物理理科電磁気学・光学・天文学

屈折の法則「スネルの法則」を理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木健二だ。今回は屈折の法則として知られる「スネルの法則」について考えてみよう。

この屈折の法則は波の法則だから、音波はもとより光波についても成立しているんだ。つまり物理学では「波」というものについての一般化を行っているのさ。

波を理解すれば、音であろうが光であろうがその他の波であろうが、波の種類によらず考え方は共通しているのだよ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は波についてのスネルの法則について解説。

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波の屈折とは

image by iStockphoto

波はその伝わる物質が変化すると屈折します。
プールが浅く見えても飛び込むと意外と深かったりしますね。
これは、光が屈折していることから生じる錯覚です。

また、川遊びするときに「川は浅く見えても深くなっているから気をつけろ」などと注意を受けたことはないでしょうか。

これも同様な現象で、光が屈折していることにその原因があります。

その他、夜になると遠くの物音がよく聞こえたりしませんか?
これも音波の屈折によるものです。

夜になると地面の温度が下りますが上空は少し暖かくなっています。
そんな時、音は屈折して遠方まで届きやすくなるのです。

よく晴れた秋の夜などはこの気温差が顕著になるため、遠くの物音がよく聞こえます。
そうすると、遠くの村の祭り囃子の音が聞こえたりしたのでしょう。
これが「たぬきばやし」の正体なのです。

でもなぜ波は屈折するのでしょうか?。
それは媒質により波の進む速さが違う為に起こると考えられます。

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夜に遠くの物音がよく聞こえるのは周囲が静かなせいばかりではないんだな。

日常生活でもいろいろな屈折の現象があるんだ。

波の進む速さ

image by iStockphoto

例えば音の速さは空気中では約 340 m/s です。ちなみにこれがマッハ1。
しかし、水中ではかなり速くなり、だいたい1500 m/s という速さ。実に4.5倍近いですね。
さらに、鉄に至ってはその中を伝わる音はだいたい 5300 m/s もの速さになるのです。

       340 m/s ≒ 1200 km/h
     1500 m/s ≒ 5400 km/h
     5300 m/s ≒ 19000 km/h

水の中は音は伝わるのでしょうか?あるいは、鉄の中を音が伝わるのか? と思った人もいるかと思います。
音波は縦波であり、音を伝える媒質さえあればどこでも伝わるのです。
したがって、真空でなく媒質がある限り音は伝わることができます。

実際、鉄道のレールに耳を当てると遠くの音が聞こえますが、これは鉄道のレールを伝わる音が空気中と比べて桁違いに速いために起こる現象です。(危険なので絶対にしてはいけません)

このように一般に波は波を伝える物質(媒質)が硬いものほど速く伝わります。

相対屈折率

それでは波がある物質から違う物質へと進む場合を考えましょう。
このとき、波の進む速さが変化すればそれらの境界面で波の進む方向が変わります。
これが屈折

屈折する理由は波の速さが変化することによるのです。
これらはホイヘンスの原理により証明されるのですが、ホイヘンスの原理については別の機会に解説いたします。

ここでは、その結果導かれるスネルの法則について考えてみましょう。

image by Study-Z編集部

図にあるように波が媒質1からやってきて媒質2へ入るときに屈折する現象について、媒質1での波の速さを v1、 波長をλ1、媒質2ではそれぞれ  v2 、 λ2 とします。

そして、波が境界面の法線に対してなす角度、つまり入射角が θ1、屈折角が θ2 です。
そうすると、スネルの法則は次の式で示すことができます。

この式は教科書等でよくみられるものです。

\次のページで「絶対屈折率」を解説!/

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