化学を学ぶとたくさんの化合物が出てくる。2種類以上の元素が反応して物質を作ることを「化合」といい、できた物質を「化合物」と言うんです。

身の回りにはたくさんの化合物がある。例えば空気中にある二酸化炭素は酸素と炭素からできた化合物です。一方、同じく空気中にある窒素や酸素は化合物ではない。この違いについて高校時代の思い出の大半は化学室というリケジョ、たかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校時代は化学部に所属、国立大学の工学部化学系で研究の傍ら家庭教師のバイトをしながら修士課程を修了したというリケジョ。卒業後は化学工場で働く。自他ともに認める不器用だが化合物のろ過をたくさんしたので、ろ紙はそこそこ上手に折れる。

化学の基礎中の基礎、化合物と単体

化学の基礎中の基礎、化合物と単体

image by Study-Z編集部

化合について学ぶにはまず「物質」の分類について知る必要があります。空気を例に物質の種類を確認していきましょう。

空気には窒素や酸素、二酸化炭素と様々な物質が含まれています。このように2種類以上のいろいろな物質が混ざっているものが混合物です。反対に何も混ざっていない1種類の物質がある状態の物を純物質と呼びます。例えば塩化ナトリウム水溶液(塩水)は塩化ナトリウムと水の混合物ですが、塩化ナトリウムと水はそれぞれ純物質です。

混合物は沸点など性質の違いを利用して混合物を単体化合物に分けることができます。単体とは窒素や酸素のように1種類の元素のみからなるものです。そして2種類以上の元素が組み合わさってできた二酸化炭素のような物質を化合物と言います。

化合物の見分け方

化合物の見分け方

image by Study-Z編集部

まず混合物と純物質を見分けるときに気を付けたいのが結合しているか、という事です。例えば塩化ナトリウムと水の混合物である塩化ナトリウム水溶液(塩水)。水は酸素と水素が共有結合、塩化ナトリウムは塩素とナトリウムがイオン結合してできています。しかし、水と塩化ナトリウムは混ざっているだけで化合していません

そして純物質を化合物と単体を見分けるときに気を付けたいのが物質に含まれている元素の数です。先ほど説明したように単体は元素が1種類からできているのに対して、化合物は2種類以上からできています。そのため、化学式を見れば単体か化合物かが簡単に確認することができるのです。

簡単にまとめると化学式で表せないのが混合物化学式で表せるのが純物質となります。そして元素が1種類なら単体2種類以上なら化合物です。もしテストで物質の分類に関する問題が出たら、これを基準に分けてくださいね。

化合の様子を表す!化学反応式

化合の様子を表す!化学反応式

image by Study-Z編集部

2種類以上の物質が化合して新たな化合物となる様子は化学反応式で表されます。

例えば水。水は水素と酸素の分子が反応して水ができます。この時注意したいのが反応に関わる分子の数です。水分子は1つの酸素原子と2つの水素元素からできています。しかし1つの酸素分子と水素分子に含まれる原子の数はそれぞれ2つずつです。もし、1つの酸素分子と水素分子から1つの水ができるとしたら、酸素原子が1つ余ってしまいますね。

化学反応式を書くときは左に反応する反応物、右に反応によってできた生成物を書きます。そして反応に関わるそれぞれ原子の数が必ず左右で同じになるようにするのです。水素と酸素から水を作るという化学反応式の場合、左に水素と酸素の分子、右に水分子が来ます。水は1つの酸素と2つの水素から成り立っていますね。つまり1つの酸素分子と2つの水素分子が反応すれば水分子が2つできるのです。

単体の酸素と水素が反応してできる水の化学反応式は簡単ですが、複数の化合物が出てくると化学反応式はどんどん複雑になります。複雑な化学反応式でそれぞれの分子がいくつあるかを求める方法については、別の機会に説明しましょう。

ここで実験、水素と酸素を化合させて水を作る方法

ここで実験、水素と酸素を化合させて水を作る方法

image by Study-Z編集部

水素は実験で簡単に発生させることができる物質です。二股試験管にそれぞれ亜鉛と塩酸を入れ、亜鉛塩酸をそそぐと反応させて得られます。ちなみに亜鉛は単体、そして塩酸は化合物である塩化水素と水の混合物です。発生した水素は水上置換法によって集めることができます。水上置換法についてはこちらの記事を読んでくださいね。

