地学宇宙理科

「火星」について理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は火星ついて解説していくぞ。

最近は火星という言葉聞く機会も多いだろう。理由は有人火星飛行が世界中で計画されているからだ。いつになるかはわからないが、人類が3番目に降り立つ天体は間違いなく火星なるだろう(1番目は地球で2番目は月)。何かと話題の火星について現在わかっていることを見てみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

火星について

image by iStockphoto

火星は地球のすぐ外側を回っている惑星であり、昔から月についで有人探査計画の目標先でした。そういう理由もあって今まで数々の探査がなされてきました。近年では有人探査が現実的な計画段階に入り、日本を含め様々な計画および観測が世界各国で行われています。今回はこのように我々人類にとって、比較的身近な惑星である火星について紹介しましょう。

火星の基本データ

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RHorning and later modified by Scooter20投稿者自身による作品, based on the these sources., パブリック・ドメイン, リンクによる

火星は太陽系4番目の惑星であり、地球の軌道の1.5倍ほど、太陽より約2億3000万キロメートルのところを686.98日で公転しています。直径は約6800キロメートルであり、地球の半分以下です。そのため質量は地球の10分の1以下ですので、地表面の重力は地球の3分の1しかありません。自転周期は24.6229時間と地球とほぼ同じであり、自転軸も地球と同じように25.19度傾いているため火星にも季節が存在します。地球と同じく岩石型の惑星です。なので地表面には地球と同じく硬い地面があります。上記の画像のように火星が赤褐色に見えるのは、地表に酸化鉄が大量に含まれているためです。

火星の大気について

Mars atmosphere.jpg
NASA – http://solarsystem.nasa.gov/multimedia/gallery/Mars__atmosphere.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

このように太陽系の惑星の中では比較的地球に似ている火星ですが、現在の大気の状態が大きく違います。火星の大気は主に二酸化炭素で構成されていて気圧は地表面で0.0075気圧、すなわち地球の約0.75パーセントしかありません。そのため温暖化効果が不十分であり、火星の平均気温は摂氏マイナス50度以下です。よって地表面では液体の水は存在できません。火星の大気の上層部からは、火星の大気が宇宙空間に漏れていっているようなので、火星の大気組成も長期的には変化していく可能性が指摘されています。大気が薄いことや昼夜の温度差が大きいことなどが原因で、20キロメートルもの巨大な竜巻や、火星全体を覆う砂嵐などがみられるのも火星の特徴です。

火星の地形について

PIA16204-MarsCuriosityRover-Rocknest-20120928.jpg
NASA/JPL-Caltech/MSSS – http://photojournal.jpl.nasa.gov/jpeg/PIA16204.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

火星の地形は変化にとんでいます。地表面は主に玄武岩と安山岩ができていて山も存在することから、少なくともかつては火山活動があったことは確かです。その一方で地球のようなプレートテクトニクス、すなわち大陸移動のようなものの存在はまだ確認されていません。北半球は溶岩流によって平らにされたと思われる平原が広がっていて、南半球には窪地やクレーターが存在する高地が多くなっています。南極と北極には水と二酸化炭素の氷からなる塊があり、これが極冠よばれるものです。火星にも季節があるため極冠の大きさは季節によって変化します。上記の画像は探査機キュリオシティが2012年に撮影した火星表面の画像です。

太陽系最大の火山について

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NASA/Corbis – The image occurs in an article entitled, “Mars Has “Oceans” of Water Inside?”, url=http://news.nationalgeographic.com/news/2012/06/120626-mars-water-mantle-oceans-meteorites-space-science/., パブリック・ドメイン, リンクによる

火星の地形の白眉といえばタルシス高地あるオリンポス山でしょう。高さが約2万7000キロメートル、裾野は約550キロメートルにもなる、現在確認されているかぎりで太陽系最大の火山です。エベレストが8850キロメートルですので、およそ3倍の高さになります。形状は楯状火山の形状で火口付近の窪地、いわゆるカルデラは長径80キロメートル、短径60キロメートル、深さが3キロメートルもあり、日本の富士山がすっぽり入ってしまう大きさです。長らく死火山と思われていましたが、2004年に240万年前の噴火の形跡が発見されました。もしかすると太陽系最大の火山は活火山かもしれません!

\次のページで「火星の水について」を解説!/

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