今回は様々な「エネルギー資源」について解説していきます。

エネルギー問題や環境問題について考えるとき、「エネルギー資源」についての知識が必要になる。また、これらの問題は、人類にとって解決しなければならない共通のテーマです。エネルギー問題や環境問題に向き合う第一歩として、まずは「エネルギー資源」の特徴や特性を学んでいく。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

エネルギー資源の定義

image by PIXTA / 20154163

エネルギー資源とは、私たちの生活やそれを支える産業活動を維持するために必要な動力、熱、電気などの源になり得るものを指します。

遠い昔、私たちの祖先は薪を燃やして料理を作っていました。さらに人類は、水車を用いて、川を流れを動力に変換することを思いついたのです。また、蒸気機関の発明により、産業革命以降、石炭などの燃焼から発生する熱を動力に変換することに成功します。現在では、原子力によるエネルギーや再生可能エネルギーに関連する技術に注目が集まっていますね。このように、エネルギー資源の開発と文明の発展は表裏一体になっています。

そして、私たちが向き合うべきエネルギー資源に関する問題は複雑かつ多様であり、これからを生きる人類の最大の課題でもあるのです。この記事では、様々なエネルギー資源の中から、特に重要だと思われるものを厳選して紹介していきます。

様々なエネルギー資源

ここでは、様々な事例や具体例を交えながら、いくつかの特に重要だと思われるエネルギー資源を紹介していきます。各エネルギー資源が、それぞれどのような長所や短所を持っているかに注目して読んでいただくと、頭に残りやすいと思いますよ。

石炭、石油、天然ガス

image by PIXTA / 48020602

石炭石油天然ガスはいずれも化石燃料と呼ばれるエネルギー資源です。日本は、これらの燃料を中東の国々やオーストラリア、ロシアなどから輸入していますよね。化石燃料は、大昔の植物や動物の遺骸が、地層の中で年月をかけて変化することで生成されます。

これらはすべて燃焼させることができ、その際に発生するのが熱です。もちろん、そのまま熱を利用することもできますし、エンジンやタービンなどの熱機関を利用することで熱を動力に変換することもできますよね。さらに、火力発電では、その動力を発電機によって電気に変換しています

これらの燃料はそれぞれ微妙に特性が異なりますが、共通しているのは燃焼させる過程で二酸化炭素が発生することです。二酸化炭素は地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの1つですよね。また、大気汚染物質なども燃焼時に生み出されます。ですが、これらの問題点は、技術革新により大幅に改善をみせているようです。一方、化石燃料には、安定的に大きなエネルギーを取り出せるという魅力があります。

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原子力

原子力は、核反応によって生じるエネルギーです。核反応によって放出されるエネルギーは膨大で、その他のエネルギーとは比べ物にならないほどになります。核反応は大きく2種類に分けることができ、1つが核分裂、もう1つが核融合です。現在、原子力発電所などでは、核分裂を用いてエネルギーを取りだしています。一方で核融合は、実用化への課題が多く残されていますよ。

原子力の最大の特徴は、二酸化炭素を排出することなく、多量のエネルギーを取り出せることです。しかしながら、核反応によって、自然環境や人体に多大な影響を与えるような物質が生成されます。このような物質をまとめて、放射性廃棄物と呼んでいるのです。放射性廃棄物の安全管理や処理の方法を確立することが課題となっています。

水力、波力、潮力

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ここでは、水に関係するエネルギー資源について考えてみましょう。水力とは、水の流れやダムによる水の落差などから得られる動力を指します。また、この動力は発電機を用いて電気に変換可能です。水力の長所には、二酸化炭素を排出しないこと、他のエネルギーに比べて変換効率が高いことなどが挙げられます。一方、ダムを建設する場合に、自然を破壊してしまうことが問題となっていますよね。

波力海上における波から得られる動力です。また、潮力潮の流れや潮の満ち引きによって得られる動力のことを指します。これらは、水力とともに、地球温暖化対策に有効なエネルギー資源として注目されていますよ。

風力

続いて、風力について紹介します。風力とは、風から得られるエネルギーです。例えば、風車を用いることで、風の力を動力に変換することができます。かつては、風車で得られた動力で水をくみ上げたり、穀物を挽いたりしたそうです。現在は、風車に発電機を搭載することで風の力を電気に変換しています。

風力は、風の力を利用するので、二酸化炭素を排出しないのです。このような点から、風力は地球温暖化対策に有効なエネルギー資源だと言えます。一方で、風車が回転する際の騒音が問題になることがあるそうです。

