今回は化学の基本中の基本、「酸」と「アルカリ」について勉強しよう。

化学を勉強するうえで避けて通れないのが様々な化学反応です。酸性とアルカリ性が混ざると中性になるということは聞いたことがあるでしょう。これが中和という反応なんだか…、まあ詳しいことはこれから説明しよう。

これから化学を学ぼうとするやつには酸とアルカリの見分け方を知ることが習得への近道です。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.そもそも酸とアルカリとは?

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酸とアルカリという言葉より、きっと酸性とアルカリ性の方が聞き覚えがあるのではないでしょうか。高校化学ではアルカリのことを塩基、アルカリ性の事を塩基性といったりしますね。

さらに、水に溶けて酸性の性質を示すものを酸、アルカリ性の性質を示すものをアルカリといいます。

頭の中が???でいっぱいの人もいそうですね。では、こう考えてみましょう。

お酢(調味料)が水に溶けると酢水(酸っぱい)になる。が水に溶けると酸性を示す。

つまり、酸やアルカリはその物質そのもの、酸性やアルカリ性はその物質が持つ性質ということです。

2.身近なもので酸とアルカリを考える

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本題に入る前に、まずは酸とアルカリの身近な例を考えてみましょう。そのヒントなるものが「酸は酸っぱくアルカリは苦い」の考え方です。

例えばお酢の主成分は酢酸、ヨーグルトには乳酸、レモンにはクエン酸という酸が含まれています。どれも酸味を感じるものですよね。酸性を示す物質は○○酸という名前そのものを見ても、判断がつきやすいでしょう。

一方でアルカリには家庭用洗剤、漂白剤、石鹸などの物質があります。誰しも一度くらいは誤って石鹸を舐めてしまった経験があるのではないでしょうか。舌に残る苦みを感じるはずです。

2-1.酸性の水溶液が示す性質

ここでも酸性の酸っぱいイメージが活躍します。

・青色リトマス紙を赤に変える

・BTB溶液を黄色に変える

これは梅やレモンといった酸っぱい食べ物のイメージで覚えましょう。

別の方法としては、

・溶液にマグネシウムリボンを浸け、泡(水素)を発生させる

・メチルオレンジを赤に変えるのは強い酸性、オレンジに変えるのは弱い酸性

というものがあります。

2-2.アルカリ性の水溶液が示す性質

アルカリ性は石鹸をイメージしてみましょう。

・赤色リトマス紙を青に変える

・BTB溶液を青に変える

石鹸は清潔感のある青がよく合いますよね。

別の方法としては、

・無色透明なフェノールフタレイン溶液を赤に変える

というものがありますよ。

\次のページで「3.酸とアルカリに分類できない性質」を解説!/

3.酸とアルカリに分類できない性質

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ここからは酸性とアルカリ性を考える上で欠かせない中性について説明していきます。

中性の代表といえるのが普段口にしている水です。

・赤色リトマス紙、青色リトマス紙が反応しない

・BTB溶液を緑に変える

・フェノールフタレイン溶液が反応しない

酸とアルカリとはまた違った反応ですね。

3-1.中和反応とは

BTB溶液の色の変化でわかる通り、酸性とアルカリ性を反応させることで中性に変わります。

色のグラデーションを考えてみると、

黄色(強い酸性)…黄緑(弱い酸性)…緑(中性)…青緑(弱いアルカリ性)…青(強いアルカリ性)

なんとなくイメージが掴めてきましたか?

それでは、なぜこんな反応が起こるのかを見ていきましょう。

\次のページで「4.イオン式での考え方」を解説!/

4.イオン式での考え方

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皆さんも H2O が水であるということはご存知ですよね。

この水というのは非常に安定した形で存在している中性の物質ですが、その中には水素イオン H+ と水酸化物イオン OH- というものが存在します。これが酸とアルカリを考える上で重要です。

水素イオン H+ は酸性を、水酸化物イオン OH- はアルカリ性を見分けるコツでもあり、先ほど説明した中和の反応も

酸性 H+ +アルカリ性 OH- →中性の水 H2O

と表すことができますよ。

4-1.酸性の見分け方"H+"

酸性の物質をいくつか挙げてみましょう。

実験でもよく用いる塩酸は HCl、硫酸は H2SO4 と表します。

塩酸 HCl → H+ + Cl-

硫酸 H2SO4 → 2H+ + SO42-

これらに共通するH+が酸性を見分ける1つの目安になりそうですね。

4-2.アルカリ性の見分け方"OH-"

続いて、アルカリ性についても同様に見ていきましょう。

アルカリ性は水酸化ナトリウム NaOH や水酸化カルシウム Ca(OH)2 が頻出物質です。酸性が○○酸であるのに対し、アルカリ性は水酸化○○が名称で見分けるコツになります。

水酸化ナトリウム NaOH → Na+ + OH

水酸化カルシウム Ca(OH)2 → Ca2+ + 2OH

このようにOHがアルカリ性の目印です。

\次のページで「5.酸とアルカリの強さ」を解説!/

5.酸とアルカリの強さ

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物質の性質は酸性とアルカリ性、それぞれ強度があります。そしてその中間が中性というわけです。

