突然ですが二酸化炭素がどんな物質か知っているか?

二酸化炭素は空気中にも存在する身近な物質です。酸性雨、温暖化といった環境問題でよく聞くな。だけどその性質はよく知らないという人も多いでしょう。

そんな二酸化炭素について、修士論文の研究テーマが二酸化炭素を増やさない新エネルギーについてだったライター、たかはしふみかと一緒に解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

国立大学出身で化学工学を専攻。二酸化炭素をこれ以上増やさないためのエネルギー開発の研究をしつつ、家庭教師のバイトをしていた。

二酸化炭素ってどんな物質?

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二酸化炭素は中学生の理科でも学ぶ、なじみ深い物質ですね。二酸化炭素を使った実験をしたことがある人もいると思います。まずは二酸化炭素の性質や、どんなところで使われているかについてみていきましょう。

二酸化炭素の性質

二酸化炭素の性質

image by Study-Z編集部

二酸化炭素はその字の通り1つの炭素と2つの酸素からできています。分子式で書くとCO2、分子量は44.0です。二酸化炭素は空気中に0.04%程度含まれています。

混合物である空気に分子量はありません。そのかわり、含まれている酸素や窒素、二酸化炭素の割合から平均分子量を求めることができます。空気の平均分子量を計算すると28.8となるのです。空気に対して二酸化炭素の方が重いことが分かりますね。

続いて、二酸化炭素の融点を見てみましょう。二酸化炭素の融点は⁻79℃です。二酸化炭素は通常の圧力下で冷却すると気体から固体になる、ちょっと変わった物質。だから常温でドライアイスは固体から一気に気体へと状態が変わるのですね。

また、石灰水を白く濁らせる、というのも理科で習う重要な性質。これは石灰水の成分である水酸化カルシウムと二酸化炭素が反応して炭酸カルシウムが生成するからです。

その他の性質として水に溶けやすく水溶液は酸性を示す無味無臭で無色といった性質があります。

二酸化炭素の合成

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二酸化炭素は実験室でも簡単に作ることができます。二酸化炭素は炭酸カルシウム塩素を加えることで発生するのです。

CaCO3+2HCl→CaCl2+CO2H2O

炭酸カルシウムは石灰石や貝殻、卵の殻の主成分です。その他に炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウムに塩酸をかけても二酸化炭素を発生させることができます。

二酸化炭素は水に溶けやすく空気よりも重いのが特徴です。そのため、下方置換法によって集めます。発生した二酸化炭素を下方置換法で集める時のポイントは炭酸カルシウムと塩酸を混ぜ合わせた容器よりも、集める容器の方を低くすることです。

なお、通常の濃度なら問題ありませんが濃度が4%以上になると頭痛や吐き気、眩暈が起こりさらに7%以上になると呼吸がうまくできなくて死に至ります。簡単にできる実験ですが、慎重にやる必要があるのですね。

\次のページで「二酸化炭素の活用方法」を解説!/

二酸化炭素の活用方法

二酸化炭素の性質が分かったところで、二酸化炭素の活用方法の説明です。

二酸化炭素が溶けた水溶液は、お店でも売られている炭酸水になります。空気中にあるものがしゅわっとした炭酸のもとになっているとは面白いですね。

また、ドライアイスも二酸化炭素からできています。普通、気体は冷やすと液体となりさらに冷やすと個体となりますね。しかしドライアイスは気体である二酸化炭素を凍らせると液体にならず固体のドライアイスとなるのです。

ドライアイスを溶かすことで炭酸水を作ることができます。ただし、ドライアイスの取り扱いはもちろん、使う容器には注意が必要。固体のドライアイスが溶けて気体になると、体積が膨大になって容器が破裂してしまうことがあるのです。

こうやって作る!ドライアイスの製造補法

ここでドライアイスの作り方をみてみましょう。

ドライアイスを作る時、アンモニアやお酒を造る時に発生した二酸化炭素を使います。ドライアイスは副産物としてできた二酸化炭素を再利用しているのですね。

ドライアイスを作る時はまず、二酸化炭素を液体にする必要があります。しかし二酸化炭素はそのまま冷やしても液体になりません。そこで加圧し、気体の二酸化炭素を液化させるのです。

次にその液体となった二酸化炭素を大気中に放出します。すると気化熱が奪われた二酸化炭素の温度は凝固点を下回り固体となるのです。二酸化炭素が固体化してできた粉末状ドライアイスに水を加えて形を整えます。そうすると見慣れたドライアイスになるのです。

二酸化炭素、環境への影響

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産業が発展し工場や自動車が増えた近年、二酸化炭素の排出がぐんと増えました。

また二酸化炭素は光合成によって酸素になりますが、光合成を行う木々が必要。しかし、開発によって土地や材木を得るために森林の木々が切られてしまいました。そのため、空気中の二酸化炭素の量が増えてしまったのです。

