今回は爬虫類について学びなおそう。

ヘビやトカゲ、カメ、ワニなど、爬虫類には身近な動物が少なくないが、どんな特徴をもったグループなのか、ちゃんと考えたことはあるでしょうか?子どもでも知っている生物たちだからこそ、改めて見直してみたい。

大学で分類学を中心に勉強していた現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

爬虫類とは?

爬虫類(は虫類)は、脊椎動物にふくまれる分類群の一つ。一般的には爬虫綱というグループとして認識されています。

爬虫類に含まれている種の数は、現存も生き残っているもので1万以上といわれていますが、環境の変化により絶滅に追い込まれている種も少なくありません。南極大陸をのぞいた全世界に何らかの爬虫類が暮らしています。

爬虫類にみられる基本的な特徴には以下のようなものがあります。

・四脚歩行する(四肢動物)

・体表がうろこでおおわれている

・卵から生まれる

・変温動物である

上記の特徴に当てはまらない例外もありますが、爬虫類に共通するポイントとして覚えておきましょう。

さて、この爬虫類はさらに大きく4つのグループに分けることができます。有鱗目、ワニ目、カメ目、ムカシトカゲ目です。

\次のページで「有鱗目」を解説!/

image by Study-Z編集部

それぞれのグループについてさらに詳しく解説していきます。

有鱗目

image by iStockphoto

有鱗目は、爬虫類の中でも最も多くの種を含むグループです。その数は7000種以上ともいわれています。代表的な爬虫類が多く属するグループといってもいいでしょう。このグループは爬虫類の中でも比較的新しい時代に生じたといわれています。爬虫類全体の種数のうちの90%以上を占めるまでに種が増えたことからも、かなりの勝ち組といえそうです。

この有鱗目にふくまれる種は、さらにトカゲ亜目ヘビ亜目ミミズトカゲ亜目の3グループに大きく分けることができます。

トカゲ亜目

長い尾をもち四つ脚で這いまわる、爬虫類の代表ともいえるトカゲの仲間です。4000以上の種が含まれるといわれていますので、有鱗目のうちのかなりの割合をトカゲ亜目が占めているんですね。

これらの種はさらに小さな「科」というグループ(分類群)に整理されます。身近な種の含まれるグループとしてはトカゲ科やヤモリ科などが思い浮かぶでしょう。その他にも、カナヘビ科、イグアナ科、キノボリトカゲが含まれるアガマ科などがふくまれます。

ヘビ亜目

長い尾を残しながらも4つの脚が退化してしまったのがヘビの仲間です。ヘビはどうしても苦手…という方は少なくないですよね。種数は3000以上といわれています。

日本の里山でもよく見られるシマヘビはナミヘビ科、ニホンマムシはクサリヘビ科です。他にもコブラ科、メクラヘビ科、セダカヘビ科、タカチホヘビ科など、多くの科に分けられています。

\次のページで「ミミズトカゲ亜目」を解説!/

ミミズトカゲ亜目

ミミズトカゲ亜目は、かつてトカゲ亜目に含まれていた一部の種が独立してつくられた、比較的新しい分類群です。ふくまれている種数はそれほど多くなく、200種に満たないほど。「四肢を失ったばかりのトカゲ」というか、「短くて太いヘビ」というか…「すごく大きいミミズ」といった感じの、奇妙な形態をしています。地中に潜って生活するのが基本です。世界でも限られたところにしか分布せず、まだ謎も多く残っています。

ワニ目

ワニの仲間が含まれるワニ目です。攻撃的な種も多く、メディアではアフリカやアマゾンに住むワニの凶暴な狩りの姿などがよく取り上げられますよね。それぞれの生息地で生態系の頂点に君臨するワニの仲間ですが、実はその種数は現生するものでわずか23種なんです。

23種のワニは、アリゲーター科、クロコダイル科、ガビアル科の大きく3グループに分けられます。比較的小さめのワニとして知られるカイマンの仲間はアリゲーター科です。

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ガビアル科にはインドガビアルというワニがたった1種だけ分類されています。他のワニ類とは異なる特徴をもったワニで、どのように分類するのが適切なのかは研究者によっても意見が異なるようです。

カメ目

カメ目は名前の通り、カメの仲間が分類されるグループです。爬虫類の中でも、カメ目は体の構造に大変な特徴があります。そう、皆さんご存知の甲羅です。

見た目にもわかりやすく、頑丈なことでも知られるカメの甲羅は、「骨甲板」と「角質甲板」の2つの素材からなります。骨甲板は名前の通り、骨と一体化している硬い板。角質甲板は、骨甲板を覆っている素材で、これがカメにとってのうろこです。2層構造になっているからこそカメの甲羅は硬いんですね。

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カメ目に含まれている種数は500前後。アオウミガメやアカウミガメなどが含まれるウミガメ科、イシガメやハコガメが含まれるイシガメ科、ペットとしてよく飼育される”ミドリガメ”の別名で有名なミシシッピアカミミガメが含まれるヌマガメ科などです。