中性である水は水素イオン H+ と水酸化イオン OH がバランスよく存在しています。しかしこのバランスが傾き、水素イオン H+ が多い(水酸化イオン OH が少ない)ほど酸性が強く、水酸化イオン OH が多い(水素イオン H+ が少ない)ほどアルカリ性が強いということなのです。

その度合いを示したのがpHという指数で、0から14の数値で表しています。このpHが中性を意味する7より小さければ小さいほど酸性が強く、反対に7より大きければ大きいほどアルカリ性が強いということがわかりますよ。7から数字が離れるほど、人体への害も大きくなる傾向にあるということも覚えておきましょう。

5-1.中和を化学反応式で表す

中和の化学反応式を考えるコツは、水素イオン H+ と水酸化イオン OH の数を合わせ、水 H2O を作ることです。実際の式を見てみましょう。

・水素イオン H+ と水酸化イオン OH を1つずつ持つ塩酸と水酸化ナトリウムの反応

HCl + NaOH → NaCl (塩化ナトリウム) + H2O

・水素イオン H+ と水酸化イオン OH を2つずつ持つ硫酸と水酸化カルシウムの反応

H2SO4 + Ca(OH)2 → CaSO4 (硫酸カルシウム) + 2H2O

・水素イオン H+ 1つを持つ塩酸と水酸化イオン OH 2つを持つ水酸化カルシウムの反応

2HCl + Ca(OH)2 → CaCl2 (塩化カルシウム) + 2H2O

このように組み合わせを考えることで中和が起こり、塩化ナトリウム NaCl や硫酸カルシウム CaSO4 といった塩(えん)と呼ばれる物質が生成されます。また、一部の例外を除き、中和反応では水が生成されることを覚えておきましょう。

酸とアルカリは具体例で考えるから面白い

化学の基本となるイオンを使った考え方は、この酸とアルカリが入口!ここで挫けてしまうとそこから先に進むのが難しくなってしまうからこそ、しっかり身につけたい考えです。

まずは身近な例や頻出問題を解くことで基本をおさらいしつつ、次のステップへと学びを広げましょう。化学式の基本は足し算であることを知れば案外簡単に覚えることができますよ。

" /> 日常にある化学!「酸」と「アルカリ」の基礎知識を元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学

日常にある化学!「酸」と「アルカリ」の基礎知識を元塾講師がわかりやすく解説

今回は化学の基本中の基本、「酸」と「アルカリ」について勉強しよう。

化学を勉強するうえで避けて通れないのが様々な化学反応です。酸性とアルカリ性が混ざると中性になるということは聞いたことがあるでしょう。これが中和という反応なんだか…、まあ詳しいことはこれから説明しよう。

これから化学を学ぼうとするやつには酸とアルカリの見分け方を知ることが習得への近道です。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.そもそも酸とアルカリとは?

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酸とアルカリという言葉より、きっと酸性とアルカリ性の方が聞き覚えがあるのではないでしょうか。高校化学ではアルカリのことを塩基、アルカリ性の事を塩基性といったりしますね。

さらに、水に溶けて酸性の性質を示すものを酸、アルカリ性の性質を示すものをアルカリといいます。

頭の中が???でいっぱいの人もいそうですね。では、こう考えてみましょう。

お酢(調味料)が水に溶けると酢水(酸っぱい)になる。が水に溶けると酸性を示す。

つまり、酸やアルカリはその物質そのもの、酸性やアルカリ性はその物質が持つ性質ということです。

2.身近なもので酸とアルカリを考える

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本題に入る前に、まずは酸とアルカリの身近な例を考えてみましょう。そのヒントなるものが「酸は酸っぱくアルカリは苦い」の考え方です。

例えばお酢の主成分は酢酸、ヨーグルトには乳酸、レモンにはクエン酸という酸が含まれています。どれも酸味を感じるものですよね。酸性を示す物質は○○酸という名前そのものを見ても、判断がつきやすいでしょう。

一方でアルカリには家庭用洗剤、漂白剤、石鹸などの物質があります。誰しも一度くらいは誤って石鹸を舐めてしまった経験があるのではないでしょうか。舌に残る苦みを感じるはずです。

2-1.酸性の水溶液が示す性質

ここでも酸性の酸っぱいイメージが活躍します。

・青色リトマス紙を赤に変える

・BTB溶液を黄色に変える

これは梅やレモンといった酸っぱい食べ物のイメージで覚えましょう。

別の方法としては、

・溶液にマグネシウムリボンを浸け、泡(水素)を発生させる

・メチルオレンジを赤に変えるのは強い酸性、オレンジに変えるのは弱い酸性

というものがあります。

2-2.アルカリ性の水溶液が示す性質

アルカリ性は石鹸をイメージしてみましょう。

・赤色リトマス紙を青に変える

・BTB溶液を青に変える

石鹸は清潔感のある青がよく合いますよね。

別の方法としては、

・無色透明なフェノールフタレイン溶液を赤に変える

というものがありますよ。

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