リーマンショックがポピュリズムを生み出した?
世界中に広がったリーマンショックですが、その影響は金融や経済の分野だけにはとどまりませんでした。
アメリカは大手金融機関の救済のため、国民の税金を投入しています。また、ほかの国々が景気対策として行った財政出動も税金に支えられていました。これが、一般市民の不平等感を高めることとなってしまいます。救済された大手企業の関係者たちは莫大な資産を持ち続ける一方で、不況の影響で多くの人々が失業したりまともな職業に就けなかったりと厳しい生活を強いられたからです。
リーマンショック後の社会では、イギリスのEU離脱投票可決やアメリカのトランプ大統領誕生など、世界的にポピュリズムが続いています。不況下で噴出した一般市民の不満が積み重なり、このような潮流が生まれたのです。リーマンショックは経済を減速させただけでなく、自国第一主義とも言える世の中の形成にも無視できない役割を果したと言えるでしょう。
世界の潮流を変えたリーマンショック
世界経済は、「100年に一度の金融危機」とも言われたリーマンショックから比較的速やかな回復を見せました。震源地のアメリカでは迅速な初期対応が功を奏し、景気の後退を非常に短い期間で終わらせることに成功。世界的にも、リーマンショックは数年後には終焉したものとして捉えられています。
しかしその後も、ヨーロッパを中心として債務問題や財政危機などの問題が相次ぎました。これらはリーマンショックが間接的なきっかけとなったと考えられています。日本でも、2011年には国全体が東日本大震災に襲われたことも影響し、リーマンショックから誘引された不景気は数年にわたって続きました。
不況時には人々の不満が高まり、政治上では極端な主張が人気を博すこともあります。ポピュリズムの高まりや不安定な国際情勢の間接的な原因となったリーマンショックは、世界の潮流を変えた大きな出来事として捉えられているのです。実社会では、経済と政治を切り離すことはできません。現代社会のひとつの転換点とも言えるのがリーマンショックなのです。