3分で簡単「窒素」!元家庭教師がわかりやすく解説
実は大気の4/5は窒素なんです。窒素の「窒」が窒息の「窒」と考えると意外でしょう。しかし、窒素が生物の体を構成するのに欠かすことのできない重要な元素であるのは確かです。
そこで今回が窒素の性質について、中学時代で一番思い出に残っている実験はアンモニアの発生というたかはしふみかと解説していきます。
ライター/たかはし ふみか
国立大学で化学を学びつつ家庭教師のバイトをしていた。中学時代の理科の実験で発生したアンモニアの臭いをじかに嗅いでしまい、鼻がもげかける。以後発生した気体の臭いは手で仰いでから嗅ぐことを心掛けている。
窒素とは?
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まずは窒素の性質から確認していきましょう。
窒素は元素記号N、原子番号は7、原子量は14.01です。窒素は常温では気体として存在し、無色、無臭、無味で水に溶けにくい物質。そして不活性で比較的安価なため、化学実験中に物質が空気に触れないよう実験容器内に流すこともあるのです。
窒素の最外殻には8つの電子が入ることができます。しかし、窒素の最外殻には5つの電子しか入っていません。そのため、窒素分子は電子をお互いに3つずつ出し合う三重結合によってできています。
窒素の化合物としてはアンモニア(NH3)、尿素(CH4N2O)、硝酸(HNO3)などが有名ですね。
空気中の80%!意外と多い窒素
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動物や植物が生きていくうえで最も欠かせないのが酸素です。体内の酸素の濃度が低下すると最悪の場合、数分で死に至ってしまいます。ところがこの酸素、実は空気中には20%程度しかありません。
一方、窒素の含有率は何と約80%と空気中で最も多い物質です。しかし、世界中で化学者が窒素に付けた呼び方は「ダメな空気(スウェーデンのシェーレ)」「生きられないもの(フランスのラヴォアジエ)」とイメージの悪い物ばかり。なぜなら単体の窒素の中に生き物を入れると生物は窒息死してしまうからです。
日本での窒素という名前もドイツ語の窒息させる物質(Stickstoff)をそのまま訳した名前。身の回りで一番多い物質なのに、何だか残念な窒素ですね。
窒素、こんなところで活躍中!
1772年、最初に単体分離に成功したラザフォード(スコットランド)に「有毒空気」と名付けられた窒素。しかし生物に不要な元素かというと決してそんなことはありません。窒素は生物の体に欠かせない元素であり、また工業的にも大切な物質なのです。
人間の体を作るタンパク質はアミノ酸からできていて、そのアミノ酸に欠かせないのが窒素。人間の体に含まれる元素の質量の5%程が窒素となっています。また、肥料の三大要素は窒素、リン、カリウムであり、窒素は植物が育つのにも必要なのです。
他にも窒素が役立つ場面はたくさんあります。窒素にどんな役割があるのかみていきましょう。
体の中の窒素
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人間の体に含まれる元素の質量での割合は酸素が最も多く62.6%、次いで炭素が19.5%、水素が9.3%、そして続く4番目に多い元素が5.2%ほど含まれた窒素なのです。体内に窒素はアミノ酸や核酸を構成する元素として存在しています。
アミノ酸の中には窒素を含むアミノ基が含まれており、そのアミノ酸がいくつもつながってタンパク質となるのです。皮膚に血液、髪の毛に爪、そして消化に役立つ酵素と体内のいたるところにタンパク質は存在しています。
そして遺伝やタンパク質の合成に必要な核酸。核酸にはDNAとRNAがあり、リン酸・糖・塩基からできていますが、それぞれに窒素が含まれています。生物の遺伝子情報を伝えタンパク質を作るためにも窒素は必要なのですね。
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