今回は太陽系と惑星について解説していきます。

我々がどこに住んでいるのかと言えば、太陽系の第三惑星の地球というのが妥当な答えでしょう。日本に住んでいるなら日本のことをある程度知っているのが望ましいように、太陽系に住んでいるのだから太陽系のことについてある程度は知っているほうが望ましいと思う。駆け足になるが太陽系とその惑星について基本的なことを学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

太陽系とその惑星

image by iStockphoto

太陽系とは我々の住んでいる場所であり、太陽と太陽の重力に束縛された天体、およびそれらの運動する空間からなる構造のことです。その中には8つの惑星と、5つの準惑星、軌道がわかっているものだけでも40万を超える小天体が存在します。準惑星は惑星・衛星以外の大きな天体と考えてください。太陽系についてはまだまだわかっていなこともたくさんありますが、ここでは基本的なことを見てみましょう。

太陽について

The Sun by the Atmospheric Imaging Assembly of NASA's Solar Dynamics Observatory - 20100819.jpg
By NASA/SDO (AIA) - http://sdo.gsfc.nasa.gov/assets/img/browse/2010/08/19/20100819_003221_4096_0304.jpg, パブリック・ドメイン, Link

太陽系の中心にはもちろん太陽が存在します。太陽系の唯一の恒星で最大の天体です。恒星とは自分で光っている星のことであり、夜空に見える星の多くは恒星になります。太陽の直径は地球の約109倍で、質量は約33万倍です。太陽系の質量の99.9パーセント近くは太陽の質量であり、この莫大な質量による重力によって捕まっている天体が太陽系になります。主成分は水素とヘリウムです。太陽は常に核融合によって膨大なエネルギーを生成し続けています。

地球型惑星

Terrestrial planet size comparisons.jpg
By wikipedia user Brian0918 - http://solarsystem.nasa.gov/multimedia/gallery/terr_sizes.jpg Uploaded to commons from the english wikipedia; description page was here 19:27, 20 March 2006 Brian0918 1500x653 (499,869 bytes) Also previously uploaded as Image:Terr sizes.jpg 17:34, 24 June 2005 RHorning 1,500×653 488 KB Comparison of sizes of the terrestrial planets., パブリック・ドメイン, Link

太陽の回りの比較的近くを回っているのが地球型惑星といわれる水星、金星、地球、火星です。地球型惑星は岩石惑星ともよばれ主にケイ酸塩と金属鉄からなり、質量が小さく密度が大きいのが特徴になります。地球型惑星がこのような姿になったのは、太陽に近く誕生時に水などが蒸発してガスになり失われてしまったためのようです。

水星について

メッセンジャーが2008年(平成20年)に撮影した水星
By NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington. Edited version of Image:Mercury in color - Prockter07.jpg by Papa Lima Whiskey. - NASA/JPL, パブリック・ドメイン, Link

太陽系の最初の惑星である水星は、太陽からの距離が約5800万キロメートル、直径は約4800キロメートルで地球の半分以下です。公転周期は88日と早いのに自転には55.6日もかかります。そのため日の出から日の出までにかかる時間は176日です。この影響もあり、温度は-170度以下から400度以上にまで変化しその差は570度以上にもなります。

金星について

探査機「ガリレオ」による撮影(1990年2月)
By NASA/JPL - http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA00223, パブリック・ドメイン, Link

彗星の次の惑星である金星は、太陽からの距離が約1億1000万キロメートルで、直径は1万2000キロメートルと地球とさほどかわりません。自転が他の惑星とは逆向きに回転していて、自転周期が243日もあるのが特徴です。二酸化炭素を主成分とする濃い大気が存在し、その影響で地表面の気圧は90気圧、温度は470度に達します。地球からみると太陽、月についで3番目に明るい天体であり、古来より明けの明星・宵の明星として有名です。

\次のページで「地球について」を解説!/

地球について

アポロ17号にて撮影された衛星写真。(撮影日時は不明)
By NASA/Apollo 17 crew; taken by either Harrison Schmitt or Ron Evans - https://web.archive.org/web/20160112123725/http://grin.hq.nasa.gov/ABSTRACTS/GPN-2000-001138.html (image link); see also https://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_329.html, パブリック・ドメイン, Link

3番目の惑星は我らが地球です。太陽から約1億5000万キロメートルのところを365.2422日で公転しています。直径は約1万2800キロメートルで、自転周期は約23時間56分、地軸が約23度傾いているため季節が存在するのが特徴です。地表に大量の液体の水が存在し、活発な生命活動が見られる太陽系唯一の惑星です(いまのところ)。生命の影響で窒素についで酸素が大気に大量に存在するのも,地球のみの現象だと考えられています。

