酸欠という言葉があるように、生物には酸素は欠かすことができない。しかし、実は空気中には酸素よりも窒素の方が多いのを知っているか?

実は大気の4/5は窒素なんです。窒素の「窒」が窒息の「窒」と考えると意外でしょう。しかし、窒素が生物の体を構成するのに欠かすことのできない重要な元素であるのは確かです。

そこで今回が窒素の性質について、中学時代で一番思い出に残っている実験はアンモニアの発生というたかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

国立大学で化学を学びつつ家庭教師のバイトをしていた。中学時代の理科の実験で発生したアンモニアの臭いをじかに嗅いでしまい、鼻がもげかける。以後発生した気体の臭いは手で仰いでから嗅ぐことを心掛けている。

窒素とは?

窒素とは?

image by Study-Z編集部

まずは窒素の性質から確認していきましょう。

窒素は元素記号N、原子番号は7、原子量は14.01です。窒素は常温では気体として存在し、無色、無臭、無味で水に溶けにくい物質。そして不活性で比較的安価なため、化学実験中に物質が空気に触れないよう実験容器内に流すこともあるのです。

窒素の最外殻には8つの電子が入ることができます。しかし、窒素の最外殻には5つの電子しか入っていません。そのため、窒素分子は電子をお互いに3つずつ出し合う三重結合によってできています。

窒素の化合物としてはアンモニア(NH3)、尿素(CH4N2O)、硝酸(HNO3)などが有名ですね。

空気中の80%!意外と多い窒素

空気中の80%!意外と多い窒素

image by Study-Z編集部

動物や植物が生きていくうえで最も欠かせないのが酸素です。体内の酸素の濃度が低下すると最悪の場合、数分で死に至ってしまいます。ところがこの酸素、実は空気中には20%程度しかありません。

一方、窒素の含有率は何と約80%と空気中で最も多い物質です。しかし、世界中で化学者が窒素に付けた呼び方は「ダメな空気(スウェーデンのシェーレ)」「生きられないもの(フランスのラヴォアジエ)」とイメージの悪い物ばかり。なぜなら単体の窒素の中に生き物を入れると生物は窒息死してしまうからです。

日本での窒素という名前もドイツ語の窒息させる物質(Stickstoff)をそのまま訳した名前。身の回りで一番多い物質なのに、何だか残念な窒素ですね。

窒素、こんなところで活躍中!

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1772年、最初に単体分離に成功したラザフォード(スコットランド)に「有毒空気」と名付けられた窒素。しかし生物に不要な元素かというと決してそんなことはありません。窒素は生物の体に欠かせない元素であり、また工業的にも大切な物質なのです。

人間の体を作るタンパク質はアミノ酸からできていて、そのアミノ酸に欠かせないのが窒素。人間の体に含まれる元素の質量の5%程が窒素となっています。また、肥料の三大要素は窒素、リン、カリウムであり、窒素は植物が育つのにも必要なのです。

他にも窒素が役立つ場面はたくさんあります。窒素にどんな役割があるのかみていきましょう。

体の中の窒素

体の中の窒素

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人間の体に含まれる元素の質量での割合は酸素が最も多く62.6%、次いで炭素が19.5%、水素が9.3%、そして続く4番目に多い元素が5.2%ほど含まれた窒素なのです。体内に窒素はアミノ酸核酸を構成する元素として存在しています。

アミノ酸の中には窒素を含むアミノ基が含まれており、そのアミノ酸がいくつもつながってタンパク質となるのです。皮膚に血液、髪の毛に爪、そして消化に役立つ酵素と体内のいたるところにタンパク質は存在しています。

そして遺伝やタンパク質の合成に必要な核酸。核酸にはDNARNAがあり、リン酸・糖・塩基からできていますが、それぞれに窒素が含まれています。生物の遺伝子情報を伝えタンパク質を作るためにも窒素は必要なのですね。

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ー196℃の世界、液体窒素

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窒素の沸点はー195.79℃。-200℃近くまで冷却しないと窒素が液化した液体窒素を得ることはできないのです。

液体窒素は実験室では物質をしっかりと冷やしたいときや、低温条件での実験に用いられています。医療の分野ではイボなどのできものの除去、サンプルを保存するときなどに必要です。最近では液体窒素を使ったパフォーマンスを取り入れた低温調理を行うレストランもありますね。

バナナや風船も簡単に凍らせられると科学館などで行われる実験教室でもよく使われる液体窒素。しかし液体窒素は沸点が低いので簡単に蒸発して気体となってしまいます。窒素には先ほど説明したように窒息の恐れがあり、実際に液体窒素を密室で使って死亡事故につながった例もあるので注意が必要です。

また、ちょっと触ったぐらいなら大丈夫ですが、服にかかったりするとしみ込んで凍傷になることも。取り扱いには十分気を付ける必要があります。

アンモニア

アンモニア

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常温常圧では気体ですがとても水に溶けやすく、独特の刺激臭を持ったアンモニア。中学校理科でアルカリ性の物質として習う、一般的な物質です。

アンモニアは工業的に硝酸窒素肥料を作る時の原料として使われています。また、冷媒や気付け薬としても利用されている物質です。気付け薬は倒れそうな人や失神しそうな人に嗅がせるものですが、アンモニアを体内に取り込みすぎると意識障害や脳障害などになる恐れがあります。

