
実は、「斜方投射」を学習すると、ベクトルの考え方、ニュートンの法則、加速度・速度・座標(変位)の関係性といった、力学の基礎となる部分が身につくんです。「斜方投射」は、つまずきやすい単元ではありますが、非常に重要な部分です。ぜひとも、この記事を読んで、「斜方投射」をマスターしてくれ。
塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。
斜方投射とは?

突然ですが、誰かとキャッチボールしているところを想像してみてください。あなたが投げたボールは、カーブを描いて、相手側に届きますよね。このときボールが描くカーブのことを、放物線と呼ぶのです。ボールに限らず、物体を斜め上に投げると、物体は放物線を描き、最終的には地面に到達します。このような物体の運動を、物理学的用語で斜方投射というのです。
そして、斜方投射を学習することで、力学を学ぶ上で欠かせないベクトルの考え方、ニュートンの法則、加速度・速度・座標(変位)の関係性が身に付きます。これらを理解することで、2次元および3次元の運動が扱いやすくなるのです。つまり、斜方投射をマスターすることができたら、物理学の基本的な考え方はおおよそ理解できるのです!
また、この記事では斜方投射の様子を数式で記述できるようになることをメインテーマとして、解説を進めていきます。
斜方投射の様子を数式で記述しよう!

image by Study-Z編集部
では、早速問題を解いてみましょう!「図のようなxy直交座標平面において、原点から小球をx軸と角度θをなす向きに、初速度v0で投げた。小球を投げてから、t秒後の小球の位置を表す座標を、tの関数で表現せよ。ただし、空気抵抗などは考慮しない。」という問題です。
小球を斜め上に投げていることから、斜方投射の問題であることがわかります。そして、小球は図に示されたような放物線の軌道を描くだろうと考えられますね!それでは、この小球の運動を数式で表す方法を紹介していきます。
#1 初速度ベクトルを分解する

image by Study-Z編集部
まず最初に、初速度ベクトルを分解します。このとき、x軸に平行な成分とy軸に平行な成分に分解するのが一般的です。ここでは、x軸に平行な成分をvx0、y軸に平行な成分をvy0としました。
図のように考えると、x軸に平行な成分については、vx0=v0×cosθと表わせます。y軸に平行な成分についても、同様にして、vy0=v0×sinθと表わせますね。「あれれ?よくわからないぞ…」という方は数学で登場する三角比の定義を思い出してみましょう。
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