突然ですが液体が凍ったり沸騰したりする温度は物質ごとに決まっているのは知っているか?

物質は温度によって状態が液体から固体になったり気体になったりと変化する。これを状態変化といい、状態が変わる温度を「沸点」「融点」「凝固点」というんです。

今回はその物質の状態が変化する温度について化学に詳しいライターたかはしふみかと一緒に説明していきます。

ライター/たかはし ふみか

危険物取扱者の資格を取るためにあきるほど物理化学を勉強した国立大学院の工業化学科出身。本を読むのが好きでよく化学の本からネタを仕入れている。

沸点、融点、凝固点とはなに?

沸点、融点、凝固点とはなに?

image by Study-Z編集部

まずは沸点融点凝固点と言う言葉の意味から確認していきましょう。

物質は温度によってその状態が気体液体固体と変化します。例えば水は常温では液体です。そして100℃以上なら気体の水蒸気に、0℃以下なら固体の氷に状態が変化しますね。

このとき水が蒸発して水蒸気になる100℃を水の沸点、氷が融解して水になるまたは水が凝固して氷になる0℃を融点又は凝固点というのです。

なお、この沸点、融点、凝固点は気圧によって変わります。ここでは水が100℃で沸騰し0℃で凝固する1気圧の状態で考えていきましょう。

液体が気体になる温度、沸点

image by PIXTA / 3655716

液体は水分子の粒子同士が緩く結びついた状態で、粒子の位置は変わることができます。一方、気体は粒子が空間を自由に動き回れる状態です。液体が気体になることを蒸発、逆に気体が液体になることを凝縮といいます。

ところで、先ほど沸点は気圧によって異なると説明しましたね。周囲の気圧が低いと、粒子を抑える力が弱いため水は粒子同士の結びつきを振り切って気体になります。そのため、富士山の上では100℃よりも低くお湯を沸かすことができるのです。

この現象を利用した実験器具にエバポレーターと言うものがあります。エバポレーターを簡単に説明すると沸点の差を利用して余分な物質を取り除くものです。器具内部の圧力を下げて沸点の低い物質のみを気体にし、冷却して取り除くことができます。

逆に、高い気圧のよって水を蒸発させないのが圧力鍋。圧力鍋を使うと内部の圧力が高くなって水が100℃になっても蒸発しません。そのため、圧力鍋を使えば高温で素材を芯までしっかりと加熱することができるのですね。

凝固点と融点、実は同じ温度だった?

image by PIXTA / 27982449

固体とは粒子がしっかりと結びついて動くことのできない状態のことをさします。凝固点は液体が固まって固体に、そして融点は固体が融けて液体になる温度です。水の凝固点は氷点とういうこともあり、天気予報で氷下点と言う言葉をよく聞きますね。

意味は反対ですが、同じ温度になる凝固点と融点。どちらも液体と固体の状態がいれ変わる温度と考えれば納得ですね。

ただし、凝固点と融点は必ず一致するわけではなく例外もあります。ヒステリシスといって物質が過去に受けた影響によってずれてしまうことがあるのです。しかし、大学受験程度は気にしなくても大丈夫でしょう。

この凝固点、融点は物質ごとで決まっています。そのため、化学実験では物質の特定や純度の確認のために融点を測定する場合もあるのです。

身近な物質、水の不思議

image by PIXTA / 56910128

水の融点は0℃、沸点は100℃はとても分かりやすい数字ですね。それもそのはず、日常使われている温度(セルシウス温度)は1気圧での水の凝固点を0℃、沸点を100℃としてその間を100分割しています。

しかし、実は水には他の物質と大きな違いがあるのです。通常、物質は気体で最も密度が小さく、そして液体、固体になるにつれて密度が大きくなります。しかし、水は例外で固体が液体よりも密度が小さくなるのです。