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太陽によるエネルギー

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太陽によるエネルギーといえば、太陽光発電を思い浮かべる方が多いと思います。太陽光発電では、太陽電池(ソーラーパネル)を用いて、直接的に太陽からやってくる光を電気に変換するのです。太陽光発電も二酸化炭素を排出しません。ところが、発電コストが高いというデメリットもあります。

また、太陽光発電以外にも、太陽のエネルギーを利用する方法はあることをご存知でしょうか?それは太陽からやってきた光を集熱器によって熱に変換する方法です。この熱から、動力や電気を作り出すことができます。集熱器が熱を集める原理は、日向ぼっこをしていたらポカポカしてくる現象とまったく同じです。

エネルギー資源を無駄なく使う工夫

エネルギー資源を無駄なく使う工夫

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最後に、エネルギー資源を無駄なく利用するための工夫を紹介します。このような工夫の1つが廃熱利用です。火力発電では、最新の技術を利用したとしても、化石燃料によって生じるエネルギーの約半分しか電気に変換することができません。では、残りのエネルギーはどうなってしまうのでしょうか。なんと、廃熱として捨てられてしまいます。

そこで、考えられたのが排熱利用。捨てられてしまうはずの熱によって、暖房設備、給湯設備を稼働させるのです。また、廃熱によって蒸気タービンを動かし、発電するという技術もあります。

「エネルギー資源」について学ぶ意義

この記事中でも、何度か述べたように、エネルギー問題や環境問題は全人類共通の解決しなければならない課題です。そして、これらの問題を議論すると、必ずといって良いほど「エネルギー資源」に関する話題が出てきます。

このような背景から、「エネルギー資源」は、新聞やニュースでもよく取り扱われる内容です。ぜひとも、この機会に学習してみてください。

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物理

「エネルギー資源」とは?様々な事例を交えて理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は様々な「エネルギー資源」について解説していきます。

エネルギー問題や環境問題について考えるとき、「エネルギー資源」についての知識が必要になる。また、これらの問題は、人類にとって解決しなければならない共通のテーマです。エネルギー問題や環境問題に向き合う第一歩として、まずは「エネルギー資源」の特徴や特性を学んでいく。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

エネルギー資源の定義

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エネルギー資源とは、私たちの生活やそれを支える産業活動を維持するために必要な動力、熱、電気などの源になり得るものを指します。

遠い昔、私たちの祖先は薪を燃やして料理を作っていました。さらに人類は、水車を用いて、川を流れを動力に変換することを思いついたのです。また、蒸気機関の発明により、産業革命以降、石炭などの燃焼から発生する熱を動力に変換することに成功します。現在では、原子力によるエネルギーや再生可能エネルギーに関連する技術に注目が集まっていますね。このように、エネルギー資源の開発と文明の発展は表裏一体になっています。

そして、私たちが向き合うべきエネルギー資源に関する問題は複雑かつ多様であり、これからを生きる人類の最大の課題でもあるのです。この記事では、様々なエネルギー資源の中から、特に重要だと思われるものを厳選して紹介していきます。

様々なエネルギー資源

ここでは、様々な事例や具体例を交えながら、いくつかの特に重要だと思われるエネルギー資源を紹介していきます。各エネルギー資源が、それぞれどのような長所や短所を持っているかに注目して読んでいただくと、頭に残りやすいと思いますよ。

石炭、石油、天然ガス

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石炭石油天然ガスはいずれも化石燃料と呼ばれるエネルギー資源です。日本は、これらの燃料を中東の国々やオーストラリア、ロシアなどから輸入していますよね。化石燃料は、大昔の植物や動物の遺骸が、地層の中で年月をかけて変化することで生成されます。

これらはすべて燃焼させることができ、その際に発生するのが熱です。もちろん、そのまま熱を利用することもできますし、エンジンやタービンなどの熱機関を利用することで熱を動力に変換することもできますよね。さらに、火力発電では、その動力を発電機によって電気に変換しています

これらの燃料はそれぞれ微妙に特性が異なりますが、共通しているのは燃焼させる過程で二酸化炭素が発生することです。二酸化炭素は地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの1つですよね。また、大気汚染物質なども燃焼時に生み出されます。ですが、これらの問題点は、技術革新により大幅に改善をみせているようです。一方、化石燃料には、安定的に大きなエネルギーを取り出せるという魅力があります。

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