物理の中でも最も現象がわかりにくい電気分野の中から、オームの法則について勉強していきます。

オームの法則は、電圧・電流・抵抗の三要素によって成り立つ法則です。オームの法則は、電気に関する様々な現象を理解する上で必ず最初に必要となってくる。つまり、これを覚えれば電気の基本はしっかり理解したといえるな。

高校、大学、大学院と電気を専攻してきたライターさとるめしと一緒に解説していきます。

ライター/さとるめし

工業高校電気科卒、大学、大学院と電気工学を専攻している現役大学院生。「電気はよくわからない…」と言う友人や知人に、どうすればわかりやすく電気について理解してもらえるか、日々考えながら過ごしている。

1. 電気とオームの法則とは?

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「電気」と言われても、なかなかイメージがわきにくいかと思います。なぜなら、電気そのものは目に見えないから。そのため、きっと「電気」という分野に苦手意識を持っている方も多いと思います。しかし、その苦手意識を「オームの法則」が変えてくれるでしょう!

ずばりオームの法則は、電圧・電流・抵抗の関係性を表した法則です。電気というものを端的に表した法則といえます。

早速、オームの法則の式を見ていきましょう。

2. オームの法則の公式は?

2. オームの法則の公式は?

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V:電圧[V]、I:電流[A]、R:抵抗[Ω]として表した式が、上のものになります。

電圧、電流、抵抗について教えて!

電圧: V[V] 単位の読み方はボルト。電流を押し出す役割がある。

電流 I[A] 単位の読み方はアンペア。抵抗を乗り越えて進む。

抵抗: R[Ω] 単位の読み方はオーム。電圧が電流を押し出すのを邪魔する。そのため、電圧は邪魔されるたび小さくなる。

3. オームの法則からわかること

次は、オームの法則からわかることを説明していきます。電気とは何か、そして電圧・電流・抵抗の関係を考えていきましょう。

\次のページで「3-1. 電気とは何か」を解説!/

3-1. 電気とは何か

公式から、電圧・電流・抵抗のどれか一つでも欠けてしまうと、式が成り立たなくなってしまうことがわかります。具体的に説明すると、この式のどこかに0を当てはめたとき、数学的に成り立たないということです。そして、オームの法則は電気というものを端的に表した式であるというお話をしました。

このことから、電気は電圧・電流・抵抗の3つが揃って初めて存在するということがわかります。

身近な例でオームの法則を教えて!

じゃんけんは、グーチョキパーのどれか一つでも欠けてしまうと勝負になりませんよね。実は、オームの法則と一緒なんです!オームの法則も、電圧・電流・抵抗のどれかが欠けてしまうと成り立たないのです。

3-2. 電圧・電流・抵抗の関係

オームの法則から、この3つの要素の関係がわかります。

例えば、電流を一定として考えてみましょう。電圧を大きくしたい場合、抵抗は大きくすべきでしょうか?小さくすべきでしょうか?電流は変わらないので、抵抗は大きくすべきですね。オームの法則は、いわゆる比例関係にあるといえます。そのため、抵抗を一定にする場合は、電流を大きくすれば電圧も大きくなることがわかりますね。

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比例関係について教えて!

数学の授業で、 

y=ax

という式を勉強した記憶がある方もいるのではないでしょうか?オームの法則も、まったく同じです。yを電圧、aを抵抗あるいは電流、xを電流あるいは抵抗として考えると、わかりやすいと思います。

4. 電気回路と組み合わせて考える

オームの法則がどういうものか、なんとなくわかってきたと思います。

では次は、実際に電気回路と組み合わせて考えていきましょう!実際にオームの法則を見るときは、電気回路も一緒に載っていることが多いはず。回路は苦手、という方も一緒に慣れていきましょう。

\次のページで「4-1. 電圧を求めてみる」を解説!/

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Vが電圧、Iが電流、Rが抵抗です。この回路とオームの法則で、どんな計算ができるのでしょうか?

4-1. 電圧を求めてみる

4-1. 電圧を求めてみる

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では、電流Iを2A、抵抗Rを5Ωとしたときの電圧を求めてみましょう。オームの法則は、

V=IR

でしたね。IとRに数値を当てはめれば、10Vであることがわかります。これは結構簡単だったでしょうか?

