
【タンパク質の機能】タンパク質の構造とその特徴を、生物専攻ライターが5分でわかりやすく解説!<第4回>

ここまで、第1回ではタンパク質とアミノ酸の構造、第2回ではタンパク質の立体構造に関わるアミノ酸の特徴やタンパク質の性質、第3回ではタンパク質ができるまでのプロセスを解説した。今回は生体内のタンパク質にはどんな種類があってどんな機能をもっているのかを紹介していこうと思う。とはいっても、タンパク質には膨大な種類があり、とてもすべてを紹介することはできない。ここでは、高校の生物で取り上げられることの多い、特に重要なタンパク質を扱っていくぞ。
この記事を読んだ諸君には、タンパク質が生体の中で具体的にどんなはたらきをしているのかを知ってもらい、タンパク質がいかに多種多様で、かつ重要な物質だってことを少しでも分かってほしい。理系大学生ライターこみとりと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/こみとり
某国立大に通う理系ライター。高校時代から生物の図説を愛読している。今回は生体を構成するのに不可欠な物質、「タンパク質」についてまとめた。

一口に「タンパク質」といってもその種類はさまざまだ。ヒトのからだに含まれるタンパク質には例えばどんなものがあるか見ていこう。なお、ここからは各分野を横断する形で多くのタンパク質を紹介していく。知らないタンパク質の名前があっても慌てる必要はないぞ。教科書の分野に関わらず、生体ではタンパク質がどれほど重要な役割を担っているかを分かってほしい。余裕のある諸君は、タンパク質の名前を見たら、説明文を読む前に自分で説明できるか挑戦してみてくれ。
#1 筋肉
Sokurates – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ヒトのからだを構成している物質として、筋肉は欠かせませんね。ここでは骨格筋に注目してみましょう。骨格筋を構成する筋繊維(筋細胞)は、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントという繊維からなります。ミオシンフィラメントを構成するミオシン、アクチンフィラメントを構成するアクチン、トロポニン、トロポミオシンはいずれもタンパク質です。
その他、骨格筋にはミオグロビンという、酸素を蓄えるはたらきをもつタンパク質も含まれます。

筋肉に着目してみるだけでも、ずいぶん多くのタンパク質があるな。
では、どんどん次へいってみよう。
#2 酵素
「生体内ではたらくタンパク質といえば酵素!」と言ってもいいかもしれません。それほどまでに、酵素は重要なタンパク質なのです。
例えば、ATP合成酵素、光合成のカルビン・ベンソン回路に関わるルビスコ、呼吸に関わる脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)があります。(特にNAD⁺,FADは呼吸に関わる補酵素として有名です。これらが水素を受け取って、ミトコンドリアの膜間腔にH⁺の濃度勾配を形成していく様子がイメージできたでしょうか?)私たちが今こうして無意識に呼吸している間も、酵素によって反応が進み、エネルギーがつくられているのですね。
酵素は語尾が「アーゼ」となるよう名付けられたものが多いです。代表例を挙げると、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、過酸化水素を分解するカタラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、といったところでしょうか。
先程紹介した筋肉は体を構成するパーツだったのに対し、酵素は非常に小さく、ちょこまかと動き回ってお仕事をしているイメージが(著者にとっては)あります。
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