今回は、電気を理解するうえでは欠かせない「直列回路」を「電流・電圧・抵抗」を使って説明していきます。
直列回路は、電圧や抵抗が隣り合ってつながっている回路のことです。直列回路の基本的な働きや仕組みを理解することで、電気のことがよりわかりやすくなるはずです。

高校、大学、大学院と電気を専攻してきたライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/さとるめし

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。

1. そもそも直列回路とは?

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直列回路と急に言われても、何のことやら…と思った方も少なくないはず。

漢字から、真っ直ぐな列の回路であることがわかるかと思います。何が真っ直ぐな列なのか、具体的に考えていきましょう。

2. 直列回路に必要な電圧と電流と抵抗

真っ直ぐな列が何なのかを説明する前に、簡単に電圧・電流・抵抗のについて説明していきます。

2-1. 電圧の役割

2-1. 電圧の役割

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電圧は、電気の圧力、と言えるでしょう。電流を押し出す力のことであり、この押し出す力は抵抗によって変化することが、オームの法則からわかります。

単位は[V]と表記され、読み方はボルトです。直流の直列回路の場合、画像のような回路図記号を使うのですが、ここで注意点。2本の棒、左右で長さが違いませんか?実は、この違いには大きな意味があります。長い方がプラス(+)、短い方がマイナス(-)と区別されているんです。

直流回路は電圧のプラスから始まり、マイナスで終わります。このプラスマイナスを間違えると、回路の働きが変わってしまう場合があるので気を付けましょう。

直流とは?

直流とは、乾電池のように一定の電圧を出し続ける電源のことです。似たもので、交流があります。こちらは、常に電圧の大きさが変化する電源です。

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電圧のプラスマイナスがなくなってしまうと…?

回路を書く際、プラスとマイナスをしっかり区別しないと電圧ではなくなってしまうので注意!実は、電圧とそっくりな記号のコンデンサがあります。コンデンサは、ざっくり説明すると電気を貯める役割なので、電圧とは全く別物なのです。

たかが棒、されど棒だと思ってしっかり確認しましょう!

\次のページで「2-2. 電流の役割」を解説!/

2-2. 電流の役割

2-2. 電流の役割

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電流は、回路を流れる水のようなものです。電圧によって押し出され、抵抗を乗り越えて進むとい考えることができます。

単位は[A]と表記され、読み方はアンペアです。電流を表す回路図記号はありません。電流は回路を流れる水のようなものなので、回路に書かれた道のような線は、すべて電流であるといえます。

2-3. 抵抗の役割

2-3. 抵抗の役割

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抵抗は、その名の通り電流の流れを阻む、電圧の力に抵抗する存在です。邪魔な存在なら、無くせばいいのでは?と考えた方もいるかも。しかし、オームの法則から、抵抗はなくてはならない存在であることがわかっています。

単位は[Ω]と表記され、読み方はオームです。抵抗の回路図記号は画像のようなものを使います。本やサイトによってはいくつか表記方法がありますが、現在JIS規格で定められている最も正式なものは1のものです。

JIS規格って何?

抵抗は、四角いものが正式なのですが、なぜ複数あるのでしょう?いろいろあると、全部覚えなければならないし、どれを使っていいのかわからないですよね。

実は、抵抗の回路図記号はJIS規格というもので決められています。このJIS規格のルールが変わったばかりなので、古いものと新しいものが混ざっている状態なのです。本来JIS規格は、こうした混乱を避けるために、日本全国で同じ記号やマークを使おうと定められたものですが、抵抗に関しては、まだ統一が進んでいないという現状があります。

\次のページで「3. 直列回路の特徴は?」を解説!/

3. 直列回路の特徴は?

直列回路は、真っ直ぐな列の回路と説明しました。何が真っ直ぐなのかというと、電圧や抵抗です。電圧や抵抗が、電流の線に沿って横一列につながっていることが、直列回路の大きな特徴といえます。横につながっていれば、数は関係なく直列回路です。

また、直列回路において電流は一定になります。回路の中で電流が通る道は1本しかないので、電流は増えることも減ることもありません。

4. 直列回路を見てみよう

それでは、実際に回路図を見てみましょう。

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電圧や抵抗が、横に並んでいますね。このように、横に同じものが並んでいる状態を直列回路といいます。実際の回路では、直列に並んでいるのは電圧だけ・抵抗だけという場合も多いです。横一列にならんでいる、まさにその言葉通りの回路であることがわかると思います。

ただし、ここで注意です。直列は、同じものが複数並んでいる場合でないと直列とは言えません。例えば、抵抗・電圧・抵抗、という順番で並んでいる場合には抵抗は直列であるとはいえません。

\次のページで「5. 直列の電圧や抵抗はどう扱うの?」を解説!/

5. 直列の電圧や抵抗はどう扱うの?

