今回はモル計算についてです。

モルは化学に必須の概念です。原子は1つ1つが小さすぎるため、大きな単位に置き換えないと考えることが難しい。そこで編み出されたのがmolです。この単元は非常に化学嫌いを生みやすいが、理解してしまえば難しくないぞ!

そんな「モル計算」について、未来の理科教員ライターこりんと一緒に解説していきます。

ライター/こりん

現役理系大学生。小学生のころから理科が好きで、現在は化学を専攻している。

mol とは?

image by iStockphoto

化学嫌いをっもっとも生みやすいと言っても過言ではない単元「mol」。これを読んでいるあなたもそんな中の一人なのではないでしょうか。化学以外では出てくることのないmolという単位に混乱してしまう人も多いですが、分かってしまえばそんなに厄介な相手ではありません。molについて詳しく丁寧に理解していきましょう。

molの定義

molの定義

image by Study-Z編集部

「mol」というのは、上記にもあるように、単位の一つです。1 molというのはある原子、分子を6.022×10^23個集めたという状態を表します。例えば1 molの炭素原子であれば、炭素原子が6.022×10^23個分ありますよ、ということになるのです。ちなみにこの6.022×10^23という数字をアボガドロ定数というので覚えておきましょうね。

mol の必要性

Atome de Rutherford.png
CC 表示-継承 3.0, リンク

なぜこのようなややこしい単位が必要なのか、それは原子がとても小さいものだからです。原子1つはとても小さくそれ単体として質量や数を計算することがとても難しいですよね。そのためもっと扱いやすいサイズでひとまとまりとすることで、化学の計算をしやすくしたのです。

1molの定義はある原子、分子が6.022×10^23個集まった状態だと言いました。これは、炭素原子を12 g分集めた時の炭素原子の個数が6.022×10^23個だったためこの数字に定義されたものです。要するに1 molの炭素原子は12 gの炭素と等しいという計算になります。小さい炭素原子を6.022×10^23個集めると12 gになるのです。

原子の質量はそれぞれ違うので、当然1molの時の質量もそれぞれ変わってきます。皆さん1度教科書などの周期表を見てみてください。おそらく、「原子量」というものが記載されていると思います。これがそれぞれの原子の1 molの時の質量です。試験などに出るときは物質量が試験問題に記載されていることが多いので全部覚えなければならないわけではないですが、有名どころの水素や炭素、酸素などだけでも覚えておくと便利でしょう。

1 molの分子

立体モデル Palytoin.jpg
GFDL, リンク

さて、〇gの原子があった場合、それが何molの原子であるのかについて説明してきました。原子の場合、周期表などに記載されている「物質量」を見ればいいんでしたね。先ほどもチラッと言ったように、molというのは分子でも適用されるのです。分子の場合はどのように考えたらいいのでしょうか。

これはとても単純で、分子に含まれるそれぞれの原子の物質量を足し合わせればいいのです。と、言われても少しわかりずらいですよね。では水分子を例に挙げて考えてみましょう。

水分子は1つの酸素原子と二つの水素原子からなる分子です。水素原子の物質量は約1 g酸素原子の物質量は約16 gですね。水分子の1 molの質量は (水素原子の物質量×2)+(酸素原子の物質量)となります。つまり、(1×2)+16=18 gとなるわけです。それぞれの原子量の物質量と、その原子が1つの分子内にいくつ含まれているのかがわかれば、それを足し合わせるだけで1 molの分子の物質量は簡単に求めることができます。

\次のページで「物質量と濃度」を解説!/

物質量と濃度

さて、ここまではmolという単位の計算の仕方について解説してきましたね。ここからは濃度計算に関しての解説をし行きます。molが関与してこない濃度計算に質量パーセント濃度がありますね。これは溶質と溶媒どちらも合わせた水溶液〇gの中に何g分の溶質が含まれているのかという計算でした。実はmol濃度計算はもっと単純な計算です。そんなmol濃度について解説します。

mol濃度

Beakers.jpg
CC 表示-継承 2.5, リンク

ざっくり言えば、1リットルあたりに含まれる溶質の物質量[mol]というのがモル濃度です。単位はmolをリットルで割っているのでmol/Lとなります。また、これとよく似たものに質量モル濃度というものがあり、質量モル濃度は1 kgあたりに含まれている溶質の物質量[mol]という意味です。この二つは名前が似ていて間違えやすいため、しっかり区別して覚えておきましょう。

ここで、例題を見ながらこの濃度計算について考えていきたいと思います。問題ははこちらです。

29gの塩化ナトリウムNaClを水に溶かして2Lの水溶液を作る。この時、塩化ナトリウム水溶液のモル濃度を計算せよ。

ただし、原子量は以下とする。

Na=23、Cl=35

まず初めに考えるのは塩化ナトリウムの1 molの質量です。塩化ナトリウムは塩素とナトリウムがそれぞれひとつづつ含まれる分子なので、計算すると1 molは23+35= 58 gだとわかります。今回水溶液全体に含まれている塩化ナトリウムのモル質量は、29÷58=0.5となるので0.5 molですね。そして水溶液全体は2 Lなので1 L当たりで計算をすると、今回求めるモル濃度は0.5÷2=0.25 mol/Lだとわかりした。

