今回は屈折の法則として知られる「スネルの法則」について考えてみよう。

この屈折の法則は波の法則だから、音波はもとより光波についても成立しているんです。つまり物理学では「波」というものについての一般化を行っているのさ。

波を理解すれば、音であろうが光であろうがその他の波であろうが、波の種類によらず考え方は共通しているのだよ。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は波についてのスネルの法則について解説。

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波の屈折とは

image by iStockphoto

波はその伝わる物質が変化すると屈折します。
プールが浅く見えても飛び込むと意外と深かったりしますね。
これは、光が屈折していることから生じる錯覚です。

また、川遊びするときに「川は浅く見えても深くなっているから気をつけろ」などと注意を受けたことはないでしょうか。

これも同様な現象で、光が屈折していることにその原因があります。

その他、夜になると遠くの物音がよく聞こえたりしませんか?
これも音波の屈折によるものです。

夜になると地面の温度が下りますが上空は少し暖かくなっています。
そんな時、音は屈折して遠方まで届きやすくなるのです。

よく晴れた秋の夜などはこの気温差が顕著になるため、遠くの物音がよく聞こえます。
そうすると、遠くの村の祭り囃子の音が聞こえたりしたのでしょう。
これが「たぬきばやし」の正体なのです。

でもなぜ波は屈折するのでしょうか?。
それは媒質により波の進む速さが違う為に起こると考えられます。

波の進む速さ

image by iStockphoto

例えば音の速さは空気中では約 340 m/s です。ちなみにこれがマッハ1。
しかし、水中ではかなり速くなり、だいたい1500 m/s という速さ。実に4.5倍近いですね。
さらに、鉄に至ってはその中を伝わる音はだいたい 5300 m/s もの速さになるのです。

       340 m/s ≒ 1200 km/h
     1500 m/s ≒ 5400 km/h
     5300 m/s ≒ 19000 km/h

水の中は音は伝わるのでしょうか?あるいは、鉄の中を音が伝わるのか? と思った人もいるかと思います。
音波は縦波であり、音を伝える媒質さえあればどこでも伝わるのです。
したがって、真空でなく媒質がある限り音は伝わることができます。

実際、鉄道のレールに耳を当てると遠くの音が聞こえますが、これは鉄道のレールを伝わる音が空気中と比べて桁違いに速いために起こる現象です。(危険なので絶対にしてはいけません)

このように一般に波は波を伝える物質(媒質)が硬いものほど速く伝わります。

相対屈折率

それでは波がある物質から違う物質へと進む場合を考えましょう。
このとき、波の進む速さが変化すればそれらの境界面で波の進む方向が変わります。
これが屈折

屈折する理由は波の速さが変化することによるのです。
これらはホイヘンスの原理により証明されるのですが、ホイヘンスの原理については別の機会に解説いたします。

ここでは、その結果導かれるスネルの法則について考えてみましょう。

image by Study-Z編集部

図にあるように波が媒質1からやってきて媒質2へ入るときに屈折する現象について、媒質1での波の速さを v1、 波長をλ1、媒質2ではそれぞれ  v2 、 λ2 とします。

そして、波が境界面の法線に対してなす角度、つまり入射角が θ1、屈折角が θ2 です。
そうすると、スネルの法則は次の式で示すことができます。

この式は教科書等でよくみられるものです。

\次のページで「絶対屈折率」を解説!/

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このとき、n12 を媒質1の媒質2に対する相対屈折率と呼び、その値は角度が変わっても一定です。

絶対屈折率

さて特に光波の場合、絶対屈折率という値をよく使います。

絶対屈折率とは真空に対する物質の屈折率のことです。
簡単に言えば、真空から光を入射した時の屈折率のことですね。

例えば、真空での光速を c とし、媒質1での光速をv1 、媒質2での光速を v2 としましょう。

次の図を見てください。

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そうすると、この左図の媒質1の絶対屈折率 n1 と右図の媒質2の絶対屈折率 n2 は先程の屈折の式から次のように示されます。

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したがって、スネルの式は絶対屈折率を用いて次のように示すことができます。

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そうすると、絶対屈折率と波長や入射角・屈折角について次の式が成り立ちます。

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さて、これを変形して絶対屈折率との掛け算の式に直すことができます。

\次のページで「全反射に関する式」を解説!/

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この式をもちいることで、割り算をする必要がなくなります。
この式のメリットはいかなる方向から光が入っても、同じ媒質同士の
「絶対屈折率 ☓ sin(角度)」 を考えれば良いことです。

