今回は土星について解説していきます。

美しい環が特徴の土星は太陽系6番目の惑星です。肉眼で見える惑星としては土星が一番最後になる。この太陽系の惑星第2位の大きさをほこる土星についてみていこう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

土星について

image by iStockphoto

太陽系第6惑星の土星は木星と同じく巨大ガス惑星と呼ばれます。ガス惑星とは文字通り主成分がガスからなっている惑星のことです。ガス惑星は地球のような岩石型の惑星とは構造が大きく違います。この違いは太陽系の誕生時の太陽からの距離が関係しているようです。望遠鏡画像で土星の周りにあるリング状の構造物を環といいます。土星といえば環のイメージの人も多いと思いますので、環についても簡単に紹介しましょう。

土星の基礎データ

カッシーニによる撮影 (2004年3月27日)
NASA / JPL / Space Science Institute - http://www.ciclops.org/view/205/Ringworld-Waiting http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/pia06077, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星の直径は約12万キロメートル、地球の約9倍で木星についで太陽系第2位の大きさです。太陽から約14億キロメートルの軌道を周期約30年で公転しています。質量は5.7×10の26乗キログラムで地球の約95倍です。ただガス惑星であるため平均密度は1立方センチメートルあたり0.69グラムと、地球の8分の1しかありません。ちなみに、太陽系の惑星の中で平均密度が水より軽いのは土星だけです。木星と同じく約10時間という高速で自転しているため、遠心力によって上下から押しつぶしたような形になっています。歪みの割合は木星より大きく約10パーセントです。主成分は木星や太陽と同じく水素とヘリウムになります。

土星の構造について

Saturn diagram.svg
Kelvinsong - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

土星の内部構造は木星と同様にデータが不十分なため理論的予測の段階です。それによりますと、木星と同様中心部に岩石からなる核が存在し、その周りを液体金属状の水素が取り囲み、その周りに水素とヘリウムのガスが取り巻いていると予想されています。木星も熱を発生していて一部は重力による圧縮のための発熱(ケルビン・ヘルツホルム機構)で説明できるのですが、それでは不十分なため次のモデルが提案されているようです。木星にあるヘリウムは周りの水素よりも重いため、重力によって次第に落下していきます。そのさいに液体金属状の水素の中をヘリウムの液滴が雨のように落下していき、その摩擦熱による発熱が残りの熱量になるというモデルです。土星の上層部にヘリウムが予想より少ないことも根拠の一つになっています。

土星の大気について

Saturn Storm.jpg
NASA/JPL-Caltech/SSI - http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-203, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星にも木星と似たような大気が存在すると考えられ、木星ほどはっきりとはしていませんが、同様の帯状の雲が観測できます。一番上層部の雲はアンモニアの氷、その下が水の氷、その下は液化したアンモニアが含まれているようです。木星ほどではありませんが土星の大気の運動も非常に活発で、吹いている風の速度は時速1800キロメートルにも達します。土星にも木星のような渦が発見されているようです。土星の稲妻のエネルギーは地球の稲妻の約1000倍もあります。上記の画像は2011年に惑星規模で発生した超嵐のものです。

土星の環について

Saturn's rings dark side mosaic.jpg
NASA/JPL/Space Science Institute - http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08389, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星を特徴付けているのはやはりその大きな環でしょう。実は土星ほど大きくはありませんが、木星、天王星、海王星にも環はあります。環の大きさは、はっりきしたもので土星の中心から約14万キロメートル、薄いもので約48万キロメートルになり、これは土星の半径の約8倍です。横の大きさに比べ、厚さは厚いところでも数百メートル以下と非常に薄くなっています。構成しているのはほとんどが水の氷でわずかに他の物質が付着した、マイクロメートルからメートル単位までの微粒子です。そのため地球から見ると結構詰まって見えますが、実際はわりとすかすかの構造になります。外側からE、G、F、A、B、C、Dという名前です。上記の画像はD環からA環までの画像になります。2009年これらのかなり外側にもドーナツ状の環があることが発見されました。