このような問題とは逆に、何molなのかがわかっていてそこから質量パーセント濃度に換算するという問題もあります。慌てずにmolを質量に変換して、計算できるようにしましょう。

モル体積

Purplesmoke.jpg
Macluskie - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

最後に「体積」についての解説をしていきたいと思います。モル体積という言葉を知っていますか。モル体積とは1 mol 当たりの標準状態での原子や分子が占める体積のことです。そして気体分子でのモル体積は、機体の種類によらず同じ体積になります。

非常に小さな水素分子でも酸素分子でも二酸化炭素分子でもそれぞれの1 mol当たりの気体が占める体積は22.4 Lになるのです。つまり22.4 Lの気体があるということは、そこには気体の種類によらず1 molの気体があるということであり、11.2 Lの気体があるということは、そこには気体の種類によらず0.5 molの気体があるということになります。これがわかっていれば、物質の質量がわからないときでも、体積から一体その物質が何molなのかを計算することができるのです。

molは化学を考えるうえで不可欠な概念

molについて理解していただけましたか?

molが使えるようになると、様々なサイズの原子や分子を同じmolという単位で考えられるようになるのでとても便利です。

molの計算は何度も何度も繰り返し練習していくうちに自然と身についていきます。はじめは難しいかもしれませんが根気強くチャレンジしていきましょう!

" /> 「物質量、モル数の計算」攻略法!現役理系学生がわかりやすく解説! – Study-Z
化学

「物質量、モル数の計算」攻略法!現役理系学生がわかりやすく解説!

今回はモル計算についてです。

モルは化学に必須の概念です。原子は1つ1つが小さすぎるため、大きな単位に置き換えないと考えることが難しい。そこで編み出されたのがmolです。この単元は非常に化学嫌いを生みやすいが、理解してしまえば難しくないぞ!

そんな「モル計算」について、未来の理科教員ライターこりんと一緒に解説していきます。

ライター/こりん

現役理系大学生。小学生のころから理科が好きで、現在は化学を専攻している。

mol とは?

image by iStockphoto

化学嫌いをっもっとも生みやすいと言っても過言ではない単元「mol」。これを読んでいるあなたもそんな中の一人なのではないでしょうか。化学以外では出てくることのないmolという単位に混乱してしまう人も多いですが、分かってしまえばそんなに厄介な相手ではありません。molについて詳しく丁寧に理解していきましょう。

molの定義

molの定義

image by Study-Z編集部

「mol」というのは、上記にもあるように、単位の一つです。1 molというのはある原子、分子を6.022×10^23個集めたという状態を表します。例えば1 molの炭素原子であれば、炭素原子が6.022×10^23個分ありますよ、ということになるのです。ちなみにこの6.022×10^23という数字をアボガドロ定数というので覚えておきましょうね。

mol の必要性

なぜこのようなややこしい単位が必要なのか、それは原子がとても小さいものだからです。原子1つはとても小さくそれ単体として質量や数を計算することがとても難しいですよね。そのためもっと扱いやすいサイズでひとまとまりとすることで、化学の計算をしやすくしたのです。

1molの定義はある原子、分子が6.022×10^23個集まった状態だと言いました。これは、炭素原子を12 g分集めた時の炭素原子の個数が6.022×10^23個だったためこの数字に定義されたものです。要するに1 molの炭素原子は12 gの炭素と等しいという計算になります。小さい炭素原子を6.022×10^23個集めると12 gになるのです。

原子の質量はそれぞれ違うので、当然1molの時の質量もそれぞれ変わってきます。皆さん1度教科書などの周期表を見てみてください。おそらく、「原子量」というものが記載されていると思います。これがそれぞれの原子の1 molの時の質量です。試験などに出るときは物質量が試験問題に記載されていることが多いので全部覚えなければならないわけではないですが、有名どころの水素や炭素、酸素などだけでも覚えておくと便利でしょう。

1 molの分子

さて、〇gの原子があった場合、それが何molの原子であるのかについて説明してきました。原子の場合、周期表などに記載されている「物質量」を見ればいいんでしたね。先ほどもチラッと言ったように、molというのは分子でも適用されるのです。分子の場合はどのように考えたらいいのでしょうか。

これはとても単純で、分子に含まれるそれぞれの原子の物質量を足し合わせればいいのです。と、言われても少しわかりずらいですよね。では水分子を例に挙げて考えてみましょう。

水分子は1つの酸素原子と二つの水素原子からなる分子です。水素原子の物質量は約1 g酸素原子の物質量は約16 gですね。水分子の1 molの質量は (水素原子の物質量×2)+(酸素原子の物質量)となります。つまり、(1×2)+16=18 gとなるわけです。それぞれの原子量の物質量と、その原子が1つの分子内にいくつ含まれているのかがわかれば、それを足し合わせるだけで1 molの分子の物質量は簡単に求めることができます。

\次のページで「物質量と濃度」を解説!/

次のページを読む
1 2
Share: