T2ファージを標識
まず、T2ファージの外殻とDNAを標識します。標識というのは簡単に言えば、それぞれに違う色を塗って区別できるようにすることです。
ここで出てくるのが、外殻とDNAの構成要素の違い。ハーシーとチェイスはその構成要素に違いに目をつけました。DNAにはPがあり、タンパク質にはSが含まれていますね。これらを標識したT2ファージを大腸菌に寄生させて、子ファージのDNAとタンパク質を確認しました。
もし子ファージのDNAが親ファージと同じなら親から子に伝わる遺伝子はDNA、子ファージの外殻が親ファージと同じなら遺伝子はタンパク質であると言えますね。
5分間細菌内で増殖させる
T2ファージを標識した次は、T2ファージを大腸菌に寄生させる過程です。DNAを標識したT2ファージとタンパク質を標識したT2ファージをそれぞれ大腸菌に寄生させます。その後は5分間放置。
すると、大腸菌内で子ファージがみるみるうちに増殖し、最終的には大腸菌を破裂させて子ファージが飛び出します。この子ファージのDNAとタンパク質の標識を確認することで、遺伝子の正体を突き止めるのです。
遺伝子の正体はDNAであると判明
最終的に大腸菌を破って出てきた子ファージのDNA、タンパク質はどうなっていたのか…
実験結果は、DNAは親ファージと同じ標識がされたもので、タンパク質は親ファージの標識がされたものではないことがわかりました。
この結果からハーシーとチェイスは親から子に伝わる遺伝子とはDNAであるということを決定づけたということです。
ハーシーとチェイスはファージの構成要素に着目した
この実験でわかったことは遺伝子はDNAであるということですが、それと同じく大事になることはどのように実験をしたかということです。
ハーシーとチェイスはT2ファージのDNAとタンパク質の構成要素に着目しました。構成要素に違いがあるからこそこの実験ができたのです。さらに、都合が良いことにT2ファージは大腸菌に寄生するという特徴を持っています。これによって、子ファージのDNAとタンパク質が親ファージと同じかどうか確認すれば遺伝子の正体がわかると考えたのです。
このことをしっかりと覚えておけば、人に説明するときにも困らないのではないでしょうか。