DNA …C、H、O、N、P
タンパク質…C、H、O、N、S
になっています。この構成要素の違いが遺伝子はDNAであると決定づける実験で大きな鍵になってくるのです。
細菌に感染して増殖する
T2ファージは大腸菌に寄生し、自らの子孫を残すために大腸菌内に自らのDNAを注入します。すると何が起こるのでしょうか?
DNAを注入してから大腸菌のDNAは跡形もなく消滅するのですが、ここまでの時間はたったの5分。大腸菌のDNA消滅がT2ファージのDNA複製の合図に、一気にT2ファージのDNAを増殖していくのです。
DNAの複製がある程度進むと、次に起こることはT2ファージの外殻の形成。タンパク質から作られる外殻がどんどん作られます。そして無数の新しいT2ファージが大腸菌内にでき、大腸菌外へと放出されるのが一連の流れです。
30分もあれば細菌を破裂させるほど増殖
T2ファージが大腸菌に寄生してから、大腸菌内で子ファージを産生し、大腸菌外へと放出するまでの時間はとても短いです。その時間はわずか30分。
寄生から30分経つと、大腸菌が破裂して、そこから子ファージがたくさん放出されますが、菌が破裂することを「溶菌」と言います。この言葉はよくテストなどに出題されるので、生物の勉強をするときには覚えておきましょう。
ちなみに溶菌してしまった大腸菌は死んでしまいます。T2ファージに寄生されたら一生の終わり。そんな気持ちで大腸菌は日々生きていかなければなりません。
#3 ハーシーとチェイスの実験
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さて、ついにこの記事の本題に入っていきます。ここまでハーシーとチェイスやT2ファージというウイルスについての基本的な情報について解説してきました。ここからは実際にハーシーとチェイスはどのような実験をして、遺伝子はDNAであると決定づけたのかということについて解説していきます。
なんども繰り返しになりますが、この実験においてカギになるのはT2ファージの構成元素ですので、しっかりと構成要素を頭の中に思い浮かべてくださいね。
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