今回は2つ以上の「原子」によって構成される「分子」について勉強していこう。

前回は原子と元素の話しをしたよな。物質の成り立ちにはこれらの結びつきによる分子の存在を忘れてはいけない。

今一度、分子とは何か見ていこう。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.原子2つ以上で独立した構造を持つ分子

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原子については前回解説しましたね。原子とは物質を構成する最小単位である粒子です。原子はそれぞれ元素記号というかたちで表記され、元素周期表を見ることで質量数や電子数などを知ることができましたね。

さて、今回のキーワードである分子原子2つ以上が結びつくことでできるものです。元素2つ以上ではありませんよ。原子が2つ以上というのがポイントです。

さらに、独立した構造であるというのも分子の大切な条件です。化合物や単体といった物質の分け方も大きく関わる内容なので、復習をしながら進めていきましょう。

2.分子の構造

分子をつくる物質、分子をつくらない物質についてそれぞれ考えていきましょう。

1つめの条件は原子2つ以上が結びついていること、2つめは独立した構造であることでしたね。この条件に注目し、具体例で考えていきましょう。

2-1.単体で分子をつくる物質

2-1.単体で分子をつくる物質

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まずは単体が何であったか思い出してみましょう。単体とは1種類の元素で構成されている物質でしたね。しかしこの単体を分けて考えてみると、原子の粒が1つで成り立っているものと2つ以上のものがあったのを覚えていますか?

単体でも分子をつくるものの代表例は、水素や酸素、窒素などの気体です。

これらの物質は、同じ元素が2つつながってできていますよね。化学式で表したとき、H2 や O2 のように1つの元素記号で表され、かつ 2 のように○という同じ元素が複数個つながっていることがわかる物質はこれに分類されます。

中学レベルでは ○2 で表されるような分子が一般的ですが、オゾン O3 や黄リン(白リン) P4 など、1種類の原子が3つ4つとつながることでできる分子も存在することを頭の隅に入れておけるといいですね。

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2-2.化合物で分子をつくる物質

2-2.化合物で分子をつくる物質

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それでは化合物についても考えてみましょう。化合物とは、複数の元素からなる物質でしたね。自然界に存在する物質では、化合物が単体よりもはるかに多いことは間違いありません。同じ酸素原子から成る酸素 O2 とオゾン O3 のように1つの元素に対して単体が1種類とは限りませんが、数は決して多くないでしょう。一方で化合物は元素とその数の組み合わせ次第では無限大の可能性があります。そういった意味で、分子は化合物に多いといえるでしょう。

さて、化合物で分子をつくる物質の代表は水 H2O です。その他にも二酸化炭素CO2 やアンモニア NH3、一酸化窒素 NO などが挙げられます。このように複数の元素が結びついているということは、分子をつくる原子の粒が2つ以上という条件を自ずとクリアできますよね。

2-3.単体で分子をつくらない物質

2-3.単体で分子をつくらない物質

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例えば金属は銅 Cu、アルミニウム、Al、銀 Ag のように元素記号1つで表されます。炭素 C も同様ですね。一見すると、原子2つ以上が結びついていることという1つめの条件に反しているから分子ではないと思うでしょう。理由はそれではありません。これらの物質は原子の粒1つで存在しているわけではなく、独立した構造であるという2つめの条件に反しているからなのです。

金属に代表されるこれらの物質は、たくさんの粒が数えられないほどの数で集まってつながっています。つまり、実際は Cu10 かもしれないし Cu100000 かもしれないのです。しかしそれらを構成する元素は銅 Cu で間違いないのですから、元素記号1つだけを用いるようにしています。

2-4.化合物で分子をつくらない物質

2-4.化合物で分子をつくらない物質

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化合物にも分子構造をとらない物質があります。その代表例が塩化ナトリウム NaCl です。どうして?と思った人も多いでしょう。なぜなら、ナトリウムと塩素の2つの原子の粒、2種類の元素から成っているのが化学式からわかりますからね。しかしこれが分子でないのには、単体で分子をつくらない物質と同じく独立した構造をとらないからという理由があります。

ではなぜNaCl と表すのか気になりますよね。塩化ナトリウムはナトリウム原子と塩素原子がそれぞれたくさんの数がつながることで構造をなしています。それがいくつつながっているかはわかりませんが、その割合は常に1対1と一定です。実際は Na10Cl10 かもしれません。しかしこれも金属の単体と同様、わかりやすく考えるために NaCl という表記にしているのです。

\次のページで「3.分子かどうかの見分け方」を解説!/

化合物で分子をつくらない物質は塩化ナトリウムだけではありませんよ。硫化鉄 FeS や酸化銅 CuO のように、金属を含む化合物は塩化ナトリウムと同様の構造をとります。あわせて覚えておきたいですね。