火星について

探査機「ロゼッタ」による撮影(2007年2月24日)
By ESA - European Space Agency & Max-Planck Institute for Solar System Research for OSIRIS Team ESA/MPS/UPD/LAM/IAA/RSSD/INTA/UPM/DASP/IDA - http://www.esa.int/spaceinimages/Images/2007/02/True-colour_image_of_Mars_seen_by_OSIRIS, CC BY-SA 3.0-igo, Link

4番目の惑星の火星は直径約6800キロメートルで地球の半分以下と小ぶりです。太陽からの距離は約2億3000万キロメートルで公転周期は約687日になります。自転周期は約24.6時間で、地球と同じように地軸が25度ほど傾いているため季節が存在するのも特徴です。かつては地球に似た環境だったと考えられていますが、現在では大気が地球の100分の1以下しか存在しないため、平均気温が-50度以下の不毛の大地になっています。

小惑星帯について

Asteroid Belt ja.svg
By my own work derived from NASA's image. - Image:Asteroid Belt.jpg, パブリック・ドメイン, Link

火星の外側にはメインベルトとも呼ばれる小惑星の密集地帯が広がっています。太陽系の形成時に木星の重力の影響によって作られたようです。日本のはやぶさとはやぶさ2が調査したイトカワとリュウグウもこの小惑星帯の小天体になります。小惑星が現在も各国で盛んに研究されているのは、太陽系の発生過程の情報を保存していると考えられているからです。

木星型惑星と天王星型惑星

Gas giants and the Sun (1 px = 1000 km).jpg
By Urhixidur, successive modification by Jrockley - Image prepared by myself from NSSDC (National Space Science Data Center) images, パブリック・ドメイン, Link

火星より外側の天体はその構造が大きく変ります。今までは岩石主体の惑星でしたが、ここからはガス主体の惑星です。木星・土星を木星型惑星もしくは巨大ガス惑星、天王星・海王星を天王星型惑星もしくは巨大氷惑星と呼びます。木星型はガスが主成分、天王星型は氷(氷の状態であるのかどうかはわからない)やメタン・アンモニアを主成分とする巨大惑星です。

木星について

2014年時点の自然色木星全体図
By NASA/JPL/University of Arizona - http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA02873, パブリック・ドメイン, Link

木星は太陽系最大の惑星で、直径は約14万キロで地球の11倍、質量は地球の317倍もあります。太陽から約7億8千万キロメートルのところを公転していて周期は約12年です。自転周期が約10時間と高速で自転していて、その影響で上下から押しつぶしたような形になっています。アンモニアを含む分厚い雲の縞模様が特徴です。多数の衛星を持ちます。

\次のページで「土星について」を解説!/

土星について

カッシーニによる撮影 (2004年3月27日)
By NASA / JPL / Space Science Institute - http://www.ciclops.org/view/205/Ringworld-Waiting http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/pia06077, パブリック・ドメイン, Link

木星の次は土星で同じく巨大ガス惑星です。直径は約12万キロメートルで木星についで2番目の大きさになります。太陽から約14億キロメートルのところを公転していて周期は約30年です。木星と同じく周期約10時間という高速で自転しています。惑星の周りをほとんど氷の岩の小天体が、リング状に取り巻いているのが特徴です。多数の衛星を持ちます。

天王星について

1986年にボイジャー2号が撮影した天王星
By NASA/JPL-Caltech - https://web.archive.org/web/20090119235457/http://planetquest.jpl.nasa.gov/milestones_show/slide1.html (image link) http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA18182 (image link), パブリック・ドメイン, Link

土星の次は巨大氷惑星の天王星です。直径約5万キロメートルで太陽系3番目の大きさになります。太陽から約29億キロメートルのところを公転していて周期は約84日です。地軸が約98度も傾いていてほとんど横倒しになっているのが特徴になります。望遠鏡で覗くとメタンの雲に覆われていて、のっぺりした見た目です。多数の衛星を持っています。

海王星について

ボイジャー2号が撮影した海王星の画像。中央に大暗斑とそれに付随した明るい模様が見え、西側の周縁には「スクーター」と呼ばれる、移動速度が速い明るい模様と小さな暗点が見られる。
By Justin Cowart - https://www.flickr.com/photos/132160802@N06/29347980845/, CC 表示 2.0, Link

海王星は太陽系最後の惑星です。天王星と同じく巨大氷惑星であり直径は約5万キロメートルになります。太陽から45億キロメートルのところを公転していて周期は約16年です。天王星にくらべて大気の活動が活発で、内部に熱源があることが予想されています。白く見えるメタンの雲など様々な模様が見られるのが特徴です。14個の衛星が知られています。

