
アルカン、アルケン、アルキンのポイントは共有結合!元家庭教師が違いを5分でわかりやすく解説!

例えば同じ炭素2つと水素のみでできる鎖状のまっすぐな分子にはエタン、エチレン、アセチレンがある。この3種類の物質の違いは、炭素鎖の中に含まれた結合の方法にあるんだ。
何結合の時にアルカン、アルケン、アルキンになるかを覚えれば化学式を見るだけでその名前がわかるものもあるのでしっかり覚えてくれ。
ということを化学に詳しいライター、たかはしふみかと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/たかはし ふみか
高校時代は化学部でセッケンの研究に明け暮れていた。研究の途中でアルカン、アルケン、アルキンと言う言葉を習う前にその概念や二重結合について先輩に叩き込まれたのもいい思い出らしい。
アルカン、アルケン、アルキンの違いは共有結合にあり

アルカン、アルケン、アルキンについて理解するのに欠かせないのが共有結合。なぜならアルカン、アルケン、アルキンの違いは含まれる共有結合の種類にあるからです。
そもそも共有結合とは何でしょうか。共有結合を一言で説明すると「原子の間で電子対を共有しあう結合」のことです。
原子の種類によって、結合に使える電子の数も安定するために必要な電子の数も異なります。そんな原子が足りない電子を2つの原子の間でシェアすることで原子殻を安定させるのが共有結合なのです。
共有結合は2つの原子の間で共有する電子の数によって3つの種類に分けることができます。1つずつ電子を出して共有しあう単結合、同じく2つずつ電子を共有しあう二重結合、そして3つずつ電子を共有しあう三重結合です。
アルカン、アルケン、アルキンはもちろん、化学を学ぶ上で共有結合の仕方はとても重要。そして結合する原子同士が電子対をシェアする共有結合は、そのシェアする電子対の数で呼び方が異なります。まずは単結合、二重結合、三重結合をしっかりと理解してくださいね。
アルカン、アルケン、アルキンの違い
単結合、二重結合、三重結合が分かったとこころでいよいよアルカン、アルケン、アルキンについての説明です。アルカン、アルケン、アルキンを理解するポイントはずばり含まれている結合の種類にあります。
もっとも簡単なアルカンは単結合のみでつながれているのが特徴。一方、アルケンとアルキンはその途中に二重結合や三重結合が含まれているのです。二重結合が含まれると、同じ数の炭素と結合できる水素の数が減ってしまいます。
単結合のみでできた飽和炭化水素、アルカン

image by Study-Z編集部
いちばん基本となるのがアルカン。単結合のみでできた鎖状の化合物です。
アルカンの化学式はCnH(2n+2)と表すことができます。nは炭素の数を表していて、水素は炭素の2倍より2つ多くなるのです。これは単結合で連なった炭素の鎖を水素が囲むような形状をしているから。
例えば炭素が1つ、水素が4つからできるメタンの化学式はC1H(2×1+2)でCH4となりますね。次にCが2つ、水素が6つからできるエタンはC2H(2×2+2)でC2H6となります。炭素が1つ増えるたびに水素も2つずつ増えることがよくわかる式ですね。
これ以上水素などを含む余裕がない、単結合のみでできたアルカン。そのため飽和炭化水素と呼ばれています。

もう水素などを含む余裕のない飽和炭化水素に対して、まだ水素などをもつ余裕のある不飽和炭化水素をもあるらしい。二重結合、三重結合を含んだアルケンとアルキンの事だからしっかりと覚えるんだぞ。
二重結合を1つ含んだアルケン

image by Study-Z編集部
アルカンの特徴は単結合のみでできていることでしたね。一方、アルケンの特徴は二重結合が含まれていることです。そんなアルケンの分子式はCnH2nとあらわされます。
先ほどのアルカンよりも水素が2つ少ないですね。これは先ほど水素との共有結合に使われていた電子が、炭素同士での共有結合に使われているからです。水素を手放して炭素同士が結ばれた、とイメージするとわかりやすいでしょう。
そんなアルカンの特徴は付加反応しやすいこと。アルカンに含まれた二重結合は切れやすく、そこに他の原子や原子団が結合しやすいのです。もしアルケンに水素を付加すれば、二重結合が切れて単結合のみのアルカンとなります。
また、アルケンにはメタンのように炭素が1つのものがありません。炭素が2つ以上ないと炭素同士で二重結合を作ることができないので当然ですね。
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