\次のページで「土星の衛星について」を解説!/

土星の衛星について

Titan, Earth & Moon size comparison.jpg
Apollo 17 Picture of the Whole Earth: NASA Telescopic Image of the Full Moon: Gregory H. Revera Image of Titan: NASA/JPL/Space Science Institute - The Earth seen from Apollo 17.jpg FullMoon2010.jpg Titan in true color.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星の衛星は60個以上あるとされていましたが、最近新たに20個程度発見されたことで、木星を抜き現時点で太陽系で最多の衛星をもつ惑星になりました。土星の衛星も非常にバラエティに飛んでいます。今回はその中から土星の衛星としてだけではなく、太陽系の衛星の中でも特に注目度の高いタイタンとエンケラドゥスを見てみましましょう。上記の画像はタイタンと地球と月の比較画像です。

タイタンについて

惑星探査機カッシーニによって撮影されたタイタン。 大気があるため輪郭がかすんで見えている。
NASA/JPL/Space Science Institute - この画像もしくは映像物は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のジェット推進研究所により、ID: PIA11603 で公開されています。, パブリック・ドメイン, リンクによる

タイタンは土星の第6衛星で土星の衛星の中で最大の衛星です。直径は約5150キロメートルほどで、土星から約120万キロメートルのところを公転しています。地球の0.4倍で水星よりも巨大です。タイタンは太陽系の衛星の中でかなり注目されている衛星の一つであり、その理由の一つは衛星の中で唯一濃い大気をもっていることでしょう。表面での大気圧は約1.5気圧にもなり主成分は窒素です。大気を持っている理由や窒素が主成分である理由はまだわかっていません。表面気温は約-180度とかなり低温ですが、メタンが常に液体の状態で存在し、氷の大地の上を地球の水のように循環していると考えられてます。他の地質活動もあり、生命が存在するかもしれない天体の一つです。そのため、現時点で探査機が直接着陸した地球から最も遠い天体になっています。

エンケラドゥスについて

Enceladusstripes cassini.jpg
NASA/JPL/Space Science Institute - [http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA06254 (http://photojournal.jpl.nasa.gov/jpeg/PIA06254.jpg), パブリック・ドメイン, リンクによる

エンケラドゥスは土星の第2衛星で直径約498キロメートル、土星から約24万キロメートルのところを約33時間で公転しています。エンケラドゥスで有名なのは、南極に近い場所にあるダイガー・ストライプという縞模様あたりに間欠泉が確認されたことです。縞模様は氷の地殻のひび割れで、そこから水や水蒸気が噴出しています。エンケラドゥスの地下には内部海が存在すると考えられ、液体の水が惑星をぐるっと覆っていると予想されているようです。さらに近年では熱水(90度以上)の存在に関する間接的証拠も発見され、タイタンとともに生命の存在する可能性が指摘されています。

巨大ガス惑星である土星

巨大ガス惑星である土星

image by Study-Z編集部

今回は土星とその衛星の中でも特に有名なものにつてい紹介しました。土星は木星と同様に巨大ガス惑星であり、太陽になりそこねた天体といえます。巨大な環をもっているのが特徴ですが、環についてそれほど多くことが分かっているわけではありません。環には衛星などから現在も構成物が供給されていると考えられています。衛星についても非常に多彩でタイタンなどで多少のことはわかっていますが、まだまだわかっていないことのほうが多いのが現状です。土星も今後観測と研究が続くにしたがって、きっと驚くべき事実が明らかにされていくでしょう。

" /> 「土星」とその衛星ついて理系ライターが丁寧にわかりやすく解説 – Study-Z
地学宇宙理科

「土星」とその衛星ついて理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

今回は土星について解説していきます。

美しい環が特徴の土星は太陽系6番目の惑星です。肉眼で見える惑星としては土星が一番最後になる。この太陽系の惑星第2位の大きさをほこる土星についてみていこう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

