ペプチドホルモン
アミノ酸がペプチド結合してできたホルモンがペプチドホルモン(もしくはポリペプチドホルモン)です。アミノ酸がペプチド結合で多数つながっているという点は、私たちの体をかたち造るタンパク質、細胞内ではたらく酵素などと同じだといえます。
代謝の維持に欠かせない「成長ホルモン」や、糖尿病の人がお世話になる「インスリン」、近年”愛情ホルモン”や”幸せホルモン”の愛称で注目されている「オキシトシン」などは、このペプチドホルモンです。
ペプチドホルモンの仲間は数が多く、いずれも重要な役割を持つものばかりですが、残念なことにペプチドホルモンの仲間はサプリやドリンクなどで摂取することができません。私たちがお肉やお魚などのタンパク質を食べると、胃で分解(もしくは変質)してしまいますよね。ペプチドホルモンも同様で、経口摂取では消化管で分解されてしまうことがほとんどなのです。
ステロイドホルモン
ステロイドという構造を持ったホルモンをステロイドホルモンとよびます。ペプチドホルモンよりもサイズが小さく、アミノ酸でできているわけではないため分解されにくいことから、経口投与することもできるホルモンです。
女性ホルモンの代表「エストロゲン」や、男性ホルモンの代表「テストステロン」などの名前は、聴いたことがあるのではないでしょうか?
腎臓の上に副腎という内分泌器官があります。その副腎の、髄質というエリアでつくられるホルモン(副腎皮質ホルモン)の一種である「糖質コルチコイド」を使った薬が、よく耳にする『ステロイド剤』です。ステロイド剤には強い抗炎症作用があります。
アミノ酸誘導体ホルモン
アミノ酸が酵素によって加工されてできる小さなホルモンがアミノ酸誘導体ホルモンです。アミノホルモンや低分子ホルモンという名前でよばれることもあります。
アミノ酸誘導体ホルモンに分類されるのは、「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」、「ドーパミン」など。この3種はいずれもカテコールという構造をもっていることから、まとめてカテコールアミンといいます。また、細胞の代謝に大きくかかわる甲状腺のホルモン「チロキシン」も、このアミノ酸誘導体ホルモンのなかまです。
ホルモンと自律神経の関係は?
『自律神経系』と『内分泌系』、この二つがうまく機能することで、私たちの体は健康に保たれています。どちらも生存のために欠かせないシステムですが、両者の間には大きな違いがあるんです。
自律神経系は「素早く効く」、ホルモンは「ゆっくり効く」
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自律神経系と内分泌系の特徴でとくに注目すべきなのが、作用するまでの「スピード」。ご紹介した通り、内分泌腺から放出されたホルモンは体液の流れにのって標的細胞までたどり着きます。ホルモンの放出から作用までは数分から数時間が必要になることが多いため、瞬時に環境の変化に対応しなくてはいけない場合には適していません。その一方、自律神経は神経細胞の興奮により、ものの数秒で情報を伝達できます。
自律神経と違い、ホルモンは「長期間持続する」ような作用が得意。例えば、子どもの成長期には代謝を高める成長ホルモンの分泌が盛んになりますが、この場合は数か月から数年にわたって分泌量の多い状態が続きます。毎日少量ずつでもホルモンをつくり続けることで、作用を持続させるのです。
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