公孫淵による反乱の収束に向かう司馬懿
238年、遼東の「公孫淵」(こうそんえん)が反乱を起こしたため、司馬懿はその討伐を命じられました。この戦いは、特に司馬懿の有能さが色濃くわかる征伐です。
明帝は、司馬懿に反乱をどのように平らげるかを訪ねます。それに対し司馬懿は「行軍で100日、戦闘で100日、帰路に100日、その他休養に60日、すなわち1年で平らげましょう」と言ったそうです。
そして、この『遼隧の戦い』(りょうすいのたたかい)は、まさしく司馬懿の言った通り動き、公孫淵を打ち破ることに成功しました。
公孫淵征伐により、邪馬台国の卑弥呼との交流が始まる
司馬懿が公孫淵を討伐したことによって、朝鮮半島北部を押さえることになります。これによって、何と邪馬台国の卑弥呼が魏に使者を派遣するようになりました。
新たな国との貿易をスタートさせたということで、司馬懿はこれをたいそう誇り、厚遇したというのです。
後に日本は、中国との関係をもったことにより、律令制度の輸入であったり、文字を学んだりと文化を発展させていきました。この司馬懿の活躍がなければ、今の日本の姿は少し変わったものであったのかもしれませんね。
魏王朝内部での「曹爽」との権力争い
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239年、『明帝』が死去すると「曹芳」(そうほう)がその後を継ぎます。しかし、この曹芳はまだ8歳であり、司馬懿は「曹爽」(そうそう)と共にその補佐の任に任命されました。
曹爽は司馬懿よりもずいぶんと年が若く、はじめは父のように慕い接していたそうです。しかし、実質的に皇帝に近い権力を持っていたことから、取り巻きたちにそそのかされ司馬懿との関係も悪化していきました。
ある日、司馬懿は『太傅』(たいふ)という官職に転任させられます。太傅とは、これまでの功績に対して贈られる大変名誉のあるものです。しかし、過去の、ということは実質的な引退勧告であり、太傅に実権などはありません。朝廷の政治に関われることはなかったのです。
ただ、軍権はそのままであり、引き続き対蜀漢の最前線は任されたまま、内政は曹爽が、軍事は司馬懿が担当していました。
244年、曹爽が蜀漢出兵『興勢の役』(こうせいのえき)を行います。司馬懿を太傅に転任させたものの、これまでの功績は重く、依然として司馬懿の影響力は強大だったのです。そんな中曹爽は、せめて漢中さえ押さえたという、己の功績があれば、司馬懿の軍事権力すらも奪い取ることが出来ると考えました。
しかし、曹爽はこの戦いには敗北し、撤退の際には多大な犠牲を強いられてしまうのです。司馬懿はこの出兵には勝算などない、と反対していたので、これ以降両者の対立は表面化していきました。
249年、司馬一族による反乱
曹爽一派は、次第に増長していき、ことあるごとに司馬懿と衝突するようになります。もはやその溝は埋めることの出来ないものとなっていました。
そして、249年1月、曹爽が皇帝である曹芳の共として、父『明帝』の墓参りに行った留守を見計らって謀反を起こします。司馬懿は『郭太后』(かくこうごう・明帝の2番目の妻)に意見を上げ、曹爽らの官職を解任する令を得ました。
司馬懿は自らの子である『司馬師』(しばし)らに都・洛陽内の曹爽一派を制圧させたのです。司馬懿自身は曹爽と対峙し、免官のみだ、と説得すると戦わず降伏させました。そうして、曹爽本人、その一族に対してはかなり厳重な軟禁状態においたのです。しかし、一月と経たず、曹爽らに謀反の企みがあったとして、結局は一族郎党皆殺しにしてしまいました。
その後も、曹一族や夏侯一族など、司馬懿に対抗しうる恐れのある人物は悉く処刑されてしまうのです。
こうして、司馬懿は魏王朝の権力を全て手中に収めることに成功したのでした。
孫である司馬炎が、正式に皇帝となり司馬懿は「高祖宣帝」となる
司馬懿が、洛陽で謀反を起こし権力を握ったは良いものの、その当時の司馬懿は既に70歳を超えています、同年に死去してしまうのでした。
当時の感覚でいえば、信じられないほどの長命です。かつての主君、曹操や曹丕に見抜かれていたように、一臣で終わることなくその野心を剥き出しにした一生でした。
司馬懿は死に際して、息子達に「私の周りの者はみな、私がいずれ謀反を起こすと疑っていた、しかし、私が死んだらお前たちはそのようなことがないよう、慎重にうまく国を治めるのだ」と、残しています。
魏王朝に対して謀反を起こしたものの、生きている間は禅譲を迫ることなどは決してなく、あくまで魏王朝の存続を望んでいたようにみえますね。
しかし、司馬懿の孫にあたる『司馬炎』(しばえん)が、魏皇帝に禅譲を迫り『晋王朝』を開きました。自身の諡号を『武帝』として、祖父である司馬懿を『高祖宣帝』と追号したのでした。
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