土星について

image by iStockphoto

太陽系第6惑星の土星は木星と同じく巨大ガス惑星と呼ばれます。ガス惑星とは文字通り主成分がガスからなっている惑星のことです。ガス惑星は地球のような岩石型の惑星とは構造が大きく違います。この違いは太陽系の誕生時の太陽からの距離が関係しているようです。望遠鏡画像で土星の周りにあるリング状の構造物を環といいます。土星といえば環のイメージの人も多いと思いますので、環についても簡単に紹介しましょう。

土星の基礎データ

カッシーニによる撮影 (2004年3月27日)
NASA / JPL / Space Science Institute – http://www.ciclops.org/view/205/Ringworld-Waiting http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/pia06077, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星の直径は約12万キロメートル、地球の約9倍で木星についで太陽系第2位の大きさです。太陽から約14億キロメートルの軌道を周期約30年で公転しています。質量は5.7×10の26乗キログラムで地球の約95倍です。ただガス惑星であるため平均密度は1立方センチメートルあたり0.69グラムと、地球の8分の1しかありません。ちなみに、太陽系の惑星の中で平均密度が水より軽いのは土星だけです。木星と同じく約10時間という高速で自転しているため、遠心力によって上下から押しつぶしたような形になっています。歪みの割合は木星より大きく約10パーセントです。主成分は木星や太陽と同じく水素とヘリウムになります。

土星の構造について

Saturn diagram.svg
Kelvinsong投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

土星の内部構造は木星と同様にデータが不十分なため理論的予測の段階です。それによりますと、木星と同様中心部に岩石からなる核が存在し、その周りを液体金属状の水素が取り囲み、その周りに水素とヘリウムのガスが取り巻いていると予想されています。木星も熱を発生していて一部は重力による圧縮のための発熱(ケルビン・ヘルツホルム機構)で説明できるのですが、それでは不十分なため次のモデルが提案されているようです。木星にあるヘリウムは周りの水素よりも重いため、重力によって次第に落下していきます。そのさいに液体金属状の水素の中をヘリウムの液滴が雨のように落下していき、その摩擦熱による発熱が残りの熱量になるというモデルです。土星の上層部にヘリウムが予想より少ないことも根拠の一つになっています。

土星の大気について

Saturn Storm.jpg
NASA/JPL-Caltech/SSI – http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2011-203, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星にも木星と似たような大気が存在すると考えられ、木星ほどはっきりとはしていませんが、同様の帯状の雲が観測できます。一番上層部の雲はアンモニアの氷、その下が水の氷、その下は液化したアンモニアが含まれているようです。木星ほどではありませんが土星の大気の運動も非常に活発で、吹いている風の速度は時速1800キロメートルにも達します。土星にも木星のような渦が発見されているようです。土星の稲妻のエネルギーは地球の稲妻の約1000倍もあります。上記の画像は2011年に惑星規模で発生した超嵐のものです。

土星の環について

Saturn's rings dark side mosaic.jpg
NASA/JPL/Space Science Institute – http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA08389, パブリック・ドメイン, リンクによる

土星を特徴付けているのはやはりその大きな環でしょう。実は土星ほど大きくはありませんが、木星、天王星、海王星にも環はあります。環の大きさは、はっりきしたもので土星の中心から約14万キロメートル、薄いもので約48万キロメートルになり、これは土星の半径の約8倍です。横の大きさに比べ、厚さは厚いところでも数百メートル以下と非常に薄くなっています。構成しているのはほとんどが水の氷でわずかに他の物質が付着した、マイクロメートルからメートル単位までの微粒子です。そのため地球から見ると結構詰まって見えますが、実際はわりとすかすかの構造になります。外側からE、G、F、A、B、C、Dという名前です。上記の画像はD環からA環までの画像になります。2009年これらのかなり外側にもドーナツ状の環があることが発見されました。

\次のページで「土星の衛星について」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: