3 例題を参考にした式の考え方
image by Study-Z編集部
具体例を参考に説明していきましょう。
ここでは、点Aに加えられた力Fが、棒の中心点Oに与えられるモーメントについて考えていきましょう。前提として、時計回りを正として考えます。
実際にOにかかるモーメントを計算します…が、式や図を見てわかるとおり、計算自体はとても簡単なものです。OA間は2m、F=4N、Fは棒を時計回りに回転させるため、
M=+4×2=+8(N*m)となります。つまり、「点Oを中心に8(N*m)の力で時計回りに回転する」と考えてください。
ここで注意してほしいことは、モーメントは「ベクトル」であるということです。
回転にも時計回り、反時計回りと向きがありますよね?モーメントはその「向き」を考慮したものであるため、数式でもそれを反映させます。
3-1 では、点Aでのモーメントは?
次に、点Aに与えられるモーメントについて考えてみましょう。モーメントは力と距離の積ですが、力Fは点Aに加えられていますね。つまり、距離は0となってしまいます。
このことから、点Aに与えられるモーメントは0、つまりありません。「点Aを中心に回転はしない」ということです。
てこの原理を思い出してみてください。力点は遠ければ遠いほど、重いものを持ち上げられますよね?それと同様に力が加えられた点(点A)と知りたい点(点O)が離れているほど、モーメントは大きくなり、逆に近いほど小さくなります。
ここで学んだ「力が加わる点と、モーメントを知りたい点の距離が0のときモーメントは0になる」という特性はぜひ覚えておいてください。
4 モーメントのつり合い
モーメントは回転を表す、とお教えしましたが、力が加えられていても必ずしも回転しているとは限りません。力のつり合いがあるように、モーメントにもつり合いが存在するのです。
複数のモーメントが物体に加えられていても、それがつり合っていれば回転しないといえます。
\次のページで「4-1 ふたつ以上の力が加わったときのモーメント」を解説!/