「原子」の結びつきによってできる「分子」を元塾講師がわかりやすく解説
2-2.化合物で分子をつくる物質
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それでは化合物についても考えてみましょう。化合物とは、複数の元素からなる物質でしたね。自然界に存在する物質では、化合物が単体よりもはるかに多いことは間違いありません。同じ酸素原子から成る酸素 O2 とオゾン O3 のように1つの元素に対して単体が1種類とは限りませんが、数は決して多くないでしょう。一方で化合物は元素とその数の組み合わせ次第では無限大の可能性があります。そういった意味で、分子は化合物に多いといえるでしょう。
さて、化合物で分子をつくる物質の代表は水 H2O です。その他にも二酸化炭素CO2 やアンモニア NH3、一酸化窒素 NO などが挙げられます。このように複数の元素が結びついているということは、分子をつくる原子の粒が2つ以上という条件を自ずとクリアできますよね。
2-3.単体で分子をつくらない物質
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例えば金属は銅 Cu、アルミニウム、Al、銀 Ag のように元素記号1つで表されます。炭素 C も同様ですね。一見すると、原子2つ以上が結びついていることという1つめの条件に反しているから分子ではないと思うでしょう。理由はそれではありません。これらの物質は原子の粒1つで存在しているわけではなく、独立した構造であるという2つめの条件に反しているからなのです。
金属に代表されるこれらの物質は、たくさんの粒が数えられないほどの数で集まってつながっています。つまり、実際は Cu10 かもしれないし Cu100000 かもしれないのです。しかしそれらを構成する元素は銅 Cu で間違いないのですから、元素記号1つだけを用いるようにしています。
2-4.化合物で分子をつくらない物質
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化合物にも分子構造をとらない物質があります。その代表例が塩化ナトリウム NaCl です。どうして?と思った人も多いでしょう。なぜなら、ナトリウムと塩素の2つの原子の粒、2種類の元素から成っているのが化学式からわかりますからね。しかしこれが分子でないのには、単体で分子をつくらない物質と同じく独立した構造をとらないからという理由があります。
ではなぜNaCl と表すのか気になりますよね。塩化ナトリウムはナトリウム原子と塩素原子がそれぞれたくさんの数がつながることで構造をなしています。それがいくつつながっているかはわかりませんが、その割合は常に1対1と一定です。実際は Na10Cl10 かもしれません。しかしこれも金属の単体と同様、わかりやすく考えるために NaCl という表記にしているのです。
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