グラスに水と氷を入れたら氷が浮き、水をめいっぱいにいれて凍らせたら氷はあふれてしまいます。これは水が凍る時に隙間の多い構造となって体積が大きくなるからです。

\次のページで「沸点、融点、凝固点と併せて覚えたい!状態変化に関わる豆知識」を解説!/

沸点、融点、凝固点と併せて覚えたい!状態変化に関わる豆知識

状態変化は日常生活で起こる身近な現象です。そこでちょっと不思議な状態変化や少し変わった物質まで状態変化に関わるものをご紹介いたします。

昇華

image by PIXTA / 9085295

普通、固体は液体を経て気体になりますね。しかし、固体から直接気体になる物質があるのです。このように固体が気体になる、または反対に気体が固体になる現象を昇華といいます。

昇華は意外と身近で起こっている現象なのです。例としては以下のものがあります。

・ドライアイス
・パラジクロロベンゼン
・ナフタレン
・ヨウ素

アイスクリームを買った時などにドライアイスがついて来ることがありますね。そのドライアイスに水をかけると暖められたドライアイスは直接気体の二酸化炭素になるのです。

また、防虫剤として使われるパラジクロロベンゼンナフタレンも昇華しやすい物質として知られています。

\次のページで「常温で液体になる唯一の物質」を解説!/

常温で液体になる唯一の物質

image by PIXTA / 2991536

輝かしい金、硬貨の原料である銅など身の回りには様々な金属があります。

金属は固いと言うイメージを持っている人が多いでしょう。しかし、1種類だけ常温常圧で液体状態の金属元素があります。それは原子番号80の水銀です。

金属の融点は常圧でアルミニウムなら660℃、鉄なら1535℃、タングステンなら3410℃と高温。しかし、水銀の融点は常圧で-39℃です。そのため、常温では液体であり温度計や体温計にも用いられています。

気体でも液体でも固体でもある状態?三重点と超臨界状態

ある条件のもとで物質は気体、液体、固体が共存することができます。この時の温度と圧力を三重点というのです。

例えば水蒸気、水、氷が共存するとき、その温度と圧力が三重点となります。水の三重点は約0.01℃、約0.006気圧です。

また特定の温度、気圧以上の状態で物質は気体と液体の両方の性質を持ちます。超臨界状態といい、その状態にある物質を超臨界流体というのです。

プラズマってなんだ?

image by PIXTA / 53254496

プラズマとは固体、液体、気体に続く第4の状態です。プラズマテレビなどプラズマを使った製品をよくwp_で見かけますね。しかしプラズマという言葉は聞いたことがあるけどそれがどんなものか知らない、という人も多いでしょう。

気体は原子が空間を自由に動きまわれる状態でしたね。気体をさらに熱するとやがて電子は原子核をふりきってしまいます。そして原子はプラスの原子核とマイナスの電子がバラバラの不安定ながら自由に動き回れる状態となるのです。

プラズマには自由度が高い電子が含まれているため、電流が流れやすい状態となっています。

温度で物質の状態は変わる!沸点、融点、凝固点

物質の状態は温度によって変化します。

状態変化について大学入試では「水は30℃でどのような状態か」といった問題が出題されることも。水は0℃以下で固体、100℃以上で気体、その間なら液体でしたね。そのため、30℃なら液体と言う事が分かります。

沸点と融点、凝固点の意味をしっかりと理解していたら正解できる問題です。落ち着けば必ず解ける問題なので、確実に正解できるようにしましょう。

" /> 3分で簡単!沸点・融点・凝固点の違いとは?物質の状態変化を元家庭教師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学物質の状態・構成・変化理科

3分で簡単!沸点・融点・凝固点の違いとは?物質の状態変化を元家庭教師がわかりやすく解説

突然ですが液体が凍ったり沸騰したりする温度は物質ごとに決まっているのは知っているか?

物質は温度によって状態が液体から固体になったり気体になったりと変化する。これを状態変化といい、状態が変わる温度を「沸点」「融点」「凝固点」というんです。

今回はその物質の状態が変化する温度について化学に詳しいライターたかはしふみかと一緒に説明していきます。

ライター/たかはし ふみか

危険物取扱者の資格を取るためにあきるほど物理化学を勉強した国立大学院の工業化学科出身。本を読むのが好きでよく化学の本からネタを仕入れている。

沸点、融点、凝固点とはなに?

沸点、融点、凝固点とはなに?

image by Study-Z編集部

まずは沸点融点凝固点と言う言葉の意味から確認していきましょう。

物質は温度によってその状態が気体液体固体と変化します。例えば水は常温では液体です。そして100℃以上なら気体の水蒸気に、0℃以下なら固体の氷に状態が変化しますね。

このとき水が蒸発して水蒸気になる100℃を水の沸点、氷が融解して水になるまたは水が凝固して氷になる0℃を融点又は凝固点というのです。

なお、この沸点、融点、凝固点は気圧によって変わります。ここでは水が100℃で沸騰し0℃で凝固する1気圧の状態で考えていきましょう。

液体が気体になる温度、沸点

image by PIXTA / 3655716

液体は水分子の粒子同士が緩く結びついた状態で、粒子の位置は変わることができます。一方、気体は粒子が空間を自由に動き回れる状態です。液体が気体になることを蒸発、逆に気体が液体になることを凝縮といいます。

ところで、先ほど沸点は気圧によって異なると説明しましたね。周囲の気圧が低いと、粒子を抑える力が弱いため水は粒子同士の結びつきを振り切って気体になります。そのため、富士山の上では100℃よりも低くお湯を沸かすことができるのです。

この現象を利用した実験器具にエバポレーターと言うものがあります。エバポレーターを簡単に説明すると沸点の差を利用して余分な物質を取り除くものです。器具内部の圧力を下げて沸点の低い物質のみを気体にし、冷却して取り除くことができます。

逆に、高い気圧のよって水を蒸発させないのが圧力鍋。圧力鍋を使うと内部の圧力が高くなって水が100℃になっても蒸発しません。そのため、圧力鍋を使えば高温で素材を芯までしっかりと加熱することができるのですね。

凝固点と融点、実は同じ温度だった?

image by PIXTA / 27982449

固体とは粒子がしっかりと結びついて動くことのできない状態のことをさします。凝固点は液体が固まって固体に、そして融点は固体が融けて液体になる温度です。水の凝固点は氷点とういうこともあり、天気予報で氷下点と言う言葉をよく聞きますね。

意味は反対ですが、同じ温度になる凝固点と融点。どちらも液体と固体の状態がいれ変わる温度と考えれば納得ですね。

ただし、凝固点と融点は必ず一致するわけではなく例外もあります。ヒステリシスといって物質が過去に受けた影響によってずれてしまうことがあるのです。しかし、大学受験程度は気にしなくても大丈夫でしょう。

この凝固点、融点は物質ごとで決まっています。そのため、化学実験では物質の特定や純度の確認のために融点を測定する場合もあるのです。

身近な物質、水の不思議

image by PIXTA / 56910128

水の融点は0℃、沸点は100℃はとても分かりやすい数字ですね。それもそのはず、日常使われている温度(セルシウス温度)は1気圧での水の凝固点を0℃、沸点を100℃としてその間を100分割しています。

しかし、実は水には他の物質と大きな違いがあるのです。通常、物質は気体で最も密度が小さく、そして液体、固体になるにつれて密度が大きくなります。しかし、水は例外で固体が液体よりも密度が小さくなるのです。

グラスに水と氷を入れたら氷が浮き、水をめいっぱいにいれて凍らせたら氷はあふれてしまいます。これは水が凍る時に隙間の多い構造となって体積が大きくなるからです。

\次のページで「沸点、融点、凝固点と併せて覚えたい!状態変化に関わる豆知識」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: