化学

簡単にわかる「過冷却」!0℃でも水が凍らないのはなぜ?元塾講師がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は水に関する不思議、「過冷却」という現象について勉強していこう。

水は0℃になると凍るというのは知っているよな。でも0℃になっても凍らず、刺激を加えることで一気に凍りはじめるという現象があるんだ。自宅でも試せる実験方法も紹介しよう。さあ、化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.水の融点・凝固点

image by iStockphoto

物質の三態についての復習です。固体が液体になること、液体が固体になることをそれぞれ何と表すか覚えていますか?そしてそれらの状態変化が起こる温度を何といったでしょうか。

固体が液体になることを融解といい、その温度を融点といいます。また、液体が固体になることを凝固といい、このときの温度を凝固点といいましたね。水の場合、0℃で氷は溶け始め、0℃で水は凍りはじめます。つまり、理論上、融点と凝固点は同じというわけです。

今回解説する過冷却は、この融点であり凝固点でもある0℃という温度が非常に重要になってきます。それでは過冷却について見ていきましょう。

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前回解説したが、水の沸点は100℃ではなく99.974℃というのが厳密な数値だったよな。まあこれは参考程度に覚えておくとして、水は0℃で凍って100℃で沸騰するということくらいは常識として知っておこう。

2.過冷却とは

2.過冷却とは

image by Study-Z編集部

過冷却は状態変化が起こるべき温度以下でもその変化が起こらない現象を指します。これを水で例えてみましょう。液体の水から固体の氷に状態変化する0℃を下回ってもなおその変化が起こらない様子がこれに当たります。

水の場合、液体のときは水分子がエネルギーを持って運動している状態です。それが時間経過とともに冷やされ、0℃で凍りはじめます。固体になった氷は分子が運動をやめ、安定した結晶構造となりますね。

上のグラフは時間経過にともなう水の状態変化についてしめしたものです。通常は水のみの状態から0℃で氷と水が混ざって存在する過程を経て、全て氷になります。しかし過冷却というのは、ゆっくり冷やされることで、結晶化が起こらないままの状態が維持されている状態です。ところが振動などの刺激を加えることで一気に結晶化が進み、通常の水と同じ状態変化を辿るというわけですね。

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ゆっくり冷やすことで凍らない。振動によって一気に凍る。これに何の関係があるのが気になるよな。

\次のページで「結晶化が進む仕組み」を解説!/

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