太陽系外縁天体について

EightTNOs.png
By Lexicon - Based on the public domain Nasa images: Image:2006-16-d-print.jpg, Image:Orcus art.png. Source Page from 2006: http://hubblesite.org/newscenter/newsdesk/archive/releases/2006/16/image/d You can visually verify that the names and former designations of these objects match up on the image. For example: Eris, former designation 2003 UB313, Makemake, former designation 2005 FY9, and Haumea, former designation 2003 EL61. The references for the names can all be found here, at the Minor Planets Center: just type Eris, Makemake, Haumea, etc. in the box and click "get ephemerides", and beside each one is the link "show naming citation"., CC 表示-継承 3.0, Link

太陽系天体のうち、海王星の軌道より外側を周回しているものを太陽系外縁天体と呼んでいます。昔は惑星とされていた冥王星も太陽系外縁天体です。ちなみにいま確認されている準惑星は、小惑星帯のケレスを除けばすべて太陽系外縁天体になります。太陽系外縁天体はまだまだ存在すると考えられ、現在もきっと新たな事実がわかっていることでしょう。

太陽系とその多様な惑星

太陽系とその惑星について簡単に紹介しました。ご覧のように惑星だけでもこの短い記事では簡単にしか紹介できません。太陽系にはさらに衛星、彗星、オールトの雲などの多数の天体が存在します。一口に太陽系といってもこのように非常に豊かであり、おまけにまだまだわかっていないことが山のようにあるのが現状です。日本を含め世界中で日々観測が続けられているので、日々新しい情報がもたらされています。太陽系はこれからもより多彩で興味深い姿を我々に見せ続けてくれることでしょう。

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地学宇宙理科

「太陽系」とその「惑星」について理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

今回は太陽系と惑星について解説していきます。

我々がどこに住んでいるのかと言えば、太陽系の第三惑星の地球というのが妥当な答えでしょう。日本に住んでいるなら日本のことをある程度知っているのが望ましいように、太陽系に住んでいるのだから太陽系のことについてある程度は知っているほうが望ましいと思う。駆け足になるが太陽系とその惑星について基本的なことを学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

太陽系とその惑星

image by iStockphoto

太陽系とは我々の住んでいる場所であり、太陽と太陽の重力に束縛された天体、およびそれらの運動する空間からなる構造のことです。その中には8つの惑星と、5つの準惑星、軌道がわかっているものだけでも40万を超える小天体が存在します。準惑星は惑星・衛星以外の大きな天体と考えてください。太陽系についてはまだまだわかっていなこともたくさんありますが、ここでは基本的なことを見てみましょう。

太陽について

太陽系の中心にはもちろん太陽が存在します。太陽系の唯一の恒星で最大の天体です。恒星とは自分で光っている星のことであり、夜空に見える星の多くは恒星になります。太陽の直径は地球の約109倍で、質量は約33万倍です。太陽系の質量の99.9パーセント近くは太陽の質量であり、この莫大な質量による重力によって捕まっている天体が太陽系になります。主成分は水素とヘリウムです。太陽は常に核融合によって膨大なエネルギーを生成し続けています。

地球型惑星

Terrestrial planet size comparisons.jpg
By wikipedia user Brian0918http://solarsystem.nasa.gov/multimedia/gallery/terr_sizes.jpg Uploaded to commons from the english wikipedia; description page was here 19:27, 20 March 2006 Brian0918 1500×653 (499,869 bytes) Also previously uploaded as Image:Terr sizes.jpg 17:34, 24 June 2005 RHorning 1,500×653 488 KB Comparison of sizes of the terrestrial planets., パブリック・ドメイン, Link

太陽の回りの比較的近くを回っているのが地球型惑星といわれる水星、金星、地球、火星です。地球型惑星は岩石惑星ともよばれ主にケイ酸塩と金属鉄からなり、質量が小さく密度が大きいのが特徴になります。地球型惑星がこのような姿になったのは、太陽に近く誕生時に水などが蒸発してガスになり失われてしまったためのようです。

水星について

太陽系の最初の惑星である水星は、太陽からの距離が約5800万キロメートル、直径は約4800キロメートルで地球の半分以下です。公転周期は88日と早いのに自転には55.6日もかかります。そのため日の出から日の出までにかかる時間は176日です。この影響もあり、温度は-170度以下から400度以上にまで変化しその差は570度以上にもなります。

金星について

探査機「ガリレオ」による撮影(1990年2月)
By NASA/JPL – http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA00223, パブリック・ドメイン, Link

彗星の次の惑星である金星は、太陽からの距離が約1億1000万キロメートルで、直径は1万2000キロメートルと地球とさほどかわりません。自転が他の惑星とは逆向きに回転していて、自転周期が243日もあるのが特徴です。二酸化炭素を主成分とする濃い大気が存在し、その影響で地表面の気圧は90気圧、温度は470度に達します。地球からみると太陽、月についで3番目に明るい天体であり、古来より明けの明星・宵の明星として有名です。

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