ビオ=サバールの法則って知ってるか?

電磁気学の法則で小中はもちろん高校でもなかなか取り上げられない法則なのですが、大学では頻繁に使う法則で電気と磁気を結びつける大切な法則なんです。ビオ=サバールの法則を理解するためには電流素片や磁場の知識も必要になるのでこの記事ではそれらも簡単に取り上げて電磁気を学んだ事のない人でもわかるように一緒に進んでいくぞ!この記事の目標は読んでくれた人にビオ=サバールの法則の法則を知ってもらってどんな法則か理解してもらうことだ!

今回は理系ライターの四月一日そうと一緒に見ていくぞ!

ライター/四月一日そう

現役の理系大学生ライター。電気電子工学科に所属しており電気回路、電子回路、電磁気学などの分野を勉強中。アルバイトは塾講師をしており中学生から高校生まで物理や数学の面白さを広めている。

今回のテーマであるビオ=サバールの法則は自身が勉強した当時も苦戦してかなりの時間を費やして勉強した。その成果もあり今ではビオ=サバールの法則をはじめとした電磁気学は得意な科目。

そもそもビオ=サバールの法則とは?

image by iStockphoto

ビオ=サバールの法則というのは本当にざっくりと説明すると電流が磁場を作りだすことを数式で表すことに成功した法則です。

この法則が発見された1820年ごろ、まだ電流が電荷によるものであること、磁場が動く電荷によって作られることが分かりませんでした。それではどうやって発見されたんだという話になりますが仮説と実験による試行錯誤によって発見されたわけです!

エルスレッドの実験

ビオ=サバールの法則の元となる電流が磁場を作るという現象はデンマーク人のエルスレッドが電気回路の実験中に偶然見つけたといわれています。

導線を方位磁針の真上において電流を流すと磁針が回転したのです!これは言い換えれば電流という電気の力によって磁気的に力が発生するということですね。

しかしこの実験には驚くべきことがもう一つあったのです。

右ネジの法則

エルスレッドの実験で驚くべきもう一つの発見、それは磁針が特定の方向に回転したことです。当時、自然法則は左右対称であると思われていた時代だったのでまさに未知との遭遇といった感じですね。

これにより電流の作る磁界の向きが決まっていることが分かりました。この向きが右ネジの法則という法則で表されます。どのような向きかというと一つの右ネジをとって、磁界向きにネジを回転させたとするとネジの進む向きが電流の向きです。

もっと分かりやすくいうと、電流の向きに親指を向けて他の指を曲げると他の指の向きが磁界の向きになります。

これらの実験結果から物理学者ジャン=バティスト・ビオとフェリックス・サヴァールがビオ=サバールの法則を発見しました!

ビオ=サバールの法則

ビオ=サバールの法則

image by Study-Z編集部

さて、いままではいわばビオ=サバールの法則の前準備みたいなものでした。これから実際にビオ=サバールの法則の式を一緒に見ていこうと思います!

実際のビオ=サバールの法則の式は上の式で表されます。一見難しそうな式ですが一つ一つ解説していきますね!ΔBは長さΔlの電流Iによって作られる磁束密度を表しています。磁束密度に関しては次の章で詳しくみていきましょう!

rは磁界を観測する点と電流との距離

μは透磁率といって物質中の磁束密度の現象や増加具合を表す定数

θは電流の方向と測定する点との角度

これらの変数をビオ=サバールの法則の式に入れると磁束密度が求められるというわけですね。それでは磁束密度がなんなのか一緒にみていきましょう。

磁束密度

ビオ=サバールの法則の式の左辺に出てくる磁束密度とはなんでしょう?磁束密度とは磁場の強さを表す量のことです。

磁場とは磁力のかかる場のことでこの中を荷電粒子が動けば磁場から力を受けます。この力によって磁場の強さを決めた量ともいえますね。電気の力でいう電場と対応しています。

ビオ=サバールの法則の使い方

ビオ=サバールの法則自体の説明は一通り終わりました。それではこのビオ=サバールの法則はどのようなときに使えるのでしょうか。もちろん電流から発生する磁束密度を求めるのですがもう少し細かく見ていきましょう。

ビオ=サバールの法則の法則の特徴は電流の長さが部分的なΔlで区切られていることです。なので実際の電流が作る磁束を求めるときはこのΔlを足し合わせていかなければなりませんね。ビオ=サバールの法則の法則は足し合わせることができるので実際の計算では電流の長さを積分していくことになります。

ビオ=サバールの法則の便利なところは有限長の電流が作る磁束密度が求められるところです。積分範囲を電流の長さに対応して積分すれば磁束密度を求めることができます。

逆に無限長電流の場合だと積分が複雑になってしまい便利だとはいえません。無限長の電流が作る磁束密度を求めるにはアンペアの周回積分の法則という法則が便利です。

\次のページで「アンペアの周回積分の法則」を解説!/

アンペアの周回積分の法則

アンペアの周回積分は画像の式で表されます。この式は電流が磁束の作る閉区間Cをくぐる時にしか成り立ちません。

この周回積分の意味は左右対称で簡単な形をした磁束が存在する場合、その磁束の大きさと電流の大きさには上の式の関係があるとするものです。

実はアンペアの周回積分はビオ=サバールの法則から導き出されるんですね。ただ、磁束の形が簡単な場合こちらのアンペアの周回積分の法則を使うことで複雑な積分を行うことなく磁束密度を求める事ができます。

無限長電流が作る磁界など電流が作り出す磁界が単純そうな形のときはアンペアの周回積分の法則を適応させることで簡単な計算で求める事ができます!

