
仏教の広がり
仏教徒は全世界で約5億人いると推定されていて、その多くが居住するのはアジア圏です。近年では、中東やヨーロッパ、アフリカなどで仏教徒の人口が増加している地域もあります。
発祥の地インドで仏教は数世紀にわたり安定した成長を見せていましたが、後に衰退しました。イスラム勢力の侵攻や、バラモン教と土着の民俗信仰を融合したヒンドゥー教がより生活に密着していたことなど、様々な理由があったと言われています。現在、インドでは仏教ではなくヒンドゥー教がもっとも信者数の多い宗教です。
仏教の各地への伝播には、シルクロードが大きな役割を果たしたと考えられています。シルクロードを西方面に伝わりながら、仏教は中国などアジアの各地域へ広まっていきました。
日本に仏教が伝来したのは538年のことで、百済(朝鮮半島)から持ち込まれました。日本では特定の信仰宗教を持たない人の割合が多いものの、ほとんどの人は広義の仏教徒に含まれます。
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最大の宗教ではない?
世界三大宗教という名前から、キリスト教・イスラム教・仏教は信者数の多い上位3宗教だと勘違いしてしまう人もいます。しかし、そうではありません。
世界で最も信者数が多いのはキリスト教、次いでイスラム教も人口規模の大きな宗教ですが、世界第三位の人口を擁するのは仏教ではなくヒンドゥー教です。ヒンドゥー教徒は約10億人と、仏教徒のおよそ2倍の人々が信仰しています。
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世界宗教と民族宗教
なぜ人口規模より大きなヒンドゥー教(約10億人)ではなく、仏教が世界三大宗教に含まれているのでしょうか?それは、ヒンドゥー教の信者のほとんどがインドに居住していて人口分布がかたよっているからです。仏教はアジアを中心に信仰され地域分布に多少のかたよりがあるものの、ヒンドゥー教と比べると信者は世界中に広く分布しています。
宗教はそもそも、あるひとつの民族や地域から発祥するものです。そのためどの宗教も、初めは特定の地域や民族のみに信仰される民族宗教なのですね。そうした観点から見ると、ヒンドゥー教はインドの民族宗教と言えるでしょう。また、日本人になじみの深い神道は日本の民族宗教です。
民族宗教には、やがて各地に広まり世界宗教となるものもあります。キリスト教・イスラム教・仏教は、ただ信者数が多いというだけでなく、地理的な隔たりや民族的な相違を越えて世界各地で人々の文化や生活に影響を与えていますね。つまり、これらは世界宗教なのです。
ヒンドゥー教でなく仏教が世界三大宗教に数えられているのは、そうした理由によります。
世界三大宗教は人種の垣根を越えて広がっている
日本に暮らしていると、宗教は特別なものだと感じることがあるかもしれません。けれど、宗教上の儀式や習慣は私たちの生活の中にも深く根付いています。また、「世界三大宗教」と呼ばれるキリスト教・イスラム教・仏教は、世界各地で歴史や文化を築いてきました。
宗教間や宗教内での対立が戦争や紛争を引き起こす例もたくさんありますね。宗教を知ると世界史が理解しやすくしやすくなるだけでなく、世界で今起きている様々な問題の原因もわかるようになるのです。
宗教の歴史は私たち人類の歴史と密接にかかわっています。歴史を紐解くために、ぜひ様々な宗教について学んでみてください。