今回は「交流を直流に変換する方法」について解説していきます。

コンピュータやスマートフォンが普及した現代社会において、交流を直流に変換する回路は様々な場所で利用されている。この回路は整流回路と呼ばれるが、我々の生活を支えるためになくてはならない重要なものです。豆知識として知っておくのもよいでしょう。ぜひとも、この記事を読んで、「交流を直流に変換する方法」について理解してくれ。

中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。

直流および交流について

皆さんが使っている電気はどこからやってきますか?例えば、時計、テレビのリモコン、懐中電灯などを使うときには本体に電池をセットすると思います。また、扇風機、冷蔵庫、炊飯器などを使うとき、これらはコンセントに接続しますよね。このように考えると、私たちが日常生活で使っている電気は、電池からやってくる電気コンセントからやってくる電気に分けることができます。

実は、電池からやってくる電気コンセントからやってくる電気はとある性質が大きく異なるのです。まず、これら2種類の電気について学んでから、「交流を直流に変換する方法」について考えてみましょう。

電池からやってくる電気は直流

電池からやってくる電気は直流

image by Study-Z編集部

それでは、電池からやってくる電気の性質について考えてみましょう。ご存知のように、電池にはプラス極とマイナス極がありますよね。また、電池のプラス極とマイナス極は逆向きになることはありません。電流はプラス極からマイナス極へと流れますから、電流の向きも逆向きにはなりません。このような電気を直流といいます。

つまり、直流とは永遠にプラス極とマイナス極が入れ替わらず、電流も常に同じ方向に流れるような電気だということですね。ノートPCやスマートフォンのようなデジタル機器、懐中電灯などの小型機器は直流で動作するものが多いです。

コンセントからやってくる電気は交流

コンセントからやってくる電気は交流

image by Study-Z編集部

続いて、コンセントからやってくる電気の性質について考えましょう。コンセントからやってくる電気のプラス極とマイナス極は、時間の経過に伴って、絶えず入れ替わっています。当然のことながら、プラス極とマイナス極が入れ替わったら電流の向きも変化しますよね。このような電気を交流といいます。また、1秒間にプラス極とマイナス極が何回入れ替わるかを表すのが周波数です。

つまり、交流とは絶えることなくプラス極とマイナス極が入れ替わり、それに伴い電流の向きも変化する電気だということですね。扇風機、冷蔵庫などモーターが搭載されている機器、電熱線によるヒーターおよびストーブ、その他の大型機器は交流で動作するものが多いです。

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交流を直流に変換する方法

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先ほど、スマートフォンのようなデジタル機器は直流で動作するものが多いと述べました。ところで、私たちはスマートフォンを充電するとき、どこからやってくる電気を使うでしょうか?多くの人がコンセントからやってくる電気を使っているはずです。ですが、コンセントからやってくる電気は交流ですよね。なぜ、交流の電気を使って、直流で動作するスマートフォンを充電できるのでしょうか

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、スマートフォンの充電器には、交流を直流に変換する回路が組み込まれているのです。このような回路を「整流回路」といいます。上に示した写真のような黒い箱が充電器には必ず付いていますよね。まさに、この黒い箱に整流回路が入っているのです。

半波整流回路

半波整流回路

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まず、最も簡単な構造をしている整流回路である「半波整流回路」を紹介します。半波整流回路とは、ダイオードを回路中に直列接続になるように挿入したものです。ダイオードは一方にのみ電流を流します。回路図中に黒い矢印と縦の黒い線をあわせた記号がありますよね。これがダイオードです。黒の矢印の向いている方向にのみ電流を流します。

電流が上から下へ流れようとしているときは、回路に電流が流れますね。一方、電流が下から上へ流れようとしているときは、回路に電流が流れません。このとき、負荷(ここでは電球のことです。)には、必ず上から下へと電流が流れます。つまり、負荷には同じ向きに電流が流れていることになるのです。これで、交流を直流に変換することができました!

ところが、半波整流回路には欠陥があります。それは、下から上へ流れようとしている電流を有効活用できていないことです。また、電流が下から上へ流れようとしているとき、負荷には電気が送られてこないので、途切れ途切れの直流が得られるということになります。このような欠陥を解消したのが、次に紹介する整流回路です。

ブリッジ整流回路

ブリッジ整流回路

image by Study-Z編集部

次に、ダイオード4つ用いた整流回路である「ブリッジ整流回路」について考えてみましょう。ブリッジ整流回路は、上に示した回路図のようなものになります。ご覧の通り、電流が上から下へ流れようとしている場合も、電流が下から上へ流れようとしている場合も、負荷(ここでは電球のことです。)には、必ず右から左へと電流が流れますね。つまり、負荷には同じ向きに電流が流れていることになります。このような方法でも、交流を直流に変換することができました!

