三国時代・三国志世界史中国史歴史

三国志で最も悪辣といわれた「董卓」とは、本当に悪人だったのか?その一生を中国史マニアがわかりやすく解説

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 董卓が率いていた軍は、皇甫嵩(こうほすう)という武将に引き継がれ、さらには反乱終結を実現したんだな。この活躍は董卓の耳にも届いていたはずだ、この時の気持ちはいかなるものだったんだろう。

第12代霊帝が崩御、その子らを保護したことにより、強大な権力を手にする

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 『黄巾の乱』は終息しましたが、その年の冬に再び西方で羌族が主体となった反乱が起こります。この時派遣されたのが、董卓と皇甫嵩だったのです。皇甫嵩は一度罷免されますが、西暦188年、反乱軍が陳倉城(ちんそうじょう)を包囲した際に、再び犬猿の仲である二人が派遣されます。

 董卓と皇甫嵩は作戦を巡り対立していきました。そんな中、皇甫嵩が董卓の進言の逆を突き、その作戦で反乱軍に大勝してしまったのです。皇甫嵩は「董卓は全く的を射ていない」と言い放ち、董卓はまたしても美味しい所を取られてしまいました。

 そんな中、中央では一大事が起きていました。第12第霊帝が没したのです。霊帝には2人の子がおり、兄である劉弁(りゅうべん)が第13第小帝となりました。しかし同時に権力争いが起き、その最中、宦官の一人により小帝とその弟である劉協(りゅうきょう)が連れ去られる事件が起こります。

 その時追撃を行ったのが、董卓だったのです。董卓に追いつめられ、その宦官は自害してしまいます。董卓は徒歩でさまよっていた小帝と劉協を保護したあと、帰路で二人と話をしました。この時、小帝はオロオロと、満足に会話が出来なかったのに対して、劉協は一連の事情を滞りなく話したことから、董卓は劉協の賢さに気付きます。

三国志最大の猛将「呂布」を護衛に

 董卓は2人を丁重に保護し、都・洛陽に凱旋しました。皇帝の保護者として、董卓はあっという間に王朝の中枢に入ってしまったのです。しかし、この時の董卓の軍勢は3000人ほどしかいませんでした。

 中央を抑えるには不十分だと感じていた董卓は、まず小帝の叔父にあたる「何進」(かしん)の軍を自軍に編入します。何進は権力争いの最中に、罠に嵌められ殺されていました。

 次に目をつけたのが、「丁原」(ていげん)です。丁原は騎馬の扱いに長けた名称であり、その暗殺には失敗してしまいます。しかし、丁原の部下である「呂布」(りょふ)に働きかけました。呂布は三国志最強の武勇を持ち、弓馬に優れた『飛将』と称される英傑でした。呂布は董卓の誘いに乗ると、丁原を殺害し、帰順、董卓の養子となります。

 そして丁原の部下も董卓の手中に納まったのです。董卓は自身に向けられる遺恨に気付いていたのか、呂布を護衛として常に傍に置いていたと言われています。

第14代献帝を立て、中央権力を我が物にする

 このようにあっという間に権力を手に入れた董卓は、宰相を罷免し、自らがその地位につきました。そして、ついに大きな一手を打ちました。董卓は皇帝廃立を宣言、小帝は廃位され、その弟・劉協を第14代献帝としたのです。宰相となった董卓は、政権の基盤を築くため、『党錮の禁』で排斥・処刑されてしまった名士を取り立てていきます。

 その中には、将軍時代から付き従っていた地元の優秀な部曲(私兵のこと)達も入っており、武官としていました。董卓は本来、一介の将軍です。そんな董卓が中央に入るなど、異常なこと。これも王朝がま

自らは相国(しょうこく)という、皇帝をも超える地位に昇格する

 董卓はついに、臣下としての最高位、『相国』(しょうこく)と呼ばれる地位につきます。

 相国とは、古来の中国で劉邦に仕えた名宰相「蕭何」(しょうか)と、それに次ぐ功臣であった「曹参」(そうさん)が任命されて以来、この2人だけのもの、というほどに位の高い地位です。実際、董卓が相国に昇格するまで、永久欠番となっていた称号でした。

 これ以来董卓は、朝廷で靴を履いたまま昇殿し、献帝に謁見する際に、名も名乗らず、帯刀すらも許されていました。董卓はもはや、皇帝以上の力を持っていたのです。

 都・洛陽では富豪を襲って金品・財宝を奪い、陽城(ようじょう)という土地では、祭りに参加していた住民を皆殺しにしました。婦女を捕らえては兵士の娼婦にしてしまい、凱旋する際には、殺した人間の首を車に掛けて巡行していました。刑罰を厳しくして、些細なことでも必ず報復したため、人々は安全を保つことが出来ませんでした。董卓は、暴虐の限りを尽くし、暴君へと変貌していきます。

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ついに董卓は、皇帝を超える力を持ってしまったのだな。暴虐の限りを尽くし、暴君へと変貌していく…。武勇に優れ、義侠心に富んだ青年はなぜここまで変貌してしまったのだろう、また、董卓を止める者はいなかったのか?董卓の悪政はまだまだ続いていくようだ。

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