複数同じものが並んでいる場合、どのように回路を扱うのでしょうか?実は、直列の場合には電圧も抵抗も足し算で合計することができます。

電流は回路全体で一定です。また、電圧は抵抗ごとに下がってしまう性質があります。そのため、足し合わせた抵抗と回路の電流で、元の電圧を求めることができるのです。また、電圧は力であると考えると、直列につながっていれば力が足し合わせられるということが感覚的にわかると思います。

5-1. 電圧の場合

電圧が直列に並んでいる場合、足し算で合計することができます。ただし、電圧にはプラスとマイナスがありますので、足し算をするときには向きに気を付けてください。

複数ある電圧のプラスが同じ方向を向いているときには、そのまま足し算ができます。電圧のプラスが向かい合っているとき、この場合にはどちらか基準を決めて、反対向きの電圧を基準の電圧から引くというテクニックが必要です。

5-2. 抵抗の場合

抵抗には向きがありません。そのため、直列でつながっている限りいくらでも足し算で求めることができます。

6. 例題を解いてみよう

6. 例題を解いてみよう

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実際に解いてみると、直列回路がどんなものかわかりやすいでしょう。

まずは上の電圧から。電圧が二つ並んでいますね。しかし、よく見ると電圧の向きが違います。左の電圧を基準に、電圧の合計を計算してみましょう。

10V+(-5V)=5V

10Vの電圧に対し、5Vの電圧は逆の向きになっているので、-5Vとして足し算をしました。結果的には引き算となっています。

次に、下の抵抗です。なんと抵抗が4つも並んでいますね。ですが、すべて直列に並んでいるので足し算で簡単に計算できてしまいます。

15Ω+20Ω+15Ω+20Ω=70Ω

とても簡単ですね。数が多くても、直列であれば足し算をするだけで一つの電圧、一つの抵抗と考えることができます。

直列回路は難しくない!

今回は、直列回路について電圧・電流・抵抗から勉強しました。直列回路と言われると難しく感じてしまいますが、扱いさえわかってしまえば難しくありません。苦手意識を持たず、少しずつ理解していきましょう。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

【物理】「直列回路」と「電圧・電流・抵抗」について理系大学院生がわかりやすく解説!3分で簡単電気の基礎

今回は、電気を理解するうえでは欠かせない「直列回路」を「電流・電圧・抵抗」を使って説明していきます。
直列回路は、電圧や抵抗が隣り合ってつながっている回路のことです。直列回路の基本的な働きや仕組みを理解することで、電気のことがよりわかりやすくなるはずです。

高校、大学、大学院と電気を専攻してきたライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/さとるめし

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。

1. そもそも直列回路とは?

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直列回路と急に言われても、何のことやら…と思った方も少なくないはず。

漢字から、真っ直ぐな列の回路であることがわかるかと思います。何が真っ直ぐな列なのか、具体的に考えていきましょう。

2. 直列回路に必要な電圧と電流と抵抗

真っ直ぐな列が何なのかを説明する前に、簡単に電圧・電流・抵抗のについて説明していきます。

2-1. 電圧の役割

2-1. 電圧の役割

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電圧は、電気の圧力、と言えるでしょう。電流を押し出す力のことであり、この押し出す力は抵抗によって変化することが、オームの法則からわかります。

単位は[V]と表記され、読み方はボルトです。直流の直列回路の場合、画像のような回路図記号を使うのですが、ここで注意点。2本の棒、左右で長さが違いませんか?実は、この違いには大きな意味があります。長い方がプラス(+)、短い方がマイナス(-)と区別されているんです。

直流回路は電圧のプラスから始まり、マイナスで終わります。このプラスマイナスを間違えると、回路の働きが変わってしまう場合があるので気を付けましょう。

直流とは?

直流とは、乾電池のように一定の電圧を出し続ける電源のことです。似たもので、交流があります。こちらは、常に電圧の大きさが変化する電源です。

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電圧のプラスマイナスがなくなってしまうと…?

回路を書く際、プラスとマイナスをしっかり区別しないと電圧ではなくなってしまうので注意!実は、電圧とそっくりな記号のコンデンサがあります。コンデンサは、ざっくり説明すると電気を貯める役割なので、電圧とは全く別物なのです。

たかが棒、されど棒だと思ってしっかり確認しましょう!

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