「アルカリ金属」とは、周期表の一番左に存在する1族元素の中から「水素」を除いた6元素のことを指すんです。その6元素とは、何だか知っているか?
リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)の6元素が正解だ!

これらの元素は互いに似た性質を持っているんですが、今日はこの6元素について、実験大好き未来の科学者ライターHaruと一緒に解説していくぞ!

ライター/Haru

化学グランプリに挑戦した経験もある、実験が大好きな学生ライター。子どもの頃、元素周期表をポケモンと一緒に覚えてから、物質を見ると化学式が一緒に見えてくる生活を送っている。アインシュタインとニュートンを尊敬しており、彼らの偉業や化学の面白さを分かりやすく伝えていきたい。将来は研究員になって実験を生業とするのが夢。

アルカリ金属とは

まず、アルカリ金属の6元素、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)が持つ、互いに似た性質について解説しましょう。

1価の陽イオンになりやすい

アルカリ金属は、すべて原子に価電子を1つ持っているのですが、イオン化エネルギーが小さいため、電子を1個放出して1価の陽イオンになりやすい性質を持っています。

水と激しく反応する

水と激しく反応する

image by Study-Z編集部

前述の通りイオンになりやすい性質を持つアルカリ金属は、水と激しく反応する性質を持っており、例えばカリウムと水が反応すると、水酸化カリウムと水素が発生します。

また、この反応は発熱反応で、その発熱量は水素を引火させてしまうほどの量なので結果的に爆発が起こるのです。

このように、アルカリ金属は水と激しく反応し、爆発する性質があります。

非常に酸化しやすい

非常に酸化しやすい

image by Study-Z編集部

アルカリ金属は酸素とも反応しやすい性質を持っています。アルカリ金属は名前の通り金属ですが、その外皮は常に酸素によって酸化されてしまうため、金属光沢を失ってしまうのですが、例えばナトリウムの塊をナイフで切ると、切断面が即座に酸化されて、白色に変色してしまうのです。

このように、アルカリ金属は非常に酸化しやすいため、保存するときは石油の中に沈めて保存します。

炎色反応を示す

Die Flammenfärbung des Rubidium.jpg
By Didaktische.Medien - Own work, CC BY-SA 3.0, Link

アルカリ金属を含む化合物は、高温で加熱すると特有の炎色反応を示すのですが、リチウムは赤、ナトリウムは黄色、カリウムは赤紫、ルビジウムは紅紫、セシウムは青色に炎が変色します。

この炎色反応は花火にも利用されているのです。火薬にアルカリ金属などの化合物を混ぜて、空中で爆発させ、炎色反応を起こすことで、火に様々な色をつけています。

黄色い花火が挙がったら、その花火玉にはナトリウムが使われているのです。

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アルカリ金属の水酸化物は強塩基性を示す

アルカリ金属の水酸化物は強い塩基性を示します。例えば水酸化ナトリウムと水酸化カリウムは、それぞれアルカリ金属であるナトリウムとカリウムの水酸化物ですが、どちらの水溶液も強い塩基性を示すのです。

各元素の特徴と利用

そんな似た性質を持つアルカリ金属ですが、それぞれ固有の特徴や用途を持っています。

リチウム

image by iStockphoto

「リチウム」と聞くと、電池を連想する人が多いでしょう。

ナトリウム

ナトリウムは、身近なところではナトリウムランプとして利用されています。

普段私達は、トンネルなどで、黄色く光っている「ナトリウムランプ」を目にすることがあるでしょう。ナトリウムランプは、排気ガス中の粉塵や煤煙などの影響を受けにくいので、トンネルの遠くまでよく見えるように、照明にはナトリウムランプが用いられているのです。

ナトリウムは、我々の身近な所で、化合物として存在します。数種類のナトリウム化合物と、その特徴・用途についてみていきましょう。

塩化ナトリウム(NaCl)

塩化ナトリウムは、別名で食塩とも呼ばれています。私達が日頃使っている塩や醤油などに含まれ、食事によって摂取することが多いです。取り込まれたナトリウムは、カリウムとともに神経伝達の一役を担うなど、生体内でも重要な役割を担っています。

炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)

炭酸水素ナトリウムは別名で重曹とも呼ばれ、掃除、洗濯、消臭など家事の現場で役に立っているのは知っていましたか?重曹は弱塩基性の物質なので、弱酸性の油汚れなどを中和によって落とすことができるのです。また、重曹は加熱すると熱分解によって二酸化炭素を放出するため発泡性がありますが、それも家事の現場で重宝される一つの所以であるといえるでしょう。

水酸化ナトリウム(NaOH)

最後は水酸化ナトリウムと言う物質で、これは小学校の理科でも出てくる有名なナトリウム化合物です。水酸化ナトリウムの水溶液は、強い塩基性を示す水溶液として有名ですが、その取り扱いには非常に注意しなければなりません。水酸化ナトリウムは目に少量入るだけでも失明してしまうほど危険な物質です。実験等で使う機会があれば、細心の注意を払って扱いましょう。

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カリウム

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カリウムと聞くと、果物を思い浮かべる人が多いかもしれません。食べ物の中で果物は最も多くカリウムを含み、その中でもバナナが最も多く含んでいます。カリウムは、人間が生きていく上で重要な元素なのです。

