

今回は力学的エネルギー保存則についての話だ。
例えば、ボールを坂から転がすとしよう。坂の低いところと高いところ、どちらから転がすとボールは速くなるかはわかるな?
その運動について科学的に説明しよう。
今回は力学をよく知る、建築構造力学を専攻するライター、ユッキーと一緒に解説していこう。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ユッキー
建築学科で構造力学を専攻している大学生。小学校から高校と理科系クラブに所属しており、高校ではクラブ内の研究を海外で英語発表することも経験した。
1 まず、力学的エネルギーとは

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最初に、力学的エネルギーとは何かの整理を行いましょう。
力学的エネルギーとは、その名の通り物体が保持しているエネルギーのことです。
例えばある速度でボールが転がっているとします。そのボールにはその速度で運動しているだけのエネルギーが存在している、という考え方です。
では、具体的にはエネルギーにはどんな種類があるのでしょうか。
まず押さえておいてもらいたいものは運動エネルギーと位置エネルギーです。
それぞれ、以下の式で表されます。
運動エネルギー
E=1/2 mv^2
位置エネルギー
E=mgh
m:質量(kg) v:速度(m/s) g:重力加速度(m/s^2) h:高さ(m)
運動エネルギーはある速度で物体が運動しているとき、物体が持っているエネルギーのことです。対して位置エネルギーは物体がある高さにあるときに、物体が持っているエネルギーを表します。
さて、この2つを最初に紹介した理由は、これらがエネルギーの中でも頻出で、かつ保存力が行う仕事であるからです。
エネルギーは、ある力が仕事を行うことで変化します。保存力というのは、力の中でも、表題でもある「力学的エネルギー保存則」内に存在するエネルギーを生み出します。

力学的エネルギーの代表的なものは運動エネルギー、位置エネルギーのふたつだな。
それぞれ名前のとおり運動しているとき、ある高さにあるときのエネルギーのことだ。
では、力学的エネルギー保存測の中身に入っていこう。
2 力学的エネルギー保存測

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例えば図のように重さmの球を、摩擦のない斜面のうち地面から高さhのところに置くとします。この球から手をはなすと、球は斜面を転がっていくことは想像がつくでしょう。この球が地面に達した瞬間の速度をvとします。このとき、球が高さhにあるときの位置エネルギーと、球が床面に達したときの運動エネルギーは等しくなります。
これが力学的エネルギー保存測です。
式で表すと以下のようになります。
mgh=1/2 mv^2
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