
簡単でわかりやすい!混合物と化合物の違いとは?純物質も元研究員がわかりやすく解説
今回は「混合物」と「化合物」について、実験室で混合物や化合物から目的の成分を取り出して分析してきたライターwingと一緒に解説していきます。

ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.混合物と化合物

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混合物と化合物はどのような違いがあるのでしょうか?混合物とは2種類以上の物質をただ混ぜ合わせただけのものです。対して化合物とは、2種類以上の物質が化学反応を起こして別の物質に変化したもののことを指します。両方を丁寧に説明できるように、まずは混合物から紐解いていきましょう。
2.純物質と混合物

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身の回りの物質には、水や酸素や鉄のように他の物質が混ざり合っていない1種類の物質からできている純物質と、空気や海水のように2種類以上の物質が混ざり合った混合物があります。
2-1.純物質と混合物の違い

純物質はそれぞれ固有の融点(固体から液体に変化する温度)と沸点(液体から気体に変化する温度)をもっています。融点や沸点を調べることにより、その物質の種類を特定することができます。そして混合物は純物質が様々な比率で混ざり合っているため、固有の融点や沸点をもちません。
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2-2.混合物を純物質に分ける
わたしたちの身の回りにあるものは、ほとんどが混合物です。混合物は混ぜ合わせた純物質の割合により性質が異なります。
ただの水より何か混ざっている水の方が、沸騰する温度が高いという話を聞いたことがありませんか?
この現象は沸点上昇というのですが、濃度が違えば沸点は変わってきます。例えば100mLの水に1gの食塩を入れた食塩水と、100mLの水に10gの食塩を入れた食塩水では、同じ「食塩水」といっても違うものですよね。この2種類の食塩水は濃度が違うので、沸騰する温度(沸点)は違います。これが混ぜ合わせた物質の割合により性質が異なるという事です。
しかしこの食塩水を水と食塩に分ければ、前者の食塩水から分けられた水と食塩と、後者の食塩水から分けられた水と食塩は同じ物質になります。
混合物を純物質いくつかに分離したい時は、純物質固有の性質の違いを利用して純物質を1つずつ取り出すのです。
この混合物から純物質を取り出す実験操作のことを分離といい、分離した物質から不純物を取り除くことで純度を高める操作のことを精製といいます。
2-3.混合物を分離する実験操作

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混合物を構成する純物質に分けるときの実験操作には種類があります。ろ過、蒸留、分留、再結晶法、昇華法、抽出、クロマトグラフィーが主な方法です。
混合物のなかからどのような物質を分離したいか、その物質がどんな性質を持っているかにより分離方法を選択する必要があります。混合物を分離する実験操作については、次回それぞれ詳しく解説しましょう。
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3.純物質の中の単体と化合物
純物質のうち水素(H2)、酸素(O2)、塩素(Cl2)のように1種類の元素からなるものを単体といいます。対して水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)のように2種類以上の元素からなるものを化合物というのです。
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3-1.単体の中の同素体

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同素体というのは、同じ元素からなる単体同士で、結合の仕方が違うために異なる性質をもった物質のことです。例えば、炭素(C)からできているダイヤモンドと黒鉛は同素体の関係になります。同素体を持つ元素は以下の4つしかありません。
硫黄(S):斜方硫黄・単斜硫黄・ゴム状硫黄
炭素(C):ダイヤモンド・黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ
酸素(O):酸素・オゾン
りん(P):黄りん・赤りん
それぞれの元素記号から、SCOP(スコップ)という覚え方が有名です。
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