4-2. 電流を求めてみる

4-2. 電流を求めてみる

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次は、少し難易度が上がります。

電圧Vが2V、抵抗Rが10Ωのときの電流Iを求めてみましょう。電流を求めるためには、式の変形をする必要がありますね。Iの式に変形すると、

I=V/R

になります。この変形ができれば、あとは数値をあてはめるだけですね。電流Iは、5Aになります。

5. 応用的なオームの法則の使い方

ここまで読み進んできた方は、きっとオームの法則をもっと使いこなしたいという方に違いない!もう少し複雑な問題を考えてみましょう。今回は、抵抗が直列に複数つながっている場合を考えていきます。このときの回路全体の電圧を求めてみましょう。

ところで、抵抗って、増えるの…?と思った方もいるはず。実際に世の中にあふれている電気回路は、抵抗を何個も使っている場合が多いのです。そんな場合にも、オームの法則は使うことができます。

step1. 電圧を求めるまでの流れ

抵抗が複数直列に並んでいる場合、電圧はそれぞれの抵抗ごとに下がっていきます。そのため、回路全体の電圧を求めるためには抵抗ごとに下がっている電圧を求めて、最後にそれぞれの電圧を足す必要があるのです。少し道のりが長いですが、やることはオームの法則だけなので難しく考えることはありません。

\次のページで「step2. 抵抗ごとの電圧を求める」を解説!/

step2. 抵抗ごとの電圧を求める

step2. 抵抗ごとの電圧を求める

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それでは実際の回路を見てみましょう。

まず、抵抗Aの電圧を求めます。これは、オームの法則から求められますね。電流は5A、抵抗は10Ωなので抵抗Aで下がる電圧は50Vになります。次に、抵抗Bの電圧です。同じくオームの法則から、電流は5A、抵抗は5Ωなので電圧は25Vであることがわかります。

step3. 回路全体の電圧を求める

抵抗A、抵抗Bで下がる電圧が求まりました。最後に、それぞれの電圧を足せば75Vになることがわかります。

電圧は抵抗の数だけ下がる?

電圧は、抵抗ごとに下がっていく、とお話しました。でも、解釈が難しいですよね。もっと簡単に考えてみましょう。

抵抗は電圧の邪魔をする、と紹介しました。邪魔された電圧は、邪魔された分だけやる気をなくしてしまいます。しかし、電流を押し出さなければならないのでやる気がゼロになることはありません。どのくらいやる気が残るのかは、電流と抵抗の大きさによるのです。今回の例題は、回路全体でどれだけ電圧のやる気があるのかを求めようとしています。

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直列と並列は、抵抗の並び方の違いです。

抵抗が横に並んでいるものが直列、並行して並んでいるのが並列です。電圧を求める場合、直列に並んでいる場合には、抵抗ごとに電圧が下がっていくため足し算をする必要があります。しかし、並列の場合には、それぞれの抵抗で下がる電圧は同じになります。つまり、並列部分全体で電圧が下がると考えることができるのです。

オームの法則はとても簡単!

今回は、オームの法則からわかること・オームの法則の使い方について勉強しました。電気は目に見えないので、なかなかとっつきにくい分野だと思います。しかし、公式としてだけでなくオームの法則がどのような意味を持つのか、も併せて覚えられるときっと理解が進むのではないでしょうか。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

【物理】「オームの法則」について理系大学院生がわかりやすく解説!3分で簡単電気の基礎

3-1. 電気とは何か

公式から、電圧・電流・抵抗のどれか一つでも欠けてしまうと、式が成り立たなくなってしまうことがわかります。具体的に説明すると、この式のどこかに0を当てはめたとき、数学的に成り立たないということです。そして、オームの法則は電気というものを端的に表した式であるというお話をしました。

このことから、電気は電圧・電流・抵抗の3つが揃って初めて存在するということがわかります。

身近な例でオームの法則を教えて!

じゃんけんは、グーチョキパーのどれか一つでも欠けてしまうと勝負になりませんよね。実は、オームの法則と一緒なんです!オームの法則も、電圧・電流・抵抗のどれかが欠けてしまうと成り立たないのです。

3-2. 電圧・電流・抵抗の関係

オームの法則から、この3つの要素の関係がわかります。

例えば、電流を一定として考えてみましょう。電圧を大きくしたい場合、抵抗は大きくすべきでしょうか?小さくすべきでしょうか?電流は変わらないので、抵抗は大きくすべきですね。オームの法則は、いわゆる比例関係にあるといえます。そのため、抵抗を一定にする場合は、電流を大きくすれば電圧も大きくなることがわかりますね。

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比例関係について教えて!

数学の授業で、 

y=ax

という式を勉強した記憶がある方もいるのではないでしょうか?オームの法則も、まったく同じです。yを電圧、aを抵抗あるいは電流、xを電流あるいは抵抗として考えると、わかりやすいと思います。

4. 電気回路と組み合わせて考える

オームの法則がどういうものか、なんとなくわかってきたと思います。

では次は、実際に電気回路と組み合わせて考えていきましょう!実際にオームの法則を見るときは、電気回路も一緒に載っていることが多いはず。回路は苦手、という方も一緒に慣れていきましょう。

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