水星と金星は太陽系の1番目と2番目の惑星です。どちらも地球と同じ岩石型惑星に分類されている。ただ表面の状況は2つの惑星とも大きく違う。それを覚えておこう。
今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。
ライター/トオル
物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。
水星について
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水星は太陽系第1惑星であり、惑星ランキングの中で多くの1番を持っている天体です。大気がほとんど存在しないせいもあり、画像を見ると衛星のような見た目をしています。核が大きすぎたり、高温になるのに氷が存在していたりといった点が特徴です。現在、日欧の共同プロジェクトであるベピ・コロンボ探査機が水星に向かっている途上ですので、正常に観測が開始されればより多くのことがわかるでしょう。今回は現時点で水星についてわかっていることを紹介します。
水星の基本データ
NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington. Edited version of Image:Mercury in color – Prockter07.jpg by Papa Lima Whiskey. – NASA/JPL, パブリック・ドメイン, リンクによる
水星は地球と同じく岩石型惑星に分類されます。太陽系第1惑星であり、直径は約4900キロメートルと地球の0.38倍ほどしかありません。これは衛星であるガニメデやタイタンよりも小さく、太陽系の惑星の中では最小です。もちろん太陽からの距離も約5800キロメートルと地球の0.39倍程度で最小になります。太陽に1番近いので公転周期は約88日と最小、公転速度は約秒速47キロメートルと最大です。水星の自転周期は58.6と公転周期のちょうど3分の2になっており、昼の長さと夜の長さが88日、つまり太陽が昇ってから次の太陽が昇ってくまで約176日もかかります。大気はほとんど存在しません。
水星の構造について
スペイン語版ウィキペディアのLmbさん – es.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, リンクによる
水星の特徴の一つは密度が1立方センチメートルあたり5.44グラムとやけに大きいことです。これは倍以上に大きな地球とほとんど変らない密度になります。惑星は大きくなるほど重力による圧力で密度が高くなるはずですので、小さい水星が地球と変わらないというのはおかしなことです。そのため水星には半径の4分の3におよぶ核が存在すると考えられています。ちなみに地球の核は、内核と外核あわせて半径の半分程度です。核の周りをマントルが、マントルの周りを地殻がとりまいているのは地球の構造と同じですが、核が大きいためマントル部分が小さくなります。なぜ核がこのように大きいのかについては、水星の形成初期に巨大隕石が衝突したことが原因だという説がありますが、まだはっきりとはわかっていません。
水星の温度と氷について
Quote from [5]: “NASA photo by…” – [3] from [4] on SCIENCE@NASA, パブリック・ドメイン, リンクによる
表面の平均温度は約179度ですが、先ほど述べたように昼と夜が長いため、最高温度は400度以上になり最低温度は-100度以下になります。太陽があたると非常に高温になる水星ですが、北極や南極の一部のクレーターには決して太陽の光があたらない永久影領域が存在しているようです。この部分に氷が存在する可能性がかねてより指摘されていましたが、探査機メッセンジャーの画像によってほぼ確実になりました。現在、日本とヨーロッパが共同で打ち上げたベピ・コロンボ探査機が水星に向かっていますので、無事観測が成功すれば水星の氷についてさらに詳しくわかるはずです。上記は地球から観測された極地クレーターの画像になります。
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