集めた水素にマッチの火を近づけると水素が燃えて、水ができます。水素が酸素と化合して水になったのですね。試薬さえあれば簡単にできる実験ですが、水素と酸素が混ざった状態で加熱すると大爆発になることがあります。実験を行う時はしっかりと手順を確認し、燃えやすい物はそばに置かない、火を消す用意をするなどの安全来策を必ず行いましょう。

\次のページで「化合物と一緒に覚えたい、分離方法」を解説!/

化合物と一緒に覚えたい、分離方法

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高校の化学ではまず、化合についてと一緒に混合物から化合物や単体を分離する方法を学びます。

ろ過

家でコーヒーを淹れる時、コーヒーフィルターの上に粉を入れお湯を注ぎますね。フィルターの上に固体である粉は残りますが、液体である水はフィルターを通り抜けてポットに落ちます。このようにろ紙などを用いて液体と個体を分ける操作をろ過というのです。

蒸留

純物質それぞれに決まった沸点があります。この沸点の差を用いて沸点の低い方の液体を一度気体にし、冷却して再び液体にして取り出すことを蒸留と言うのです。蒸留といえば蒸留酒がイメージしやすいでしょう。お酒は酵母による発酵によって作られますが、アルコール濃度15%くらいになると酵母が死んでしまいます。そこで蒸留によって濃度の高いアルコールを得るのです。

抽出

水に溶けやすい、有機溶媒に溶けやすいといった溶解性は物質によって異なります。例えばお茶にブタノールを加えて混ぜると、水に溶けていた葉緑素はより溶けやすいブタノールに移ってしまうのです。ブタノールは油のように水と分離し、ブタノール層から葉緑素を得ることができます。

昇華

アイスを買うとついて来るドライアイス。このドライアイスが融けて二酸化炭素になるように固体が気体へと変化することを昇華といいます。緑茶にはカフェインが入っていますね。このカフェインを除くのに使われるのが昇華です。緑茶をゆっくりと加熱するとカフェインが気体となり、その蒸気を冷やして固体のカフェイン得ることができます。

再結晶

溶解度の違いを用いて分離する再結晶。溶解度の異なる個体が混ざった混合物に水を加えて加熱し、溶かします。物質は高温の方がよく溶けるため、冷却すると高温でよく溶ける物質が先に析出するのです。これをろ過することで純粋な物質を得ることができます。再結晶は実験で得た化合物の純度を上げるときによく行われる方法です。

クロマトグラフィー

物質の吸着力の差を用いて分離するクロマトグラフィー。例えば紙に水性インクを落として水につけるとにじみますね。これを観察すると、どんどん色が分かれていくのです。これはインクに含まれている成分が複数あり、その成分の水への溶けやすさや紙への吸着力が違うことによります。クロマトグラフィーは化学分析によく用いられるので、化学系の学科に興味がある人はぜひ調べてみてくださいね。

化合の反対、分解とは

物質の状態が変化する化学変化。化合の逆で1つの化合物を2種類以上の物質にすることを分解と言います。化合物が混ぜ合わさった混合物はろ過や蒸留で分離できますが、化合物を構成する元素を単体として得るには分解する必要があるのです。

ここでは水の電気分解を例に分解について説明します。

image by Study-Z編集部

上の図のようなHの形をした器具に水と電解質として塩化ナトリウムや水酸化ナトリウムを入れて電気を流します。そうすると陰極に水素、陽極に酸素が集まるのです。この時、水素と酸素はどのような比率で発生するでしょうか?

答えはもちろん水素:酸素= 2:1になります。1つの水分子は2つの水素と1つの酸素が化合してできているからですね。

化学を学ぶのに必須!化学を始めたらまずはおさえたい「化合」について

化学の授業でまず習うのが物質についてで、すぐに「化合」、「化合物」と言う言葉が出てきます。化合物と単体、混合物との違いをしっかりと覚えましょう。

また、実際に化合を行い純粋な化合物を得るためにはろ過、蒸留った分離・精製の作業をする必要があります。どういう状態の物を分離するときにどの方法を選ぶのか選べるよう、きちんと内容を理解してくださいね。

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化学物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単!「化合」を元家庭教師がわかりやすく解説!

