
バター猫のパラドックスとは?現役理系ライターが5分で分かるように説明してみた

知っていない人はなにを言っているかさっぱり分からないと思う。詳しくは後から説明するが、簡単に説明すると絶対に足から着地する猫に絶対バターを塗った面を下にして落ちるトーストがあったとする。このとき猫の足にトーストをつける。それもバターの面を上にするんだ。この状態の猫とトーストを落下させたときどう着地するのか?を考えるってことだ。ただのことば遊びみたいだが理系的思考には極めて大事な考察でもある。
それとこの記事ではもう1つ似たようなテーマのシュレーディンガーの猫についても一緒に見ていくぞ。シュレーディンガーの猫はかなり有名な思考実験で漫画やアニメなんかにもよく登場するが、今回はシュレーディンガーの猫の出発点でもある量子力学の視点から考えていくぞ。量子力学といっても、みんなに分かりやすいようにざっくりと説明するから最後までついてきてくれ!
今回は現役理系ライターの四月一日そうと一緒に見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/四月一日そう
現役国立大学生。アルバイトは塾講師をしており日々、高校生たちに分かりやすく丁寧にをモットーに教えている。問題の解き方やテストで高得点をとる方法をメインに教えているが今回のテーマであるバター猫のパラドックスのようなものの考えかたを話したりするのも好きでよく友達や生徒と意見交換する。
そもそもバター猫のパラドックスとは?

image by iStockphoto
さて、バター猫のパラドックスとは一体なんなのでしょう?さきほど桜木先生にざっくりと説明してもらいました。バター猫のパラドックスやシュレーディンガーの猫といったテーマは思考実験といって頭の中で考えるものなので現実とはちょっとちがう条件だったりします。今回のテーマでいうとトーストが絶対バターを塗った面を下にして落ちるという条件のことです。猫が絶対足から着地するというのも現実では100パーセントではありません。背中から落ちてしまうマヌケな猫もいることでしょう。ただ今回はそこは100パーセント条件通りであるという前提で話を進めていきます。
今回のテーマは数式がいっぱい出てきて~、公式をたくさん覚えて~といった感じでは全然ないので軽い気持ちで読み物として読んで下さい!皆さんはどのような結果になるとおもいますか?くるくる回転しつづける?横向きに着地する?これからちょっと物理的な側面を交えながら一緒に考えてみましょう!
どんな結果になるの?物理的に考えてみる!
それでは一緒にどのような結果になるか考察してみましょう。まず第1に考えられるのは着地せずにずっと回り続けるということです。猫が頭から落ちることもないし、トーストもバターを塗ってない面を下にして落ちることはありません。そうなると着地する直前でどちらの結果になるのも避けるために回り続けるという結果が想像できます。
しかし、これはもっと大きな自然界のルールを破っているのです!どんなルールを破っているのか分かりますか?それはエネルギー保存の法則ですね!ずっと猫とトーストが回り続けるということはエネルギーを生み出し続けていることになってしまいます。もし本当にそうであれば世界中のエネルギー問題が解決してしまいますね!もしずっとエネルギーを生み出し続ける機関ができた場合それを永久機関といいます。ただ、永久機関が実現不可能なことは熱力学第三法則という法則によって証明されているので気になる人は調べてみてください。
以上のことから回転し続けるという結果は正しくないとされてしまいます。
シュレーディンガーの猫
バター猫のパラドックスとよく似た思考実験で有名なものにシュレーディンガーの猫というものがあります。猫ばかり題材にされてちょっとかわいそうな気もしますがどういった思考実験なのか見ていきましょう!
まず箱の中に1匹の猫がいてその箱の中に放射性物質とその放射性物質の原子の崩壊に反応して毒ガスを発生させる装置を入れます。放射性物質の原子が崩壊する確率は1時間後に50パーセントです。1時間後箱の中の猫は生きているか死んでいるのか
というのがシュレーディンガーの猫の大まかな説明でした。だからどうしたんだ?と考える人も多いと思います。私もそう思いました。この条件でシュレーディンガーはこう指摘しました。箱を開けるまで箱の中の猫は生きている状態と死んでいる状態が重なり合っているんじゃないか。
なぜシュレーディンガーはこのように考えたのでしょう?シュレーディンガーの猫の猫についてもちょっと物理的な側面から考えていきましょう!
シュレーディンガーの猫を物理の面から考える

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それではなぜシュレーディンガーが先ほどのように主張したのか。これは量子力学という高校などで主に扱う普通の力学とはちょっと違うミクロの世界の力学とおおきく関係しています。上の画像はシュレーディンガー方程式といって量子の振る舞いに関する方程式です。このように本格的に取り扱うと複雑すぎて今回のテーマから逸れてしまうので紹介程度にとどめておきますね。
量子というのはそもそも不確定で確率的にいろんな状態が重なり合った状態で存在していて、その状態から人間が観測することで1つの状態に収束することをマックスボルンという人が発表しました。どういうことかというと、Aの状態とBの状態が重なり合った状態の量子がカメラで撮影されると完全にAの状態になるといった感じです。
シュレーディンガーはその量子の状態をもっとわかりやすく猫の生死に結びつけて考えたわけですね。マックスボルンの主張のように考えると猫の生きた状態と死んだ状態が重なり合っているというおかしな状態になるじゃないかというシュレーディンガーの皮肉だったとも言われています。
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当時の量子力学について簡単に説明しておこう。量子力学というのはとても小さな粒を扱う力学だ。普通の力学はニュートン力学といってニュートンが理論を完成させたため高校の物理などでも広く扱われているし、俺たちもイメージしやすい。
ただとてもちいさな粒子にはニュートン力学のルールが当てはまらないんだ。たとえば量子はとても小さい粒なんだが粒子としての性質と波の性質を併せ持っているんだ。こんなことは目に見える世界ではあり得ないだろう?新たな小さな世界で成り立つルールを見つけるのが量子力学という学問なんだ。ただとても複雑で当時の人たちには解明することができなかったんだ。ちなみに現在でも解明されていない部分が多い!
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