物理

「ゼーマン効果」とは?理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「ゼーマン効果」について勉強していこう。

ゼーマン効果という言葉は日常的にも耳にすることが少なく、イメージしにくいんじゃないか?

そんなゼーマン効果について、ゼーマン効果を使った装置を日常的に使う化学系ライターずんだもちと一緒に解説していきます。

ライター/ずんだもち

化学系の研究室で日々研究を重ねる理系学生。1日の半分以上の時間を化学実験に使う化学徒の鑑。受験生のときは化学が得意でなかったからこそ、化学を苦手とする人の立場に立ってわかりやすく解説する。

1.ゼーマン効果とは?

image by iStockphoto

今回のテーマは「ゼーマン効果」です。少し難しいテーマですので、まずはどんな現象なのかを大まかに説明して全体像を掴んでいきましょう。

ゼーマン効果とは、「強い磁場中では原子スペクトルが変化(分裂)する現象」のことです。

原子は陽子、中性子、電子からなっていますが、これらにはエネルギー準位に従って配置されています。原子が何らかの刺激(エネルギー)を吸収すると、電子などはより高いエネルギー準位(励起状態)に移動することがでるのです。しかし高いエネルギー準位にあるものは不安定で、すぐにもとのエネルギー準位(基底状態)に戻ってしまいます。このとき、このエネルギー差に相当する波を放出するのですが、この波をエネルギーごとに検出したものが原子スペクトルです。

さて、このような原子を磁場の中に置くとどうなるでしょう。原子に磁場がかかると、磁場がない状態では確認できなかったエネルギー準位が見えるようになります。正確には、磁場がない状態で見えていたエネルギー準位が複数に分裂するのです。

2.ゼーマン効果をさらに詳しく

以上がゼーマン効果の大まかな説明になります。まだまだ分からないポイントがたくさんあると思いますが、全体像は掴んめたでしょうか?ここからは要点についてさらに詳しく解説していきますね。

2-1.エネルギーと波

まずはエネルギーと波の関係は強く結びついていることを知る必要があります。

原子スペクトルは励起状態と基底状態のエネルギーの差を検出するものだと説明しました。このエネルギー差はどのように検出するのでしょうか?例えば実際に水素原子を励起すると、赤、水色、青、青の4本の線が観測でき、実はこれがエネルギー差の正体です。

この仕組みについて詳しくみていきましょう。波にはいろいろな波長のものがありますが、このうち約400nmから約800nmの波は可視光であり、私たちの目に色として届くのです。波長の短い400nmの紫色から始まり、波長の長い800nmの赤色まで、虹色のように様々な色が観察できます。

そしてもう1つのポイントが、波の波長がエネルギーに対応していることです。波のエネルギーは波長に反比例することが知られています。つまり、波長の短い紫色は強いエネルギーを持ちますが、波長が長くなって赤に近づくごとにエネルギーは弱くなるのです。

 

image by Study-Z編集部

ここまで理解すると、水素原子から観察された4つの色の正体が分かると思います。例えば、赤色の光は水素原子に約656nmの波に相当するエネルギー差の準位があることを示しているのです。

この水素原子の場合は、このスペクトルの正体は電子のエネルギー準位。測定の際に励起された電子はより高いエネルギー準位に到達しますが、これが2つ目に低いエネルギー準位まで落ちるときに可視光領域の波が観測できます。

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