物理物理学・力学理科

「張力」はなぜどこでも同じ大きさか? 理系ライターがわかりやすく解説

物理の初めの方で習う力学は実は物理の中では一番難しいのです。力学さえきちんと理解できていればその他すべての物理の理解はたやすくなるはずです。

今物理がもう一つよくわからない、しっくりこないという人は、ひとつひとつの概念や専門用語についてもう一度しっかり見直してみるべきです。

今日は、そんな中でも見過ごされがちな「張力」について理系ライターのタッケさんと一緒に解説してゆくぞ!

ライター/タッケ

物理学全般に興味をもつ理系ライター。理学の博士号を持つ。専門は物性物理関係。高校で物理を教えていたという一面も持つ。今回は張力について考えてみた。

「力学は実は難しいんですよ。でも力学を本当に克服できれば先は明るいはず。皆さんは物理を始めるにあたっては、力学を克服することを一番に考えてください。」

糸が引く力

image by iStockphoto

物理を勉強し始めて最初に習うのは運動に関する事項ですが、その次には早速ニュートンの法則が登場します。

ニュートン力学はかなりの高度な内容です。
本当に理解するにはかなり時間と努力を要します。
さて、そのニュートン力学では問題に糸がよく登場するのです。
その場合、ロープ等ではなく、だいたい質量の無視できる糸という場合がほとんどですね。

糸などの及ぼす力を張力とよんでいるのです。

そして、なぜかほとんどの場合、問題においては糸の質量が無視できるほど小さいとされます。

では静力学から考えてみましょう。
次の図は静止物体の釣り合いです。

image by Study-Z編集部

このような問題では不思議なことに、糸が及ぼす力 T は糸のどこでも同じ大きさとしています。
でもなんとなく、糸の上部の張力のほうが強いような気がしませんか?
まあ、糸の張力はどこでも同じです…といわれて「そんなもんかな」で済ませている人は多いのではないでしょうか。

次に加速運動している物体の場合です。
この図では物体に働く力を赤矢印で示しました。(注意:摩擦のない水平面上で、水平方向の力のみ示してあります)

image by Study-Z編集部

不思議なことに、この場合も糸が及ぼす力(張力) T は糸のどこでも同じ大きさです。
すなわち、T1 = T2 

殆どすべての場合、問題を解くにあたって、
「運動中でも静止しているときでも、糸のどの部分においても張力は同じ大きさであるとしてよい」
という前提条件がついてきます。

しかし、ちょっとまってください。
なぜ、糸の張力はどこでも同じとしていいのでしょうか。
引っ張るにしても糸の根本と先では張力は違うような気もしませんか?

教科書等をよく読んでもその答えは載っていないように思います。
「糸の張力はどこでも同じとして良い」
という断り書きが載せられているだけです。

あなたはこのことについてなぜかと思ったことはありませんか?
ここでそのなぜかについて考えてみることにします。

張力はなぜどこでも同じなのか

それでは、物体と糸が繋がれて加速運動しているときの糸の張力について考えてみることにします。

ニュートンの運動方程式を思い出してください。
ma = F ですね。
この簡単な方程式で世の中のあらゆる現象を表せるのですが、糸もその例に漏れません。

すなわち、当たり前ですが糸もニュートンの運動方程式に従うのです。
ということは、糸の質量を m 、加速度  a で運動する場合、糸にはたらく合力が F であれば、
ma = F 
が成り立っているはずですね。

では次の図では糸に着目して運動方程式を立ててみましょう。
この図では糸に着目して、糸が受ける力を赤い矢印で示しています。
他の物体が受ける力は省略していますので間違えないでくださいね。

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