ビオ=サバールの法則をマスターするには

以上ビオ=サバールの法則を一緒にみてきました。

今回の記事の目標はビオ=サバールの法則が何を表していてどんな式なのか知ってもらうこと。ちょっとでもビオ=サバールの法則の法則について新たに知ってもらったことがあればうれしいです。

電磁気学は非常に勉強しにくい教科であるといわれています。そのため式を暗記するだけの勉強になりがちなんですね。しかし、現象に結びつけて頭の中でイメージしながら勉強することで応用も利くようになりますしなによりそっちのほうが楽しいです!

みなさんも実際の現象とイメージを大切にして物理を勉強してみてください!

" /> 「ビオ=サバールの法則」を理系大学生がガチでわかりやすく解説! – Study-Z
物理理科電磁気学・光学・天文学

「ビオ=サバールの法則」を理系大学生がガチでわかりやすく解説!

ビオ=サバールの法則って知ってるか?

電磁気学の法則で小中はもちろん高校でもなかなか取り上げられない法則なのですが、大学では頻繁に使う法則で電気と磁気を結びつける大切な法則なんです。ビオ=サバールの法則を理解するためには電流素片や磁場の知識も必要になるのでこの記事ではそれらも簡単に取り上げて電磁気を学んだ事のない人でもわかるように一緒に進んでいくぞ!この記事の目標は読んでくれた人にビオ=サバールの法則の法則を知ってもらってどんな法則か理解してもらうことだ!

今回は理系ライターの四月一日そうと一緒に見ていくぞ!

ライター/四月一日そう

現役の理系大学生ライター。電気電子工学科に所属しており電気回路、電子回路、電磁気学などの分野を勉強中。アルバイトは塾講師をしており中学生から高校生まで物理や数学の面白さを広めている。

今回のテーマであるビオ=サバールの法則は自身が勉強した当時も苦戦してかなりの時間を費やして勉強した。その成果もあり今ではビオ=サバールの法則をはじめとした電磁気学は得意な科目。

そもそもビオ=サバールの法則とは?

image by iStockphoto

ビオ=サバールの法則というのは本当にざっくりと説明すると電流が磁場を作りだすことを数式で表すことに成功した法則です。

この法則が発見された1820年ごろ、まだ電流が電荷によるものであること、磁場が動く電荷によって作られることが分かりませんでした。それではどうやって発見されたんだという話になりますが仮説と実験による試行錯誤によって発見されたわけです!

エルスレッドの実験

ビオ=サバールの法則の元となる電流が磁場を作るという現象はデンマーク人のエルスレッドが電気回路の実験中に偶然見つけたといわれています。

導線を方位磁針の真上において電流を流すと磁針が回転したのです!これは言い換えれば電流という電気の力によって磁気的に力が発生するということですね。

しかしこの実験には驚くべきことがもう一つあったのです。

右ネジの法則

エルスレッドの実験で驚くべきもう一つの発見、それは磁針が特定の方向に回転したことです。当時、自然法則は左右対称であると思われていた時代だったのでまさに未知との遭遇といった感じですね。

これにより電流の作る磁界の向きが決まっていることが分かりました。この向きが右ネジの法則という法則で表されます。どのような向きかというと一つの右ネジをとって、磁界向きにネジを回転させたとするとネジの進む向きが電流の向きです。

もっと分かりやすくいうと、電流の向きに親指を向けて他の指を曲げると他の指の向きが磁界の向きになります。

これらの実験結果から物理学者ジャン=バティスト・ビオとフェリックス・サヴァールがビオ=サバールの法則を発見しました!

ビオ=サバールの法則

ビオ=サバールの法則

image by Study-Z編集部

さて、いままではいわばビオ=サバールの法則の前準備みたいなものでした。これから実際にビオ=サバールの法則の式を一緒に見ていこうと思います!

実際のビオ=サバールの法則の式は上の式で表されます。一見難しそうな式ですが一つ一つ解説していきますね!ΔBは長さΔlの電流Iによって作られる磁束密度を表しています。磁束密度に関しては次の章で詳しくみていきましょう!

rは磁界を観測する点と電流との距離

μは透磁率といって物質中の磁束密度の現象や増加具合を表す定数

θは電流の方向と測定する点との角度

これらの変数をビオ=サバールの法則の式に入れると磁束密度が求められるというわけですね。それでは磁束密度がなんなのか一緒にみていきましょう。

磁束密度

ビオ=サバールの法則の式の左辺に出てくる磁束密度とはなんでしょう?磁束密度とは磁場の強さを表す量のことです。

磁場とは磁力のかかる場のことでこの中を荷電粒子が動けば磁場から力を受けます。この力によって磁場の強さを決めた量ともいえますね。電気の力でいう電場と対応しています。

ビオ=サバールの法則の使い方

ビオ=サバールの法則自体の説明は一通り終わりました。それではこのビオ=サバールの法則はどのようなときに使えるのでしょうか。もちろん電流から発生する磁束密度を求めるのですがもう少し細かく見ていきましょう。

ビオ=サバールの法則の法則の特徴は電流の長さが部分的なΔlで区切られていることです。なので実際の電流が作る磁束を求めるときはこのΔlを足し合わせていかなければなりませんね。ビオ=サバールの法則の法則は足し合わせることができるので実際の計算では電流の長さを積分していくことになります。

ビオ=サバールの法則の便利なところは有限長の電流が作る磁束密度が求められるところです。積分範囲を電流の長さに対応して積分すれば磁束密度を求めることができます。

逆に無限長電流の場合だと積分が複雑になってしまい便利だとはいえません。無限長の電流が作る磁束密度を求めるにはアンペアの周回積分の法則という法則が便利です。

\次のページで「アンペアの周回積分の法則」を解説!/

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