屈折の問題では、この掛け算による式を使うことを強くおすすめします。

全反射に関する式

全反射について考えてみましょう。

全反射とは例えば水中からでた光が空気中へ抜け出すことができなくなり、すべて境界面で反射されてしまうような現象です。

全反射現象に関しても、このスネルの式を使えばいいのですね。
ときどき、全反射の式を丸暗記している人を見かけますが無意味なこと。

次の図を見てください。

image by Study-Z編集部

水中から出た光は黄色のラインを通って空気中に抜けていきます。
そのときに光は境界面で法線から遠ざかる向きに曲がっていますね。

入射光をもっと斜めから当てて光が赤いラインの位置まで来るとついに屈折光が水面と一致します。

さらにもっと入射角度を大きくしてやると、緑のラインを通る光のようにすべて反射されてしまい、空気中には出ていけません。これが全反射です。

いま赤のラインの光を考えて、この時の入射角度θoを臨界角といいます。

入射角 θo で屈折角が 90 ° ですね。空気の屈折率は1 です。水の屈折率を n とすると、スネルの式より

1 ☓ sin 90° = n ☓ sin θo 

が成り立ちます。これが全反射の式。

全反射の式はスネルの式そのものなのです。

屈折の法則はどのような波動についても成立する

スネルの法則は波動の基本式なので、縦波であろうが横波であろうが光であろうが音であろうが、その他の波であろうがどんなものでも成立します。

物理とはその現象の一部だけでなくすべての現象の背後にある統一的な理解・解釈の実現を求めるものです。
したがって、すくなくとも波動現象とみなされるものについては波動という一般的な考え方が全てに応用できます。

光の干渉や音の干渉などいろいろな問題がありますが、根底にあるのは波動という現象ですから、波動の根本的な理解さえできればあとは全部同じなのです。

筆者の個人ブログとYouTubeチャンネルでは物理学の話題や問題解説などを動画も交えて行っております。
よろしければおいでください。タッケ

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物理理科電磁気学・光学・天文学

屈折の法則「スネルの法則」を理系ライターがわかりやすく解説

今回は屈折の法則として知られる「スネルの法則」について考えてみよう。

この屈折の法則は波の法則だから、音波はもとより光波についても成立しているんです。つまり物理学では「波」というものについての一般化を行っているのさ。

波を理解すれば、音であろうが光であろうがその他の波であろうが、波の種類によらず考え方は共通しているのだよ。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は波についてのスネルの法則について解説。

物理学ブログ
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波の屈折とは

image by iStockphoto

波はその伝わる物質が変化すると屈折します。
プールが浅く見えても飛び込むと意外と深かったりしますね。
これは、光が屈折していることから生じる錯覚です。

また、川遊びするときに「川は浅く見えても深くなっているから気をつけろ」などと注意を受けたことはないでしょうか。

これも同様な現象で、光が屈折していることにその原因があります。

その他、夜になると遠くの物音がよく聞こえたりしませんか?
これも音波の屈折によるものです。

夜になると地面の温度が下りますが上空は少し暖かくなっています。
そんな時、音は屈折して遠方まで届きやすくなるのです。

よく晴れた秋の夜などはこの気温差が顕著になるため、遠くの物音がよく聞こえます。
そうすると、遠くの村の祭り囃子の音が聞こえたりしたのでしょう。
これが「たぬきばやし」の正体なのです。

でもなぜ波は屈折するのでしょうか?。
それは媒質により波の進む速さが違う為に起こると考えられます。

波の進む速さ

image by iStockphoto

例えば音の速さは空気中では約 340 m/s です。ちなみにこれがマッハ1。
しかし、水中ではかなり速くなり、だいたい1500 m/s という速さ。実に4.5倍近いですね。
さらに、鉄に至ってはその中を伝わる音はだいたい 5300 m/s もの速さになるのです。

       340 m/s ≒ 1200 km/h
     1500 m/s ≒ 5400 km/h
     5300 m/s ≒ 19000 km/h

水の中は音は伝わるのでしょうか?あるいは、鉄の中を音が伝わるのか? と思った人もいるかと思います。
音波は縦波であり、音を伝える媒質さえあればどこでも伝わるのです。
したがって、真空でなく媒質がある限り音は伝わることができます。

実際、鉄道のレールに耳を当てると遠くの音が聞こえますが、これは鉄道のレールを伝わる音が空気中と比べて桁違いに速いために起こる現象です。(危険なので絶対にしてはいけません)

このように一般に波は波を伝える物質(媒質)が硬いものほど速く伝わります。

相対屈折率

それでは波がある物質から違う物質へと進む場合を考えましょう。
このとき、波の進む速さが変化すればそれらの境界面で波の進む方向が変わります。
これが屈折

屈折する理由は波の速さが変化することによるのです。
これらはホイヘンスの原理により証明されるのですが、ホイヘンスの原理については別の機会に解説いたします。

ここでは、その結果導かれるスネルの法則について考えてみましょう。

image by Study-Z編集部

図にあるように波が媒質1からやってきて媒質2へ入るときに屈折する現象について、媒質1での波の速さを v1、 波長をλ1、媒質2ではそれぞれ  v2 、 λ2 とします。

そして、波が境界面の法線に対してなす角度、つまり入射角が θ1、屈折角が θ2 です。
そうすると、スネルの法則は次の式で示すことができます。

この式は教科書等でよくみられるものです。

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