

一歩間違えたら世界が第三次世界大戦へと突入していたかもしれないという、歴史上でもトップクラスの危機的な出来事だ。キューバで何が起こったんだろう。そして、危機はどのようにして回避されたのだろう。
世界史に詳しいライター万嶋せらと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/万嶋せら
会社員を経て、現在はイギリスで大学院に在籍中のライター。歴史が好きで関連書籍をよく読み、中でも近代以降の歴史と古典文学系が得意。専門として学ぶ近現代の国際政治に関する知識を活かし、今回は「キューバ危機」について解説する。
世界が全面戦争に巻き込まれる寸前となったキューバ危機
1962年、世界中を震撼させる出来事が起こりました。キューバのミサイル基地をめぐって、アメリカとソビエト連邦(ソ連)の間で核戦争の危機が極限まで高まったのです。
当時、ソ連は密かにキューバにミサイル基地を建設していました。それを察知したアメリカは、海上封鎖をしてソ連に対抗します。この一連の流れで、両国は直接衝突の寸前という事態に陥ったのです。両国の指導者の尽力により、結果的には戦争が回避されることとなりました。しかし、もし少しでも対応が異なっていれば第三次世界大戦が勃発していた可能性もあったでしょう。
第二次世界大戦以降で世界が最も核戦争に近付いた事件として記憶されるこの出来事は、キューバ危機と呼ばれています。
東西冷戦という時代背景
キューバ危機が生じた当時、国際情勢はどのような状況だったのでしょうか。
第二次世界大戦後、アメリカとソ連は激しい対立をしていました。世界の多くの国々が、アメリカを中心とする資本主義諸国である西側陣営とソ連を中心とする共産主義諸国である東側陣営に二分されていたのです。直接的な武力衝突はなかったものの戦争のような対立状態であったことから、二大国を軸としたこの東西対立は「冷戦」と呼ばれます。
キューバ危機は、そんな冷戦の真っただ中で起きた出来事なのです。
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もしかしたら、キューバ危機が原因となって新たな大規模戦争が始まっていたかもしれないんだな。冷戦という時代のなかで、アメリカとソ連が対立していたことは知っているぞ。だが、なぜアメリカでもソ連でもなくて「キューバ」危機なんだ?
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