なす角をθとすると、水平方向はFcosθ、鉛直方向はFsinθで求められます。
ここではθ=45°なので、それぞれFcosθ=√2、Fsinθ=√2となります。
これで力は鉛直方向と水平方向に分けられました。
まずは、今まで通り鉛直方向について考えます。OA間は2m、sinθ=√2N、Fは棒を時計回りに回転させるため、+√2×2=+2 (N*m)です。
次に、水平方向について考えます。この力の方向は、棒の中を通るような方向であることがわかるでしょうか。
ここで、以前お教えした「力が加わる点と、モーメントを知りたい点の距離が0のときではモーメントは0になる」という考え方を使います。力が棒を通るような方向ということは、点Oも通るイメージがつきますか?つまり、水平方向の力と点Oとの距離は0です。
そのため、水平方向の力Fcosθが点Oに与えるモーメントは0ということになります。
したがって、この問題に対する回答は、「点Oには時計回りに2(N*m)のモーメントが発生する」です。
ここで勘違いしがちな点があります。それは、問題によっては必ずしも片方のモーメントが0になるわけではない点です。
この例では、水平方向の力が0となりましたが、仮に棒が斜めに配置されていたりすると点Oと力が一直線にはなりません。そのようなときは、注意して力と点の距離を考えましょう。(力学は図にメモを書き込みながら考えるとわかりやすいですよ)
モーメントの考え方は難しくない
モーメントは取っつきにくそうですが、ベクトルであることに気を付ければ単純な足し算と掛け算の計算から成り立っています。
今回は横たわった棒を例に考えました。実際には箱やトラスといった複雑な形のものにもモーメントはあります。しかし、この棒の考え方を応用すれば理解が進むでしょう。