3.分子かどうかの見分け方

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単体だから、化合物だからと分子化合かを見極めるのは難しいのがわかりますよね。構造をしっかり考えて整理することが大切ですよ。ここで分子をつくる物質を見極めるためのヒントを2つ解説します。

3-1.常温で気体または液体の物質

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水素、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、硫化水素、塩素、アンモニア…。これらはどれも常温で気体なのがわかるでしょう。続いて、水、過酸化水素、酢酸、硝酸、硫酸…。これらは常温で液体ですね。このように、常温での状態を知っているものに関しては化学式がわからなくても判断のヒントとなります。

 

さて、これは少し応用的な内容です。吸うと声が変わってしまうヘリウムガスも常温で気体、単体で分子をつくる物質に分類されます。しかしこれは原子1つで安定した構造をとることから、他の原子と結合することなく単原子分子をつくる特別な元素です。このような性質をもつ元素を希ガス(貴ガス)といい、特殊な例であることを理解しましょう。なぜ原子1つで安定できるのかは、後日改めて解説しますね。

3-2.非金属元素同士から成る物質

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逆を言えば、金属同士、または金属を含む単体や化合物は分子でないのでは?と考えられますね。つまり、ナトリウム、マグネシウム、鉄、銅、カルシウム、亜鉛といった金属元素の名称がつく物質以外と考えれば、消去法が使えるでしょう。もちろん通称などもありますので必ずしも正確な分類とはいえませんが、中学レベルでは十分に判断が可能です。

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分子は原子2つ以上で独立した構造を持つ!+希ガスは特別

分子構造をとるかどうかは、物質の構造を見極めることが重要です。分子になるのは原子2つ以上で独立した構造を持つという条件に当てはまるかを判断しましょう。

分子になるのは

・元素1種類から成る単体の気体(希ガスを含む)

・元素2種類以上から成る化合物の気体または液体

分子にならないのは

・元素1種類から成る金属の単体または炭素

・元素2種類から成る化合物で金属元素を含む物質

このように考えればすっきり整理できそうですね。どんな物質がこれに当てはまるか、考えながら覚えていきましょう。

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化学

「原子」の結びつきによってできる「分子」を元塾講師がわかりやすく解説

2-2.化合物で分子をつくる物質

2-2.化合物で分子をつくる物質

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それでは化合物についても考えてみましょう。化合物とは、複数の元素からなる物質でしたね。自然界に存在する物質では、化合物が単体よりもはるかに多いことは間違いありません。同じ酸素原子から成る酸素 O2 とオゾン O3 のように1つの元素に対して単体が1種類とは限りませんが、数は決して多くないでしょう。一方で化合物は元素とその数の組み合わせ次第では無限大の可能性があります。そういった意味で、分子は化合物に多いといえるでしょう。

さて、化合物で分子をつくる物質の代表は水 H2O です。その他にも二酸化炭素CO2 やアンモニア NH3、一酸化窒素 NO などが挙げられます。このように複数の元素が結びついているということは、分子をつくる原子の粒が2つ以上という条件を自ずとクリアできますよね。

2-3.単体で分子をつくらない物質

2-3.単体で分子をつくらない物質

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例えば金属は銅 Cu、アルミニウム、Al、銀 Ag のように元素記号1つで表されます。炭素 C も同様ですね。一見すると、原子2つ以上が結びついていることという1つめの条件に反しているから分子ではないと思うでしょう。理由はそれではありません。これらの物質は原子の粒1つで存在しているわけではなく、独立した構造であるという2つめの条件に反しているからなのです。

金属に代表されるこれらの物質は、たくさんの粒が数えられないほどの数で集まってつながっています。つまり、実際は Cu10 かもしれないし Cu100000 かもしれないのです。しかしそれらを構成する元素は銅 Cu で間違いないのですから、元素記号1つだけを用いるようにしています。

2-4.化合物で分子をつくらない物質

2-4.化合物で分子をつくらない物質

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化合物にも分子構造をとらない物質があります。その代表例が塩化ナトリウム NaCl です。どうして?と思った人も多いでしょう。なぜなら、ナトリウムと塩素の2つの原子の粒、2種類の元素から成っているのが化学式からわかりますからね。しかしこれが分子でないのには、単体で分子をつくらない物質と同じく独立した構造をとらないからという理由があります。

ではなぜNaCl と表すのか気になりますよね。塩化ナトリウムはナトリウム原子と塩素原子がそれぞれたくさんの数がつながることで構造をなしています。それがいくつつながっているかはわかりませんが、その割合は常に1対1と一定です。実際は Na10Cl10 かもしれません。しかしこれも金属の単体と同様、わかりやすく考えるために NaCl という表記にしているのです。

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