image by Study-Z編集部
つまり、クラウジウスの言うように熱が必ず高温のものから低温のものへ流れるというのであれば、この式の値については必ず次のことが言えます。
「Qはどちらも同じで、温度は当然 Th > Tc であるため、この式の値は必ず正になる」
つまり、エントロピーは増大するのです。
これは、熱力学第2法則の数学的な表現と考えてもいいでしょう。
エントロピーとは熱が高温から低温への一方通行であることを示す指標と言えるわけですね。
image by iStockphoto
また、エントロピーはよく「乱雑さ」を表していると言われますが、乱雑さとは何でしょうか?
熱が高温物体から低音物体へ流れる場合でもエネルギー自体はエネルギー保存則により増えも減りもしません。
したがって、高温の物体から低温の物体へ熱エネルギーが移動してもその総量は変わっていないはずです。
しかし、熱エネルギー総量は全体として同じだとしても、明らかに再利用しにくくなっています。
お湯を沸かすことを考えてみましょう。
ガスを燃やすことでガスの化学エネルギーを熱に変えます。
そのガスのエネルギーは水の温度を上げることに使われるほかは、大気中などに放出されますね。
ガスの持っていたエネルギー総量は増えも減りもしません。
しかし、散っていった熱エネルギーをもう一度再利用するのはとても難しいことです。
このように熱エネルギーはとても使いにくいエネルギーといえます。
これは目薬をプールに一滴落とした時のことを考えてみるとわかりやすいかもしれません。
プールの目薬は当然、増えも減りもしませんし、成分も変化はしないとしましょう。
しかし、プールの水から目薬を抽出して次に活用することはとても困難なことだというのと似ています。
熱は移動するに従いエントロピーがどんどん大きくなっていき、そしてそれは熱エネルギーがどんどん使いづらくなっていくことを示しているのです。
これを感覚的にわかりやすく「乱雑さが増した」と表現しています。
エントロピーにはその他、統計力学や情報の関係からのアプローチもありますが、クラウジウスの考えたエントロピーという概念はこのようなものです。
エントロピーは増大する
エントロピーは増大するのです。
これは熱力学の前提である熱力学第1法則や熱力学第2法則が正しければ必ずそうなります。
そして、熱力学の法則に反することは未だ見つかっていません。
我々の使っているエネルギーは最終的には熱エネルギーになります。
例えば、ガスを燃やしてお湯を沸かしても、電気を使ってストーブをつけても、ジェット機でひとっ飛びでも、すべてのエネルギーは最後には熱になるのです。
そして、エントロピーが増大するため、熱エネルギーはとても使いにくいエネルギーだといえます。
もしも、熱エネルギーを簡単に再利用することができれば、エネルギー危機は消滅するでしょう。
なぜかというと熱力学第1法則により、エネルギー自体は増えも減りもしないからです