また、カリウムは肥料の三大要素である窒素、リン酸、カリウムのうちの1つでもあります。カリウムは人間にだけでなく、植物にとっても重要な要素なのです。

ルビジウム

ルビジウムは、安定同位体という安定した姿がルビジウム85(質量数が85のルビジウム)の1つしかなく、他の同位体は全て不安定です。

この不安定なルビジウムは、長い時間をかけて放射線を放出しながら別の元素に変わってしまいます。このような同位体を放射性同位体といいますが、実は放射性同位体が多く利用されているのです。

ルビジウム87(質量数が87のルビジウム)は主に年代測定に用いられます。ルビジウム87はβ線を放出して、周期表で隣に位置するストロンチウムに変化するのですが、この現象を、β線が放出されることから「β崩壊」と呼ぶのです。

ルビジウム87を用いる年代測定では、発掘物のルビジウム87の含有量によって何年前のものかが分かるのですが、この測定方法は、「ルビジウム―ストロンチウム法」と呼ばれます。

ルビジウムの放射性同位体はもう一つ、用途があり、それはルビジウム原子時計というものです。これは次の項目で、セシウム原子時計とともに説明します。

セシウム

セシウムは、前述の通り、原子時計に利用されています。原子時計とは、原子から放出される、マイクロ波という種類の電磁波の周波数によって、時間を測ることのできる時計です。

従来、1秒の長さは地球の自転や公転などによって定義されていましたが、実は現在は、セシウム133の出すマイクロ波の周波数によって定義されています。原子時計はかなり正確で、ルビジウム原子時計は1年に0.1秒、セシウム原子時計は30万年に1秒しか誤差が生じません。

この原子時計の時間を電波で受信し、時を刻んでいるのが電波時計です。

フランシウム

フランシウムは最も重いアルカリ金属です。このフランシウムと言う名前は、発見者の出身国であるフランスにちなんで名付けられました。

この物質は非常に不安定な物質で、安定同位体を持たず、すべての同位体が放射性同位体です。半減期を見てみると、前の項目で取り上げたルビジウム87が約488億年であるのに対し、フランシウムの半減期はなんと、22分という短さ。

これを見れば、フランシウムがいかに不安定な元素かが分かるでしょう。

アルカリ金属は似た性質を持ちながら、それぞれ特有の性質を持つ

このようにアルカリ金属は互いに似ている性質を持つ一方、それぞれの特有の性質も存在します。

もう少し細かく調べてみると、身近なところにアルカリ金属を発見することが出来るでしょう。

金属でありながら、食べ物や生体に関わりが深い物質、それがアルカリ金属です。

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化学無機物質理科

リチウムイオン電池で話題のリチウムも含む「アルカリ金属」とは?その特徴と豊富な用途を未来の科学者ライターがわかりやすく解説!

「アルカリ金属」とは、周期表の一番左に存在する1族元素の中から「水素」を除いた6元素のことを指すんです。その6元素とは、何だか知っているか?
リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)の6元素が正解だ!

これらの元素は互いに似た性質を持っているんですが、今日はこの6元素について、実験大好き未来の科学者ライターHaruと一緒に解説していくぞ!

ライター/Haru

化学グランプリに挑戦した経験もある、実験が大好きな学生ライター。子どもの頃、元素周期表をポケモンと一緒に覚えてから、物質を見ると化学式が一緒に見えてくる生活を送っている。アインシュタインとニュートンを尊敬しており、彼らの偉業や化学の面白さを分かりやすく伝えていきたい。将来は研究員になって実験を生業とするのが夢。

アルカリ金属とは

まず、アルカリ金属の6元素、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)が持つ、互いに似た性質について解説しましょう。

1価の陽イオンになりやすい

アルカリ金属は、すべて原子に価電子を1つ持っているのですが、イオン化エネルギーが小さいため、電子を1個放出して1価の陽イオンになりやすい性質を持っています。

水と激しく反応する

水と激しく反応する

image by Study-Z編集部

前述の通りイオンになりやすい性質を持つアルカリ金属は、水と激しく反応する性質を持っており、例えばカリウムと水が反応すると、水酸化カリウムと水素が発生します。

また、この反応は発熱反応で、その発熱量は水素を引火させてしまうほどの量なので結果的に爆発が起こるのです。

このように、アルカリ金属は水と激しく反応し、爆発する性質があります。

非常に酸化しやすい

非常に酸化しやすい

image by Study-Z編集部

アルカリ金属は酸素とも反応しやすい性質を持っています。アルカリ金属は名前の通り金属ですが、その外皮は常に酸素によって酸化されてしまうため、金属光沢を失ってしまうのですが、例えばナトリウムの塊をナイフで切ると、切断面が即座に酸化されて、白色に変色してしまうのです。

このように、アルカリ金属は非常に酸化しやすいため、保存するときは石油の中に沈めて保存します。

炎色反応を示す

アルカリ金属を含む化合物は、高温で加熱すると特有の炎色反応を示すのですが、リチウムは赤、ナトリウムは黄色、カリウムは赤紫、ルビジウムは紅紫、セシウムは青色に炎が変色します。

この炎色反応は花火にも利用されているのです。火薬にアルカリ金属などの化合物を混ぜて、空中で爆発させ、炎色反応を起こすことで、火に様々な色をつけています。

黄色い花火が挙がったら、その花火玉にはナトリウムが使われているのです。

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