化学を学ぶとたくさんの化合物が出てくる。2種類以上の元素が反応して物質を作ることを「化合」といい、できた物質を「化合物」と言うんです。

身の回りにはたくさんの化合物がある。例えば空気中にある二酸化炭素は酸素と炭素からできた化合物です。一方、同じく空気中にある窒素や酸素は化合物ではない。この違いについて高校時代の思い出の大半は化学室というリケジョ、たかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校時代は化学部に所属、国立大学の工学部化学系で研究の傍ら家庭教師のバイトをしながら修士課程を修了したというリケジョ。卒業後は化学工場で働く。自他ともに認める不器用だが化合物のろ過をたくさんしたので、ろ紙はそこそこ上手に折れる。

化学の基礎中の基礎、化合物と単体

化学の基礎中の基礎、化合物と単体

image by Study-Z編集部

化合について学ぶにはまず「物質」の分類について知る必要があります。空気を例に物質の種類を確認していきましょう。

空気には窒素や酸素、二酸化炭素と様々な物質が含まれています。このように2種類以上のいろいろな物質が混ざっているものが混合物です。反対に何も混ざっていない1種類の物質がある状態の物を純物質と呼びます。例えば塩化ナトリウム水溶液(塩水)は塩化ナトリウムと水の混合物ですが、塩化ナトリウムと水はそれぞれ純物質です。

混合物は沸点など性質の違いを利用して混合物を単体化合物に分けることができます。単体とは窒素や酸素のように1種類の元素のみからなるものです。そして2種類以上の元素が組み合わさってできた二酸化炭素のような物質を化合物と言います。

化合物の見分け方

化合物の見分け方

image by Study-Z編集部

まず混合物と純物質を見分けるときに気を付けたいのが結合しているか、という事です。例えば塩化ナトリウムと水の混合物である塩化ナトリウム水溶液(塩水)。水は酸素と水素が共有結合、塩化ナトリウムは塩素とナトリウムがイオン結合してできています。しかし、水と塩化ナトリウムは混ざっているだけで化合していません

そして純物質を化合物と単体を見分けるときに気を付けたいのが物質に含まれている元素の数です。先ほど説明したように単体は元素が1種類からできているのに対して、化合物は2種類以上からできています。そのため、化学式を見れば単体か化合物かが簡単に確認することができるのです。

簡単にまとめると化学式で表せないのが混合物化学式で表せるのが純物質となります。そして元素が1種類なら単体2種類以上なら化合物です。もしテストで物質の分類に関する問題が出たら、これを基準に分けてくださいね。

化合の様子を表す!化学反応式

化合の様子を表す!化学反応式

image by Study-Z編集部

2種類以上の物質が化合して新たな化合物となる様子は化学反応式で表されます。

例えば水。水は水素と酸素の分子が反応して水ができます。この時注意したいのが反応に関わる分子の数です。水分子は1つの酸素原子と2つの水素元素からできています。しかし1つの酸素分子と水素分子に含まれる原子の数はそれぞれ2つずつです。もし、1つの酸素分子と水素分子から1つの水ができるとしたら、酸素原子が1つ余ってしまいますね。

化学反応式を書くときは左に反応する反応物、右に反応によってできた生成物を書きます。そして反応に関わるそれぞれ原子の数が必ず左右で同じになるようにするのです。水素と酸素から水を作るという化学反応式の場合、左に水素と酸素の分子、右に水分子が来ます。水は1つの酸素と2つの水素から成り立っていますね。つまり1つの酸素分子と2つの水素分子が反応すれば水分子が2つできるのです。

単体の酸素と水素が反応してできる水の化学反応式は簡単ですが、複数の化合物が出てくると化学反応式はどんどん複雑になります。複雑な化学反応式でそれぞれの分子がいくつあるかを求める方法については、別の機会に説明しましょう。

ここで実験、水素と酸素を化合させて水を作る方法

ここで実験、水素と酸素を化合させて水を作る方法

image by Study-Z編集部

水素は実験で簡単に発生させることができる物質です。二股試験管にそれぞれ亜鉛と塩酸を入れ、亜鉛塩酸をそそぐと反応させて得られます。ちなみに亜鉛は単体、そして塩酸は化合物である塩化水素と水の混合物です。発生した水素は水上置換法によって集めることができます。水上置換法についてはこちらの記事を読んでくださいね。

集めた水素にマッチの火を近づけると水素が燃えて、水ができます。水素が酸素と化合して水になったのですね。試薬さえあれば簡単にできる実験ですが、水素と酸素が混ざった状態で加熱すると大爆発になることがあります。実験を行う時はしっかりと手順を確認し、燃えやすい物はそばに置かない、火を消す用意をするなどの安全来策を必ず行いましょう。

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