アンモニアの製造方法といえばハーバー・ボッシュ法です。空気中の窒素と水素を直接反応させてアンモニアを合成します。低温高圧の状態で効率よくアンモニアを生成できる方法です。

窒素酸化物と環境問題

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窒素酸化物、通称NOxは環境に大きな影響を与えている物質です。窒素酸化物にはN2OやNO、NO2などがあります。これら窒素酸化物は水に溶けて酸性雨となったり、光化学スモッグ、オゾン層を破壊するなどの環境破壊につながる物質です。

窒素酸化物は石油や石炭などの化石燃料を使用した際に発生します。特に二酸化窒素の毒性が強く、厳しい基準が設けられているのです。また、一酸化二窒素には二酸化炭素の300倍以上の温室効果があります。

このような環境問題を解決するには化石燃料に頼らない社会づくりが必要です。そのため、化石燃料に代わる新たなエネルギーの開発が求められているのですね。

窒素原子は生物に必要不可欠!

窒素の分子が気体として存在すると、窒息の原因物質として有毒空気と言われるほど危険な物質です。

しかし窒素は単体ではもちろん、化合物としても身の回りに多く存在しています。生物の体の中で遺伝情報を伝えてり体の組織として存在し、また土の中で農作物を育ててくれているのです。その一方で、酸化窒素は光化学スモッグ、酸性雨、地球温暖化といった環境問題の原因物質でもあります。

有毒空気と嫌わずに、窒素と上手に付き合っていく必要がありますね。

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化学

3分で簡単「窒素」!元家庭教師がわかりやすく解説

酸欠という言葉があるように、生物には酸素は欠かすことができない。しかし、実は空気中には酸素よりも窒素の方が多いのを知っているか?

実は大気の4/5は窒素なんです。窒素の「窒」が窒息の「窒」と考えると意外でしょう。しかし、窒素が生物の体を構成するのに欠かすことのできない重要な元素であるのは確かです。

そこで今回が窒素の性質について、中学時代で一番思い出に残っている実験はアンモニアの発生というたかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

国立大学で化学を学びつつ家庭教師のバイトをしていた。中学時代の理科の実験で発生したアンモニアの臭いをじかに嗅いでしまい、鼻がもげかける。以後発生した気体の臭いは手で仰いでから嗅ぐことを心掛けている。

窒素とは?

窒素とは?

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まずは窒素の性質から確認していきましょう。

窒素は元素記号N、原子番号は7、原子量は14.01です。窒素は常温では気体として存在し、無色、無臭、無味で水に溶けにくい物質。そして不活性で比較的安価なため、化学実験中に物質が空気に触れないよう実験容器内に流すこともあるのです。

窒素の最外殻には8つの電子が入ることができます。しかし、窒素の最外殻には5つの電子しか入っていません。そのため、窒素分子は電子をお互いに3つずつ出し合う三重結合によってできています。

窒素の化合物としてはアンモニア(NH3)、尿素(CH4N2O)、硝酸(HNO3)などが有名ですね。

空気中の80%!意外と多い窒素

空気中の80%!意外と多い窒素

image by Study-Z編集部

動物や植物が生きていくうえで最も欠かせないのが酸素です。体内の酸素の濃度が低下すると最悪の場合、数分で死に至ってしまいます。ところがこの酸素、実は空気中には20%程度しかありません。

一方、窒素の含有率は何と約80%と空気中で最も多い物質です。しかし、世界中で化学者が窒素に付けた呼び方は「ダメな空気(スウェーデンのシェーレ)」「生きられないもの(フランスのラヴォアジエ)」とイメージの悪い物ばかり。なぜなら単体の窒素の中に生き物を入れると生物は窒息死してしまうからです。

日本での窒素という名前もドイツ語の窒息させる物質(Stickstoff)をそのまま訳した名前。身の回りで一番多い物質なのに、何だか残念な窒素ですね。

窒素、こんなところで活躍中!

image by PIXTA / 29556746

1772年、最初に単体分離に成功したラザフォード(スコットランド)に「有毒空気」と名付けられた窒素。しかし生物に不要な元素かというと決してそんなことはありません。窒素は生物の体に欠かせない元素であり、また工業的にも大切な物質なのです。

人間の体を作るタンパク質はアミノ酸からできていて、そのアミノ酸に欠かせないのが窒素。人間の体に含まれる元素の質量の5%程が窒素となっています。また、肥料の三大要素は窒素、リン、カリウムであり、窒素は植物が育つのにも必要なのです。

他にも窒素が役立つ場面はたくさんあります。窒素にどんな役割があるのかみていきましょう。

体の中の窒素

体の中の窒素

image by Study-Z編集部

人間の体に含まれる元素の質量での割合は酸素が最も多く62.6%、次いで炭素が19.5%、水素が9.3%、そして続く4番目に多い元素が5.2%ほど含まれた窒素なのです。体内に窒素はアミノ酸核酸を構成する元素として存在しています。

アミノ酸の中には窒素を含むアミノ基が含まれており、そのアミノ酸がいくつもつながってタンパク質となるのです。皮膚に血液、髪の毛に爪、そして消化に役立つ酵素と体内のいたるところにタンパク質は存在しています。

そして遺伝やタンパク質の合成に必要な核酸。核酸にはDNARNAがあり、リン酸・糖・塩基からできていますが、それぞれに窒素が含まれています。生物の遺伝子情報を伝えタンパク質を作るためにも窒素は必要なのですね。

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