カメの仲間は、多様な環境に適応しています。たとえば、海を中心に暮らすウミガメと、陸で暮らし続けるリクガメ。両者の生活スタイルには大きな違いがあります。今度動物園や水族館でカメを見る機会があったら、甲羅の形をよく観察してみてください。生息環境に応じて甲羅の形が大きく違うことに気づくはずです。

\次のページで「ムカシトカゲ目」を解説!/

ムカシトカゲ目

ムカシトカゲ目は現生する爬虫類の中でもとくに小さなグループ。世界中の爬虫類のうちわずか2種だけでこのムカシトカゲ目を構成しています。

爬虫類のなかでも原始的な種であり、爬虫類の進化を考えるうえでとても重要なグループだと考えられていますが、現生している種はわずかで、しかも絶滅危惧種。まだまだ研究の余地がある生き物です。

ムカシトカゲ目に属しているのは、ムカシトカゲとギュンタームカシトカゲ。いずれもニュージーランドに生息しています。ぱっと見はトカゲやイグアナによく似ていますが、トカゲやヘビなどの進化が進んだ爬虫類とは心臓のつくりや骨格に大きな違いがあるのです。

爬虫類と鳥類

分類学の世界は日進月歩。昔正しいと信じられていた分類方法も、時がたつにつれて大きく修正されることがあります。爬虫類の分類について学ぶとき、避けては通れなくなっているのが鳥類との関係です。

image by iStockphoto

古来より、地上を這いずり回る爬虫類と、翼をもち空を飛ぶ鳥類は全く別の生物群として考えられてきました。確かに、草むらで目にするニホントカゲと空を飛ぶカラスはまるで違う生き物だと認識されます。しかしながら、恐竜をはじめとする古生物学の研究や、DNAに基づいた分子系統学が発展するにつれ、爬虫類と鳥類の分類関係は見直されるようになってきました。

爬虫類と鳥類は長きにわたり、「爬虫綱」と「鳥鋼」という別の鋼に分類されていましたが近年の系統分類学では「爬虫綱の中に鳥類(鳥亜綱)がふくまれる」という考え方がスタンダードになっています。

爬虫類の分類は奥が深い

上記の通り、近年の分類体系では鳥類も爬虫綱の一部とみなすことが増えています。しかしながら、鳥が爬虫類の一部という考え方は一般的な認識にそぐわないことも多いため、今回は「昔ながらの爬虫類(爬虫綱)」をご紹介しました。

爬虫類と鳥類の分類学的な論争の歴史について興味のある方は、ぜひ調べてみるのをおすすめします。過去に生きていた生物と今の生物との関係を探る、学問のロマンを感じられるでしょう。

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理科生物生物の分類・進化

【生物】「爬虫類」ってなんだ?現役講師がさくっとわかりやすく解説!

ムカシトカゲ目

ムカシトカゲ目は現生する爬虫類の中でもとくに小さなグループ。世界中の爬虫類のうちわずか2種だけでこのムカシトカゲ目を構成しています。

爬虫類のなかでも原始的な種であり、爬虫類の進化を考えるうえでとても重要なグループだと考えられていますが、現生している種はわずかで、しかも絶滅危惧種。まだまだ研究の余地がある生き物です。

ムカシトカゲ目に属しているのは、ムカシトカゲとギュンタームカシトカゲ。いずれもニュージーランドに生息しています。ぱっと見はトカゲやイグアナによく似ていますが、トカゲやヘビなどの進化が進んだ爬虫類とは心臓のつくりや骨格に大きな違いがあるのです。

爬虫類と鳥類

分類学の世界は日進月歩。昔正しいと信じられていた分類方法も、時がたつにつれて大きく修正されることがあります。爬虫類の分類について学ぶとき、避けては通れなくなっているのが鳥類との関係です。

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古来より、地上を這いずり回る爬虫類と、翼をもち空を飛ぶ鳥類は全く別の生物群として考えられてきました。確かに、草むらで目にするニホントカゲと空を飛ぶカラスはまるで違う生き物だと認識されます。しかしながら、恐竜をはじめとする古生物学の研究や、DNAに基づいた分子系統学が発展するにつれ、爬虫類と鳥類の分類関係は見直されるようになってきました。

爬虫類と鳥類は長きにわたり、「爬虫綱」と「鳥鋼」という別の鋼に分類されていましたが近年の系統分類学では「爬虫綱の中に鳥類(鳥亜綱)がふくまれる」という考え方がスタンダードになっています。

爬虫類の分類は奥が深い

上記の通り、近年の分類体系では鳥類も爬虫綱の一部とみなすことが増えています。しかしながら、鳥が爬虫類の一部という考え方は一般的な認識にそぐわないことも多いため、今回は「昔ながらの爬虫類(爬虫綱)」をご紹介しました。

爬虫類と鳥類の分類学的な論争の歴史について興味のある方は、ぜひ調べてみるのをおすすめします。過去に生きていた生物と今の生物との関係を探る、学問のロマンを感じられるでしょう。

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