原子と分子をつなぐ「化学結合」について元塾講師がわかりやすく解説
3-1.水素結合
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原子には共有電子対を自分の方に引き寄せてしまう電気陰性度の大きい原子とそうでないものが存在しています。例えばフッ素 F,酸素 O,窒素 N 原子は電気陰性度の大きい原子です。 一方で水素 H 原子は電気陰性度が小さく、この差によって生じる電荷の偏りを極性といいます。フッ化水素 HF、水 H2O、アンモニア NH3 のような極性をもつ分子を極性分子といい、水素原子との間には極性引力という結合力がはたらいているのです。
3-2.極性引力
極性分子同士は分子同士でも引力によって引き合います。塩化水素 HCl 分子の場合、電気陰性度の大きい塩素原子と他の分子の一部である水素原子が引き寄せ合うというものが極性引力です。
3-3.ファンデルワールス力
ファンデルワールス力とは全ての分子や原子同士にはたらく引力のことです。これは極性分子だけでなく、電荷に偏りのない無極性分子同士にもはたらくもので、電子の移動による瞬間的に生じた分子の極性によって生まれたクーロン力(静電気力)がもとになっています。そのため、全ての分子にはたらいでいる力であり、結合の強度としては弱いものと考えていいでしょう。
化学結合の強さ:共有結合>イオン結合>金属結合>分子間力による結合
原子同士は様々な結合の方法によって結びつき、分子や金属構造となって存在しています。誰かと手をつなぐよりも腕を組む、ハグをする方がより親しく密に接することになるし、相手が誰であるかによってその関係性は異なりますよね。パズルのピースのように合う合わないもあるでしょう。それと同様に、原子間でも結合の相手がどの原子かによってつながり方は異なり、結びつきの強度も変わってきます。
化学結合の強さは電子を共有する共有結合が最も強くなることを覚えておきましょう。また、分子間でも分子同士の完全な結合とはいかないまでも、引き合う力が働いています。結合の強さとともに、理解しておきましょう。
化学結合の強さ:共有結合>イオン結合>金属結合>分子間力による結合(水素結合 > 極性引力 > ファンデルワールス力)