ブリッジ整流回路では、半波整流回路では有効活用できていなかった下から上へ流れようとしている電流も、負荷に流すことができているのです。そのため、負荷に送られてくる直流が途切れ途切れになることもありません

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安定した直流を得るための工夫

さて最後に、整流回路における安定した直流を得るための工夫を紹介します。実は、整流回路によって得られた直流は、電圧および電流の大小が安定していません。つまり、電流の方向は同じ向きであるが、その電流の大きさが一定ではないということですね。

このような現象は、電気エネルギーを蓄えることのできるコンデンサまたはコイルを回路に組み込むことで解消可能です。電流および電圧が大きいときには、余分な電気エネルギーをコンデンサやコイルに蓄えます。そして、電流および電圧が小さい時には、コンデンサーやコイルに蓄えてある電気エネルギーで不足分を補うのです。

整流回路は縁の下の力持ち

私たちの生活において、コンピュータやスマートフォンは、必要不可欠です。これらを含むデジタル機器の多くは、直流によって動作しています。ところが、電力会社の発電所から送られてくる電気は交流です。そのため、整流回路はほとんどデジタル機器およびその充電器に搭載されています。

このように、整流回路は私たちの生活の中で大活躍する縁の下の力持ちなのです。そのような整流回路がどのような仕組みであるかを、ぜひとも豆知識として、覚えてみてはいかがでしょうか。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

「交流を直流に変換する方法」を理系学生ライターが5分でわかりやすく解説!


今回は「交流を直流に変換する方法」について解説していきます。

コンピュータやスマートフォンが普及した現代社会において、交流を直流に変換する回路は様々な場所で利用されている。この回路は整流回路と呼ばれるが、我々の生活を支えるためになくてはならない重要なものです。豆知識として知っておくのもよいでしょう。ぜひとも、この記事を読んで、「交流を直流に変換する方法」について理解してくれ。

中学時代に独学で第二種電気工事士免状を取得した理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

小学生のころ、電子工作にドハマリし、中学時代には独学で第二種電気工事士免状を取得した。電気について独学する機会が多かったこともあり、電気の学習がいかに難しいかということもよく理解している。

直流および交流について

皆さんが使っている電気はどこからやってきますか?例えば、時計、テレビのリモコン、懐中電灯などを使うときには本体に電池をセットすると思います。また、扇風機、冷蔵庫、炊飯器などを使うとき、これらはコンセントに接続しますよね。このように考えると、私たちが日常生活で使っている電気は、電池からやってくる電気コンセントからやってくる電気に分けることができます。

実は、電池からやってくる電気コンセントからやってくる電気はとある性質が大きく異なるのです。まず、これら2種類の電気について学んでから、「交流を直流に変換する方法」について考えてみましょう。

電池からやってくる電気は直流

電池からやってくる電気は直流

image by Study-Z編集部

それでは、電池からやってくる電気の性質について考えてみましょう。ご存知のように、電池にはプラス極とマイナス極がありますよね。また、電池のプラス極とマイナス極は逆向きになることはありません。電流はプラス極からマイナス極へと流れますから、電流の向きも逆向きにはなりません。このような電気を直流といいます。

つまり、直流とは永遠にプラス極とマイナス極が入れ替わらず、電流も常に同じ方向に流れるような電気だということですね。ノートPCやスマートフォンのようなデジタル機器、懐中電灯などの小型機器は直流で動作するものが多いです。

コンセントからやってくる電気は交流

コンセントからやってくる電気は交流

image by Study-Z編集部

続いて、コンセントからやってくる電気の性質について考えましょう。コンセントからやってくる電気のプラス極とマイナス極は、時間の経過に伴って、絶えず入れ替わっています。当然のことながら、プラス極とマイナス極が入れ替わったら電流の向きも変化しますよね。このような電気を交流といいます。また、1秒間にプラス極とマイナス極が何回入れ替わるかを表すのが周波数です。

つまり、交流とは絶えることなくプラス極とマイナス極が入れ替わり、それに伴い電流の向きも変化する電気だということですね。扇風機、冷蔵庫などモーターが搭載されている機器、電熱線によるヒーターおよびストーブ、その他の大型機器は交流で動作するものが多いです。

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