二酸化炭素は地球温暖化酸性雨といった環境問題と密接に関係があります。なぜ二酸化炭素によって環境問題が起きるのかみていきましょう。

温室効果ガスって何?二酸化炭素と地球温暖化

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地球温暖化が進んでいるとよくニュースになっていますね。ではなぜ二酸化炭素によって地球温暖化が進むのでしょうか?それは二酸化炭素は温室効果ガスとして熱が宇宙に逃げるのを防ぐ効果があるからです。

温室効果ガスをビニールハウスに例えてみましょう。ビニールハウスの中は、太陽から注れた可視光線や近赤外線によって内部が温まります。温まった熱は温室内から赤外線として出ようとしますがビニールハウスが赤外線を通さないため、温かさを保つことができるのです。

ビニールハウスの中が温かいように、温室効果ガスは地球を包み込んで熱が逃げないようにしています。しかし、温室効果ガスが全くなければ地球は寒すぎて生物がすむことができなくなってしまうのです。温室効果ガスは多すぎても少なすぎてもだめなのですね。

空から酸が降ってくる?酸性雨

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もともと大気中にある二酸化炭素。先ほど説明したように二酸化炭素は水に溶けやすく、その水溶液は酸性を示します。二酸化炭素によって酸性寄りとなった雨が二酸化硫黄窒素酸化物によってより強力な酸性となるのです。

酸性化した雨は湖や沼に降り、その生態系に影響を与えます。また酸性雨によって土壌も酸性化し、植物の成長に影響してしているのです。光合成に必要な植物が枯れてしまったらますます二酸化炭素が空気中に滞留するという悪循環に陥ってしまいます。

さらに強い酸性寄りになると、コンクリートや金属などを溶かし建物にも被害が。酸性雨は生活をおびやかす、危険なものなのですね。

\次のページで「理科の授業でなじみ深い二酸化炭素、生活や環境に大きく影響していた!」を解説!/

理科の授業でなじみ深い二酸化炭素、生活や環境に大きく影響していた!

理科の授業で習った二酸化炭素。炭酸水やドライアイスと意外に生活になじみ深い物質なのですね。

その一方、地球温暖化や酸性雨と自然環境にも大きく影響する物質でもあります。

便利なものでも危険を及ぼすものでもある二酸化炭素。上手に付き合っていきたいですね。

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化学

5分で完璧!二酸化炭素のすべてを元家庭教師がわかりやすく解説

突然ですが二酸化炭素がどんな物質か知っているか?

二酸化炭素は空気中にも存在する身近な物質です。酸性雨、温暖化といった環境問題でよく聞くな。だけどその性質はよく知らないという人も多いでしょう。

そんな二酸化炭素について、修士論文の研究テーマが二酸化炭素を増やさない新エネルギーについてだったライター、たかはしふみかと一緒に解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

国立大学出身で化学工学を専攻。二酸化炭素をこれ以上増やさないためのエネルギー開発の研究をしつつ、家庭教師のバイトをしていた。

二酸化炭素ってどんな物質?

image by PIXTA / 23178737

二酸化炭素は中学生の理科でも学ぶ、なじみ深い物質ですね。二酸化炭素を使った実験をしたことがある人もいると思います。まずは二酸化炭素の性質や、どんなところで使われているかについてみていきましょう。

二酸化炭素の性質

二酸化炭素の性質

image by Study-Z編集部

二酸化炭素はその字の通り1つの炭素と2つの酸素からできています。分子式で書くとCO2、分子量は44.0です。二酸化炭素は空気中に0.04%程度含まれています。

混合物である空気に分子量はありません。そのかわり、含まれている酸素や窒素、二酸化炭素の割合から平均分子量を求めることができます。空気の平均分子量を計算すると28.8となるのです。空気に対して二酸化炭素の方が重いことが分かりますね。

続いて、二酸化炭素の融点を見てみましょう。二酸化炭素の融点は⁻79℃です。二酸化炭素は通常の圧力下で冷却すると気体から固体になる、ちょっと変わった物質。だから常温でドライアイスは固体から一気に気体へと状態が変わるのですね。

また、石灰水を白く濁らせる、というのも理科で習う重要な性質。これは石灰水の成分である水酸化カルシウムと二酸化炭素が反応して炭酸カルシウムが生成するからです。

その他の性質として水に溶けやすく水溶液は酸性を示す無味無臭で無色といった性質があります。

二酸化炭素の合成

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二酸化炭素は実験室でも簡単に作ることができます。二酸化炭素は炭酸カルシウム塩素を加えることで発生するのです。

CaCO3+2HCl→CaCl2+CO2H2O

炭酸カルシウムは石灰石や貝殻、卵の殻の主成分です。その他に炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウムに塩酸をかけても二酸化炭素を発生させることができます。

二酸化炭素は水に溶けやすく空気よりも重いのが特徴です。そのため、下方置換法によって集めます。発生した二酸化炭素を下方置換法で集める時のポイントは炭酸カルシウムと塩酸を混ぜ合わせた容器よりも、集める容器の方を低くすることです。

なお、通常の濃度なら問題ありませんが濃度が4%以上になると頭痛や吐き気、眩暈が起こりさらに7%以上になると呼吸がうまくできなくて死に至ります。簡単にできる実験ですが、慎重にやる必要があるのですね。

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