます。このようにダンボールの速度が変化する様子が「物体の運動状態の変化」を指し、それは加えた力の大きさや向きによって起こされたものなので、両者は等しいと言えるのです。
運動方程式は万能なのか
運動方程式は、複雑な運動であっても方程式を解くことでその仕組みを理解することが出来ます。
しかし、光の速度など極端に高速で動いているような物体や、素粒子など顕微鏡では見えないほど小さなものを扱う場合には、上手くいきません。非常に高速で動く物体には特殊相対性理論、素粒子などには量子力学という専用の理論を適用する必要があります。
もちろん、日常生活ではそのように極端に速く動いたり、小さい物体を相手にすることはないので、ニュートン力学で十分説明できるのです。
こちらの記事もおすすめ
簡単でわかりやすい!「相対性理論」とは?特殊相対性理論・一般相対性理論を元理系大学教員が詳しく解説!
二つの物体があった時、片方の物体がもう片方へ力を加えると、力を加えた側の物体にも逆向きに力が働くこと。
片方の物体へ力を加えることを作用、加えた側の物体が受ける逆向きの力を反作用と呼びます。両者の大きさは等しく、互いに逆の方向を向いているのが重要な点です。
例えば、地面からジャンプしてまた着地するとしましょう。地面に足をつく際、足は地面に向かって力を加えます。すると作用・反作用の法則に従って、地面からは逆に上向きの力が加えられますね。二つの力の大きさは同じで、しかも互いに逆向きに働くため、再び空中に飛び上がることなく着地できます。もし作用・反作用の法則が成り立たず、作用の力が反作用に比べて少しでも大きいとすると、降り立った両足は地面に突き刺さってしまうでしょう。反対に、反作用の力が作用よりも大きければ、着地したと思った瞬間に再び空へと跳ね返っていくはずです。
\次のページで「スポーツで見る運動の第三法則」を解説!/