
3分で簡単「窒素」!元家庭教師がわかりやすく解説
ー196℃の世界、液体窒素

窒素の沸点はー195.79℃。-200℃近くまで冷却しないと窒素が液化した液体窒素を得ることはできないのです。
液体窒素は実験室では物質をしっかりと冷やしたいときや、低温条件での実験に用いられています。医療の分野ではイボなどのできものの除去、サンプルを保存するときなどに必要です。最近では液体窒素を使ったパフォーマンスを取り入れた低温調理を行うレストランもありますね。
バナナや風船も簡単に凍らせられると科学館などで行われる実験教室でもよく使われる液体窒素。しかし液体窒素は沸点が低いので簡単に蒸発して気体となってしまいます。窒素には先ほど説明したように窒息の恐れがあり、実際に液体窒素を密室で使って死亡事故につながった例もあるので注意が必要です。
また、ちょっと触ったぐらいなら大丈夫ですが、服にかかったりするとしみ込んで凍傷になることも。取り扱いには十分気を付ける必要があります。
アンモニア

image by Study-Z編集部
常温常圧では気体ですがとても水に溶けやすく、独特の刺激臭を持ったアンモニア。中学校理科でアルカリ性の物質として習う、一般的な物質です。
アンモニアは工業的に硝酸や窒素肥料を作る時の原料として使われています。また、冷媒や気付け薬としても利用されている物質です。気付け薬は倒れそうな人や失神しそうな人に嗅がせるものですが、アンモニアを体内に取り込みすぎると意識障害や脳障害などになる恐れがあります。
アンモニアの製造方法といえばハーバー・ボッシュ法です。空気中の窒素と水素を直接反応させてアンモニアを合成します。低温高圧の状態で効率よくアンモニアを生成できる方法です。
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窒素酸化物と環境問題

窒素酸化物、通称NOxは環境に大きな影響を与えている物質です。窒素酸化物にはN2OやNO、NO2などがあります。これら窒素酸化物は水に溶けて酸性雨となったり、光化学スモッグ、オゾン層を破壊するなどの環境破壊につながる物質です。
窒素酸化物は石油や石炭などの化石燃料を使用した際に発生します。特に二酸化窒素の毒性が強く、厳しい基準が設けられているのです。また、一酸化二窒素には二酸化炭素の300倍以上の温室効果があります。
このような環境問題を解決するには化石燃料に頼らない社会づくりが必要です。そのため、化石燃料に代わる新たなエネルギーの開発が求められているのですね。
窒素原子は生物に必要不可欠!
窒素の分子が気体として存在すると、窒息の原因物質として有毒空気と言われるほど危険な物質です。
しかし窒素は単体ではもちろん、化合物としても身の回りに多く存在しています。生物の体の中で遺伝情報を伝えてり体の組織として存在し、また土の中で農作物を育ててくれているのです。その一方で、酸化窒素は光化学スモッグ、酸性雨、地球温暖化といった環境問題の原因物質でもあります。
有毒空気と嫌わずに、窒素と上手に付き合っていく必要がありますね。