日本史歴史江戸時代

農政家で財政立て直しの達人「二宮金次郎」について歴女がとことん解説

4-4、勤勉な人と人前だけ働く人を見抜いた

金次郎は、領民たちの開墾作業を見回っていたときに、一人の男が他の領民の何倍もの勢いで仕事をしていたのを見て、「そのような勢いで一日中働き続けられるはずがない。お前は他人が見ている時だけ一生懸命に働く振りをして、陰では怠けているに違いない」と怒鳴り、領民たちの前でその男の不正を厳しく叱ったということ。しかし、陰日向なく真面目に働いて、他の領民がやろうとしなかった木の切り株を掘り起こす面倒な作業を地道に続けた出稼ぎ老人に対しては、その老人の作業のおかげで開墾がはかどったという理由で、通常の賃金のほかに慰労金として15両もの大金を与えたという話。

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4-5、金次郎の像

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明治37年(1904年)以降、国定教科書に修身の象徴として金次郎が取り上げられるように。当時の小学唱歌にも「二宮金次郎」という曲があり、小学校に金次郎の銅像や石像が設置されたのは、学校教育や、地方自治での明治国家の指導に利用されたということ。

銅像は太平洋戦争中に金属供出されてしまったが、石像は残っているそう。しかし薪を背負ったまま本を読んで歩いた事実確認ができないとか、子供たちが像の真似をして本を読みながら道を歩くのは交通安全上問題があるなどで1970年代以降は校舎の立替時などに徐々に撤去されて、金次郎像の数は減少傾向で、現在の小学生の教育方針に合わないなどという理由で、破損しても補修に難色を示す教育委員会も多いということ。

また、学校の怪談で、「金次郎像が夜中の校庭を駆け回る」という話があるそうですが、いかにも今風で興味深いですね。

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4-6、後世と海外への影響

金次郎の報徳思想は、渋沢栄一、安田善次郎、豊田佐吉、松下幸之助、稲盛和夫ら、近代日本を代表する実業家に受け継がれているうえに、海外からも関心が持たれているということで、日本と中国の研究者により「国際二宮金次郎思想学会」が2003年に設立されて、市場経済化が進む中国では金次郎の倫理性が魅力を持つらしく定期的にセミナーが開かれているということ。

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4-7、神社に祀られる

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金次郎は自分の墓を建てるな、ただ土を盛り上げて、その傍らに松の木を1本植えておけばいいと言い残したそうですが、金次郎を祀った二宮神社が誕生地である小田原(報徳二宮神社)と、終焉の地である今市(報徳二宮神社)、仕法の地である栃木県真岡市(桜町二宮神社)などに存在し、報徳二宮神社の金次郎の像には「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」という言葉が掲げられているということ。

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現代にも通用する合理的な発想で立て直しの名人に

二宮金次郎は子供の頃の貧窮生活でへこたれることなくそこから色々なことを学び、まず自分の生家の立て直しに成功、次は親戚、知人をと、周りの人々の生活を立て直して軌道に乗せていき、そしてその知恵を藩政改革にも応用し、荒廃した村を次々と復興させた人でした。

江戸時代の農民に生まれたら、受け継いだ田畑を耕すだけで一生を送るものだったはずが、まるで現代人のような合理性を持ち実行しているのには驚かされます。現代人と違うのは、割り切ったようでも報徳思想といった江戸時代ならではの道徳も広めていることで、それは近代日本を代表する実業家も受け継がれて、今まさに海外からも注目されているそう。

明治時代にもてはやされ、さかんに小学校に銅像が寄贈されたということで、最近まで明治から昭和の日本の黒歴史払拭の影響で敬遠されがちだったが、現代に必要だと見直されているのも当然と言えば当然で、最近映画化されたという二宮金次郎の偉業は、今後もっと注目されてしかるべきだと思います。

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angelica