原子と分子をつなぐ「化学結合」について元塾講師がわかりやすく解説
1.水素の場合、電子数1で最外殻電子数も1である
2.ヘリウムの場合、電子数2で最外殻電子数も2である
3.炭素の場合、電子数6で電子はK殻に2、L殻に4と入るので最外殻電子数は4である
4.酸素の場合、電子数8で電子はK殻に2、L殻に6と入るので最外殻電子数は6である
5.ナトリウムの場合、電子数11で電子はK殻に2、L殻に8、M殻に1と入るので最外殻電子数は1である
6.塩素の場合、電子数17で電子はK殻に2、L殻に8、M殻に7と入るので最外殻電子数は7である
このとき、最外殻電子数に存在する電子を価電子といい、これは2つで対になって安定する構造です。この対になった状態のものを電子対、対にならずに存在しているものを不対電子といいます。
希ガスであるヘリウムの場合、最外殻電子はK殻にありますが、K殻の軌道にはいることのできる電子は2つまでです。そのために価電子は上下や左右に分けて書くのも誤りではありませんが、安定している電子対ができるという意味で横に並べて書くのも正解となります。
1-2.電子式の書き方で疑問を感じた人へ
この内容は上記を理解したうえで「あれ?じゃあ最外殻電子が9以上の場合は…?」と疑問を感じた人への解説になります。
原子殻はK殻に2、L殻に8、M殻に18…と電子の入る数は徐々に増えていきますね。イオン化の解説では、塩化物イオンについて扱いました。そのとき、18まで電子が入れるはずのM殻の電子は8でも安定することを不思議に思った人もいるかもしれません。この方法ではM殻の最大電子数は8であり、それ以上のものについては書き表すことができません。そこで「じゃあ最外殻電子が9以上の場合は…?」と疑問が出てくる人がいても無理はありません。
実はこの理由は大学で学ぶ内容です。考え方の難易度はぐっと上がり、混乱を招きかねないので今回の解説はここまでとします。事実、中学理科・高校化学で出てくる元素はM殻の最大電子数が8のアルゴン Ar までなので、まずはここまでをしっかり理解しておければ十分です。
2.原子同士の結びつき
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原子同士の結びつきには電子の存在が大きく関係しています。電子の受け渡しによるイオンや分子をつくらない金属も全て、結びつくのには理由があることを見ていきましょう。
2-1.共有結合
By Jacek FH – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link
非金属同士をつなぐ結合で、電子を共有し合うことで強い結合力をもつものです。もともと安定している状態の電子対は、原子間の結合には関与しない非共有電子対ともよばれます。それに対して不対電子は安定した構造になろうと、他の原子と1対1で電子を共有するかたちで共有電子対をつくるのです。
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